2021/07/28

地鎮祭@府中

 先日、府中の住宅プロジェクトの地鎮祭がありました。





地鎮祭は、設計の段階から工事の段階に切り替わる節目のタイミングでの儀式になるので、設計者にとっても色々と感慨深いものがあります。



特に今回はウッドショックといわれる最中での工事見積になり、大幅な価格オーバーが懸念されちょっとハラハラしたのですが、、、予算とデザイン・仕様のバランスが取れ、きちんと予算内に納まりました。そうした通常にはないような逆境を乗り越えた上での工事スタートなので、余計に感慨深いところがありました。





府中の住宅は中庭のある二世帯住宅で、HEAR20G2グレードの高気密高断熱住宅として設計しています。プラン、デザインはなるだけシンプルなものにしており、「シンプル+エコ」なエコハウスになっています。


具体的な計画はまたご紹介できればと思いますが、現場のレビューもブログにアップしてゆきたいと思います。





そして最後に、お施主さま、設計・工事関係の皆さまのこれまでのご理解ご協力に感謝し、これからの工事においても共に良き住宅を造ってゆければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。






2021/07/22

飛行機雲

 昨日、たまたま空からの音を聞きつけて撮れた、個人的な「奇跡の一枚」。






代官山、渋谷越しに見た原宿方面の空に浮かび上がった、円弧を描く飛行機雲。

ブルーインパルス、初めて実際に見たのですが、大都会の空を整然と隊列を組んで優雅に飛ぶ姿は、飛行機という乗り物が持っている空を飛ぶ、というロマンを体現しているように思えました。

言い換えれば、シンプルにかっこいい。。。



今年は、これまで以上に様々な思いの交錯する夏の日々になっていますが、それぞれの人にとって良き思い出が出来る夏の日々になれば、、、とささやかながら願ってます。




2021/07/20

公衆トイレ

 中目黒在住ですと日比谷線はよく使うので、必然的に恵比寿駅も頻繁に訪れることになるのですが、コロナ禍で外出の頻度が減る中、ふと気づいたらいつも傍らを通っていた公衆トイレが建て替えされていて、真っ白な箱になっていました。




先日まで新国立美術館で個展も開催されていた、アートディレクター佐藤可士和さんによるデザインの公衆トイレだそうです。


これは日本財団が主催しているプロジェクトで、渋谷区内の公衆トイレを著名なデザイナー、建築家にデザインを依頼して刷新するという「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環でつくられたもののようです。

現在までに10あまりの公衆トイレが竣工しているようで、ウエブ媒体やSNS上でも斬新なアイデアのトイレがいくつか紹介されています。


中には斬新すぎて実際の使用はどうなのか、、、と思わせるものもある気がしますが、汚れていて使いづらそうなイメージのある公衆トイレのあり方に一石を投じるという意味では非常に意義があるプロジェクトではないかと思います。


ちなみに、写真の佐藤可士和さんのトイレは後ろ側に入り口があってそこから各個室に入る設計になっていますが、駅前にあって利用頻度が高そうな場所にある公衆トイレなので、白くて存在感のあるこのトイレがどのように使われていくのか、興味深いところです。


また、このプロジェクトのトイレはすべて渋谷区にあるので、トイレ巡礼(笑、、、、をしても面白いかもしれません。

いずれにしてもトイレの設計というのは人間の根本的な生理現象に関わる部分のデザインになるので、建築家・デザイナーの基本的な力量が問われるものと思いますが、アイデアもさることながらそういうセンシティブな面の配慮が上手くなされているか、という視点からも各トイレを比較してみるとより面白いのではないかという気がします。

個人的には同じ恵比寿の通称「タコ公園」にある、槇文彦さん設計の通称「イカトイレ」、はなかなか使いやすそうな感じでしたが、まだ2トイレしか実物を見ていない、、、ので、トイレ巡礼、してみたいと思います。






2021/07/15

建設コストとウッドショック

ここ最近、一般メディアにも取り上げられる住宅関連のトピックとして「ウッドショック」があります。

今回は、実際のプロジェクトでの知見をもとに、ウッドショックに関する最近の動向について少しご説明したいと思います。


まず、「ウッドショック」と言われる言葉は、3月末くらいから建設業界で使われだした用語で、輸入木材を中心とした価格の高騰と納期の停滞・混乱を指します。

この原因はコロナ禍により北米を中心に郊外住宅の需要が急速に高まり木材が世界全体で資材不足に陥った点、コロナ禍やスエズ運河の事故でコンテナ物流が世界的に混乱した点、中国での旺盛な建設需要が継続していて、中国へ資材が優先的に供給されている点、等々が重なったためと言われています。


ウッドショックは、2021年初めからジワジワと影響が拡がり、3月末くらいに木材加工会社各社から受注制限や納期未定となるお知らせが一斉に出されて一気に顕在化してきました。


そんな中、ウチの事務所でもいくつかのプロジェクトで工事見積をお願いしたり、工務店から直接ヒアリングをしたりしていますが、実際に現場で起こっていることとしては下記のようなものがありました。


・施工会社により影響の度合いが異なる

資材不足・価格高騰の影響を直接的に受けるのはプレカット屋さんと呼ばれる木材加工メーカーなのですが、各施工会社がどの木材加工メーカーと取引しているかにより、価格の上げ幅や納期の制約が異なっています。例えばA社は資材コストが20%アップで見積するが、B社は具体的に契約して発注しないと増加幅や納期の影響がわからない、といった対応差がありました。また、大量に木材をストックしている大手のハウスメーカーやビルダーによっては価格や納期に影響無し、としているところもあり、影響の度合いは直接確認してみるべきと思いました。


・コストへの影響は多少あるが、甚大なものではない

実際に工事見積を取った某住宅プロジェクトでは、木材の見積価格は通常よりも40%程度高くなっていましたが、その他の建材・人件費はほぼ従前の価格でした。また、木材のコストが全体のコストに占める割合は10%前後となるので、全体コストへの影響は出るものの、建設コスト全体が3-4割もアップするような、甚大な影響は出ていないと思われます。実際のところ、工事見積を数社に依頼したプロジェクトでは幸い予算内に工事費が納まりました。予算設定と設計仕様のバランスが取れていれば予算の範囲に納まる、というのは従前と変わらないと思います。


・工期への影響は、遅延しても1-2ヶ月程度の想定が多い

プレカット屋さんに入ってくる資材が限られている為、注文待ちになったり新規受付を取りやめているプレカット屋さんもあります。そして、各プレカット屋さんとも早く発注された案件から注文に応じているのですが、それでも納期の遅れが続いている状態になっています。ただし、早く発注すれば納期も早くなるので、これから始まるプロジェクトでは早めにプレカット屋さんに正式発注すれば工期の遅延が解消される可能性も十分あります。平均的には注文待ちが1-2ヶ月程度のようですが、この傾向はしばらく続きそうです。一方で北米での需要も一巡して落ち着きつつあるので、納期遅れはだんだんと解消される方向かなと思います。


・契約上の特記によりトラブルを避ける

現在工事中の案件の中には、高騰した資材代を工事費の中で調整できずに施工会社が赤字を被る、というケースも出ているようです。そのため、契約時に木材価格に関する特記や合意書等を作成して、工事中に資材価格が高騰した場合は注文主と協議して調整する、という特約を設けるパターンも出ています。現在のところ、今後見込まれる資材の価格差は坪1-3万円程度とされています。例えば30坪の木造住宅だと30万から100万円程度のコストアップが生じる可能性があるということになります。これは工事費予算を3000万円とした場合には1-3%程度のコストアップになる、ということになりますが、一般的には予備費として予算の一割程度は準備しておくことが多いので、その範囲の余裕を見込んでおけば対応できるものと思われます。いずれにしても工務店とどういったケースの場合に調整するのかを事前に確認し、設計事務所を含めて相互に信頼関係を持ってプロジェクトを進めることが大事と思います。



以上、ここ数ヶ月に経験した、ウッドショックに関連するトピックをまとめてみました。

ごく最近のニュースによると、北米市場での木材価格は年初の価格に戻ったらしいので、日本での混乱もしばらく持続するものの、この先数ヶ月で収束するのではないかと思います。ただ、一度高騰した価格はなかなかすぐには下落しないので、コスト高な状況はしばらく続くものと思われます。またこれまでは主に構造用の資材が影響を受けていましたが、これからは合板や木材を加工した製品等の価格も上昇する可能性があります。輸入材から国産材への移行も提唱されていますが、コストの点からなかなか厳しいのと、供給量が急に増えることは無いと言われており、今後10年単位でゆっくりと国産材が再普及してゆく可能性はあります。地産地消やエコ消費の観点からもその方が望ましいのですが、今後取り組んでゆくべき課題のひとつと感じています。


当初、コロナ禍による景気の落ち込みにより建設コストも下落するとの観測もありましたが、現実には「ウッドショック」という事態になりました。

やはり、世界経済全体の動きと不可分に世の中が動いていることを改めて認識させられる印象ですが、コロナ禍を気にライフスタイルを一新する動きは世界の各地で起こっていることを認識させられる出来事でした。


騒動も落ち着きつつあるところで、こうしたライフスタイルを一新する=住み替えやリノベをスタートするには今がいいタイミングかもしれません。




長文になってしまいましたが、、、ご一読いただきありがとうございました。







2021/07/10

シンプル+エコなプロダクト#4 機械式スウォッチ

個人的に時計というプロダクトが好きで、その中でもデザインが面白い製品を買い集めている時期がありました。


ただ、色々とあったものを整理したり、収納の奥にしまったりしてデッドストック状態になっていたものもあったりします。



今回ご紹介する機械式スウォッチもそんな雑貨のひとつ。




スケルトンの本体に、傷んでいたバンドを新たに交換して、久々に使用してみました。

機械式時計なので、電池不要です。


おそらく20年以上経つプロダクトで、久々に動かしてみたら最初は時刻がズレまくっていましたが、、、現在はなんとか使用に耐えうる精度で稼働しています。


最近はスマート・ウォッチを身に着けている方も多く見受けられますが、15年くらい前までは多彩な機能を有する機器が腕時計並にの大きさに凝縮されるとは予想だにしませんでした。


一方でこの機械式スウォッチは時刻表示という単一機能のみ、そして電気不要、という点で、現在のスマート・ウォッチとは対極の存在、、、ともいえるのですが、シンプルであるがゆえに壊れにくく、ベーシックなデザインで時代を選ばないプロダクトともいえます。さらに、電池も全く消費しないという点でエコロジカルともいえるかと思います。


そういう意味でシンプル+エコ、かつロングライフな製品だなあと思った次第です。



しばらく棚の奥に眠っていたのですが、使用していないモノをリユース、リサイクルするのも大事だなと改めて思いました。






2021/06/30

晴れ間

 梅雨入りしてから、雨が降ったりやんだりで、変わりやすい天気が続いています。


そんな中で、短かい時間でも晴れ間が出てくると気持ちの良いものです。




中目黒にある、某ビルのフロアからの眺めですが、ちょうどビルを地平線のように見渡しつつ青空が拡がっているさまは、梅雨時の短かい合間の晴天ということもあって、より抜け感が感じられて気持ちいいものです。

ちなみに、手前のスロープのような斜め屋根の建物はスタンレー電気本社ビル。プランテックの設計です。





しばらく梅雨のジメジメとしたシーズンが続きますが、気持ちの上でも「晴れ」な気分を大切にしつつ過ごしてゆきたいものです。







2021/06/23

パターンクロス

 先日、恵比寿のリノベーションに使用するクロスを探しに、事務所の近所にある輸入建材メーカーのマナ・トレーディングさんにお施主様と一緒に伺ってきました。





写真はその際に選んだクロスのサンプルの一部。



各部屋のアクセントに使うためのクロスを探しに行ったのですが、結果としてアースカラーで植物柄のパターンクロスが集まりました。


海外のクロスは本当に色々な種類とパターンがあって、日本のクロスには無い独特のクセの強い味わいがありますが、使い方を間違えるとド派手な昭和感あふれるバブルな部屋になりかねない、、、ので、注意深くセレクトする必要があります。


今回選んだパターンはいずれも抑え気味の色彩とパターンで、結果としてエコっぽい優しい柄がならびました。



個人的に今の時代は、硬質なマテリアルに囲まれた空間よりも優しい有機的な質感のある空間の方が好まれる傾向にある気がします。



今回セレクトしたパターンクロスは意図的にそうしたものを集めた訳ではないのですが、そういう意識が根底に流れている結果として集まったものにも思えます。



海外製のパターンクロスはコストや納期の問題で頻繁に使用できないケースが多いのですが、お部屋の中に優しい情緒をつくる良いアクセントになるので、色々な場面でより使う機会を増やすことが出来れば、、、と思った次第です。







2021/06/19

パエリア

 昨今のステイホームにより自分自身の生活の中で改善されたことのひとつは、自宅で食事をする機会が増えたことです。


設計事務所は基本的に長時間労働なので、、、平日は夜までシゴトをしていたり、土日も打合せに出ることが多いのですが、休日は自宅で食事をつくって家族と過ごす機会が増えました。





という訳で、写真は休日に自宅でつくったパエリア。

具だくさんで彩りよく出来たので、思わず写真に撮ってしまいました。



たぶん昨年も同じような写真をブログにアップしている、、、のですが、ステイホームで家にいる時間が増えて、食事に手間ひまをかける機会が増えたのは自分にとって良い変化だなと思います。





週明けから緊急事態宣言が解除されるようですが、コロナ禍で変わった生活習慣の良い面は今後も継続できれば、と思います。







2021/06/17

あじさい

 今週から東京も梅雨入りしました。



事務所近くの目黒川沿いの緑地帯にもちらほらとあじさいが咲いていて、梅雨時の曇り空の下でささやかな彩りを加えてくれています。








あじさいといっても色々な亜種があるのか、咲いている場所や樹種によって色彩や大きさが違ったりして、目を楽しませてくれます。






こちらは某ビルの上階から見た、目黒川沿いの眺め。

ふだんは高い場所から見下ろすことが少ない目黒川沿いの風景ですが、こうして見ると川沿いが水と緑のうるおいをもたらしている感じがよくわかります。


やはり、緑や水のある都市というのは魅力的に感じるものですが、中目黒の目黒川界隈もそういう意味では理想的な都市環境のひとつだなあと改めて感じ入る次第です。




しばらく梅雨時のジメジメと不安定な気候が続きそうですが、緑を愉しむちょっとした余裕のある、朗らかな心持ちで過ごすことができれば、、、と思います。






2021/06/12

東京文化会館

上野で展覧会を観たあとに必ず通るのは東京文化会館。

巨匠・前川國男の代表作のひとつです。




コンクリートのマッシブな庇がカッコ良いです。



写真はバックヤード側のものになりますが、バックヤード側も一切手抜きをせずに緻密なデザインが施されています。



随分昔のことですが、コンクリートの保護剤として赤い塗装が建物全体に塗られていた時期がありました。

その時は汚れもあいまってちょっと重々しい感じで、あまりいい印象が無かったのですが、25年くらい前に大規模な修繕があった際に建造当時の姿に復元されました。

復元されると、打放しコンクリートの美しさが蘇り、石材やガラスを組み合わせた密度の高い迫力のあるデザインだなあと思うようになりました。



ちょうど、前川國男の師匠であるル・コルビュジエの国立西洋美術館と対面する形で建っていますが、この上野に関しては前川の建築の方が迫力があるように感じられます。


もうすぐ60年くらい経つ建築ですが、前川國男という建築家の丁寧で緻密なシゴトが結実した、良い建築だなあと前を通るたびに思います。



実は美術館に行くために前を通るばかりで、中のホールで催されているコンサートに足を運んだことが無い、、、のですが、一度本格的なクラシックのコンサートにも足を運んでみたいものです。




今後、昭和の文化財にもなりえる、東京の名建築のひとつです。







2021/06/05

鳥獣戯画展

先日、 緊急事態宣言で休館していた東京国立博物館で再開された「国宝 鳥獣戯画のすべて」展に行ってきました。


鳥獣戯画は甲乙丙丁の4巻があるらしいのですが、その4巻と本来は鳥獣戯画に含まれていた絵の一部である、「断簡」も出展されていて、いわば鳥獣戯画ファミリーが勢ぞろいして見られるという、大変貴重な展覧会です。






会場内は残念ながら撮影禁止でしたが、入場者数の制限をしているので比較的ゆったり見ることが出来ました。


そして、鳥獣戯画として一番有名な「甲」巻については動く歩道(!)に乗って見学するという、新しい試みがなされていました。


鳥獣戯画の甲巻は長さ11メートルくらいの巻物なので、動く歩道でゆっくりと進行していくと映画を見るかのごとくに画面が流れてゆくのでけっこう楽チンで見やすいなあと思いました。加えてじっと立ち止まる人も出ず滞留も起こらないのでスムースに見られました。個人的に、巻物のような横に長い絵画においてはぜひ採用してほしい展示方式と思います。


鳥獣戯画の各巻に共通しているのは、動物や人々がいずれも楽しそうに生き生きとした筆致で描かれている点と思いますが、遊びや楽しさ、笑いにあふれた姿を黒一色の毛筆で一気に描いた画風は現代の漫画の源流の一つとされるのも納得な気がします。

特に今はコロナ禍の最中でもあるので、こうした笑いのある楽しい世界の描写はちょっとココロに沁みいるものがあります。


およそ800年前の絵画ですが、時代を超えた普遍的な魅力のある絵画だなあと、実物を観て改めて実感した次第です。




展覧会は6月20日まで延長されており、なかなか予約もとりづらい展覧会ではありますが、貴重な傑作のそろった大変オススメの展覧会です。




2021/06/01

ブーゲンビリア

 お昼時に目黒川近くの住宅街を歩いていたら、とある住宅のコート部分にブーゲンビリアが咲いていました。



建物3層分はあろうかという見事な大きさで、ピンクの色味が鮮やか。


ブーゲンビリアは5月くらいに花を咲かせるそうですが、ここまで大ぶりで鮮やかな感じはなんとなく日本離れした南国っぽい風情を感じさせます。



事務所にもほど近い場所なのに今まで気づかなかった、、、のですが、近所にもかかわらず全く行かない、見知らぬ場所は結構多いなあと改めて気づかされました。



コロナ禍以降は特に家、事務所、スーパーのみの往復が多いのですが、たまにはルートを変えて歩いてみると新たな発見があって気分転換にも良いなあ、、、と思った次第です。



6月に入っても緊急事態宣言下という状況が続きますが、、、日常にもちょっとした余裕を持って、ちょっとした楽しみを発見しながら生活できればと思います。




2021/05/29

地盤調査

 現在進行中の府中の住宅のプロジェクトでは、既存の家屋が解体完了したので地盤調査を行いました。

今回の地盤調査は表面波検査による方法を選択し、地盤調査会社のビイックさんにお願いしました。




写真は敷地に機材がセッティングされたところ。

ポツンと直立している機械が振動を地盤に与える機械で、異なる周波の振動を地盤に加え、反射の状態を記録することで土中の状態を推定します。


住宅の地盤調査は、地盤に鉄棒を刺してその貫入の度合いを見る、スウェーデン式サウンディングと呼ばれる方法がポピュラーですが、表面波は地盤の硬軟がより高い精度で調査できるのと、機材がコンパクトでより簡単に実施できる点にメリットがあるようです。


今回、立ち会いしたのは初めてでしたが、機械の横に立っていると足裏に微細な振動を感じました。なんとなくマッサージ器の振動に近いかなあ、、、という感じでしたが、それで地面の下の状態がわかるというのもなんとも不思議な感じもします。



調査の結果として地盤の状態が良く地盤改良工事は不要という判定が出たので、ちょっとホッとしました。



地盤調査は見た目が非常に地味な作業ですが、、、着工に向けてのはじめの一歩となる重要なプロセスで、いよいよ実現に向かう、という意味でこちらも毎回気の引き締まる思いがします。



また現場のレビューをこちらのブログに出来ればと思います。




2021/05/26

イタリア視察:ヴェネツィア2

 不定期にアップしているイタリア視察、ヴェネツィアの2回目です。



サンマルコ広場に面していて、ケンチク好きなら誰もが立ち寄りたい場所として「オリベッティ・ショールーム」があります。

イタリアの近代建築の巨匠の一人、カルロ・スカルパの設計によるショールームです。


元々はイタリアの家電メーカーのショールームですが、その後お土産屋さんに改造されたりして往時の面影が無くなっていたところ、近年になって修復されて新たにスカルパの文化遺産を展示するギャラリーとして復活していました。



自分にとっては20年以上前の1998年夏に訪れたことがあったのですが、今回再訪がかないました。




外観はこんな感じで、地味な印象です。

でもよくよく見ると、入口廻りの造作とかが凝っていることに気づきます。





レールで吊られた鉄の格子戸。

木の天井と鉄や真ちゅうの錆びた質感がマッチしています。




大理石と真ちゅうを組み合わせた照明。

50年以上前の作品ですが、古さと新しさが同居したデザインです。





このショールームで最も有名な大理石の階段。

緩やかな勾配と対称形を崩しながらリズムをつくりつつ、端正なたたずまいも感じさせる、近代建築を代表する名作階段のひとつです。





2階も天井の低いギャラリーになっていました。

20年前、お土産屋だった時に訪ねた時は2階に上がることが出来なかったので、ちょっと感激でした。

木と大理石、しっくいの質感、穏やかな光がなんとも良い雰囲気です。




中央の丸い部分は噴水と水盤で、床のタイルはベネチアン・モザイクタイル。

素材の使い方の細やかさとデザインの緻密さやはり工芸品といった方が良いような趣きがあります。




カルロ・スカルパは、一般的なイメージの白いガラスの近代建築というよりは、イタリアの伝統的な素材や技術をモダン・デザインに取り込んだ近代建築を創り出したところに大きな功績があるといえそうですが、年月を経ても輝きを失わずにむしろ風合いを増すようなデザインや素材の使い方は大いに見習うべき点があるように思います。




言葉や数値で表現しにくいものですが、こういうロングライフなデザインこそがサスティナブルだなあと写真を見返しつつ、しみじみ思います。




2021/05/20

芍薬 シャクヤク

 自宅のリビングの一輪挿しに飾ってあった、シャクヤクが満開になりました。




シャクヤクは5月頃に開花する草花だそうですが、室内にちょっとした草花を飾っておくと四季の変化を感じられて、和むものです。




ちなみに手前に立て掛けている飾り皿はミラノで買ったお土産。南イタリア産の陶磁器かと思います。実は贈答用に買い求めたのですが、諸般の事情で手元に残すことになった飾り皿です。あまり自分の好みではないなあ、、、、と思いつつ買ったものですが、鮮やかな色彩と魚のユルい表情がなんとも和む雰囲気をつくりだしています。
海外になかなか行けない今となっては旅行の大切な思い出を秘めた、自宅のインテリアの一部です。



ちょっとした草花や置物があると、生活に彩りや余裕が生まれるものですが、大ぶりで華やかなシャクヤクを眺めつつ、改めてその効能を感じた次第です。





2021/05/18

手すり照明

 最近よく見かける照明の仕掛けとして、階段とかの手すりに組み込まれた間接照明があります。



写真はクライン・ダイサム・アーキテクツによる代官山蔦屋書店の中にある階段の手すり照明。

少し大ぶりの木製手すりの裏にLEDテープライトが仕込まれていて、足元廻りをほのかに照らしています。

光源が直接見えないので、柔らかい雰囲気になるのと、足元が明るくなるので安全性も高まってバリアフリー上も有効という、演出性と機能性を兼ね備えた、優れたデザインだなあと思います。


実は、現在設計中の住宅の階段にもこうした手すり照明をスペックインしているのですが、コストとのバランスから実現できるかどうか、、、というところです。


住宅の場合は照明の演出をやりすぎると過剰な感じが出たりする場合もあるのですが、様々なバランスを見つつ、良いディテールを集積させてより良い住空間を実現するよう、試行錯誤を繰り返しているところです。



もし実現できたら、ブログにも詳細の写真を掲載したいと思います。






2021/05/13

スイーツ

 緊急事態宣言もあって家と事務所を往復する日々が続きますが、こういう時には息抜きのスイーツがいつも以上に楽しみになるものです。





写真は恵比寿の路地裏にある「LESS」というケーキ屋さんのケーキです。

ケーキの名前は忘れてしまいましたが、、、チーズ味の繊細な手仕事のケーキでした。

「LESS」さんは開店してまだ2年弱のお店らしいですが、その丁寧で繊細なシゴトで人気が出ているスイーツ屋さんのようです。


中目黒界隈には徒歩圏内に色々と良いスイーツ屋さんがありますが、まだまだ見つけきれていないなあ、と思う次第です。





そして、こちらは妻が名古屋の友人からいただいた、かえる饅頭。

なぜカエルかは不明ですが(笑、、、味は「ひよこ」みたいな感じで美味でした。

こういうスイーツもまた別の意味でほっこりしますね。





まだまだ気軽に外出できない日々が続きますが、こうしたお家スイーツをはじめとしたお持ち帰り出来るお店の味を改めて楽しむ、良い機会かもしれません。








2021/05/05

目黒区庁舎

 気づけば5月に入っていますが、なかなか遠出が出来ない状況が続いています。


いずれにしても、私の方はステイホームならぬステイオフィス、、、という感じでシゴトに勤しむ日々になっているのですが、先日久々に近隣にある目黒区役所に行ってきました。


目黒区役所は旧千代田生命本社ビルをリノベーションした建物で、設計は昭和の巨匠、村野藤吾です。





写真は区役所の中にある、茶室ゾーンの中庭。



イベントや催し用にいくつか和室・お茶室があるのですが、その中にしつらえられた中庭の眺めです。


特にどうということの無い庭ではありますが、このジグザグに組み合わせられた横桟のフェンスのデザインがとても好きで、訪れるたびに見入ってしまいます。

おそらく村野藤吾によるとてもさりげないデザインですが、軽さとリズムがあって、建物の雁行した形状とあいまって中庭にいきいきとした風情を与えている感じです。


決して高い素材で作られた造形物ではないですが、こうしたちょっとした工夫でその場所を活性化させるようなデザインの好例だなと思います。



自分も見習いたいデザインのひとつですが、近隣とはいえたまに外出すると日常にある風景の良さを再発見するものです。




GWも終盤ですが、ゆっくり穏やかにお過ごしください。












2021/04/30

けやき並木

 3度目の緊急事態宣言ということで気軽に外出できない状況が続いていますが、シゴトの打合せ等でたまに外に出ると、良い気分転換になるものです。




すでに新緑の映える季節になっていますが、写真は府中市のメインストリートにあるけやき並木。

立派なけやき並木の新緑は歩いていて清々しい気持ちになりますね。



以前にブログでも少しご紹介した、府中の二世帯住宅プロジェクトは実施設計が佳境を迎えている最中ですが、これからけやき並木の四季の変化を楽しみつつ現場に通えるよう、がんばっているトコロです。






2021/04/21

省エネ法講習

 今年の4月から改正省エネ法が施行され、300平米以下の住宅でも省エネ基準に適合しているか、建築主への説明義務制度がスタートしました。

そして、その施行に合わせて東京建築士会のオンライン講習が開催されていたので、先日受講しました。




今回の改正では住宅のような小さな建物では省エネ基準への説明義務が生じるのみなので、実は不適合でも罰則等はありません。

その意味では非常に緩い縛りの改正ではあるのですが、建築士は省エネの適合について検討し、建築主へ説明する必要があります。


ウチの事務所では各プロジェクトごとに省エネ計算をするようにしているのと、現行の省エネ基準より高い省エネ性能(=HEAT20G2レベル同等)を目指した住宅づくりをしているので、実際に業務や設計のスペックに大きな変更は必要無い、、、ということが講習を受けてわかったのですが、建築に関連する法規や基準は日々更新されてゆくので、常に新しい情報を更新する必要があります。


そういう意味ではこうした講習会がオンラインで開催されるのは移動が無いぶん気軽に受講できるので、参加しやすいものです。

参加が気軽なぶん、途中で眠くなったりするのが弊害かもですが・・・(笑。



まあ、常にブラッシュアップが必要なのはどの職能にとっても同じなのかと思いますが、スキルや情報の更新はおこたらないように心がけたいと常々思っています。





2021/04/14

世田谷美術館

 アアルト展関連が続きますが、展覧会が開催されているのは用賀の砧公園の中にある、世田谷美術館。





世田谷美術館は80年代半ばに建てられた建築で、設計は内井昭蔵さん。集合住宅や戸建て住宅の設計で名を馳せた、昭和の巨匠の一人です。世田谷美術館はここ数年、大規模改修で休館していましたが、昨年リニューアルオープンしました。

リニューアルといってもデザイン的には大きな改修はしていなさそうで、公園の木々の中に建つ建築はなんとなく風合いが増して、風景に馴染んでいました。





こちらはエントランスホール。床や階段はトラバーチンと言われる大理石の一種がゼイタクに使ってあります。

おそらく今はこうしたリッチな石の使い方をするのは、特に公共建築では難しいのではないかと思います。




展示室間をつなぐ回廊から中庭を見たところ。

単板ガラスをV字柱と壁に枠なしで納めている、ちょっとアクロバティックなディテール。

少しフランク・ロイド・ライトっぽい感じもします。




入口脇の傘立てもオシャレ。

庇や雨樋も含めて一体的にデザインされていて、違和感の無い組み合わせになっています。



もうすぐ40年近く経つはずの建築ですが、クラシックな近代建築、といった趣きで古さが良き味わいになっている建築です。


世田谷美術館は最寄りの用賀駅から徒歩15分くらいかかるのですが、時折良質な企画の展覧会をやっているので学生の頃から通っている美術館のひとつです。


こういう年月が経っても変わらず大事に使われている建築は日本には大変少ないのですが、、、設計がキチンとしていて、メンテナンスが継続して行われていれば持続的に使用可能、という点を証明しているものと思います。

いわばサステナブルな建築のひとつの好例、とも言えるかもしれませんが、ちょっと昭和レトロな風格も感じられる、80年代の良質な建築のひとつです。


今回は閉館間際の訪問だったので、またカフェでお茶したりしつつゆっくりした時間を過ごしたいものです。






2021/04/10

アアルト自邸

 前回、世田谷のアアルト展の展示を少しご紹介しましたが、2016年にアアルト自邸を訪れた際の写真を見直してみると、展示と同じようなアングルの写真を発見しました。





若干アングルは異なりますが、展示にも再現されていたアアルト自邸のリビング。

南側に拡がる庭園からの柔らかな光があふれる穏やかな室内です。

奥の部屋はスタジオですが、段差があって心理的に仕事場と切り替えるようになっています。

そして、テーブルの奥にはグランドピアノ。


アイノ・アアルトが愛用して弾いていたものだそうです。




ピアノの上の写真はアイノさん。


照明や雑貨といった調度品とも調和が取れていて、アイノさんが住んでいた当時の気配が色濃く感じられるような気がします。





それにしても今見ても全く古く感じない、、、、そんな居心地の良い空間です。





今回の展覧会は今一度、二人のアアルトが手掛けた建築やデザインについて復習する、良い機会だなあと思います。








2021/04/07

アアルト展@世田谷

 現在、世田谷美術館で「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展が開催されています。


アルヴァ・アアルトはフィンランドを中心に活躍した20世紀の近代建築の巨匠のひとりですが、その公私にわたるパートナーがアイノ・アアルトでした。


今回の展覧会はその二人が一緒に活動した約25年間にスポットを当てて展示する展覧会です。




アイノ・アアルトはどちらかというとインテリアや家具、食器といった分野のデザインを中心に活躍したそうですが、今回の展覧会では彼女のデザインした製品が数多く展示されているのがポイントです。


写真撮影OKエリアに展示されている、アアルト自邸のリビングのインテリアの再現展示。

もう80年くらい前の住宅ですが、今だに販売されている家具や照明で構成されていて、全く古さを感じさせません。むしろ、新鮮な感じすらあります。


ちょっと自慢になりますが(w、数年前にヘルシンキにこの自邸を見学に行きました。木やレンガ等のナチュラルな素材を使って緑の環境に囲まれた気持ちの良い住宅でした。


フィンランドにあるアアルトの建築は現在、世界遺産登録に向けて活動しているようです。





こちらはニューヨーク万博の展示風景を再現したもの。

波打つカーブの優しい造形が和みます。

こちらにも二人のアアルトがデザインしたプロダクトが展示されていましたが、その多くが今も現役で販売されています。

ウチの事務所や自宅で使用しているものもありますが、いずれも手触りが良くて機能的なものが多く、長く使えるロングライフデザインのプロダクトです。





ちなみに、今回の展覧会は完全予約制なので、適度な密度で鑑賞することが出来ます。

最近の美術館は予約制で人数制限をしているところが多いですが、その方が混雑せずにゆったりした環境で見られることが出来るので、コロナ禍以降も継続してほしいなあと思います。


とはいえ、アアルト展には日曜の夕方にもかかわらず多くの人が見学に来ていました。

やはり昨今の北欧デザイン人気を反映しているのかと思いますが、時代の流れとして優しいデザインに皆興味があるのかなと思います。


アアルトは自然環境から学んだ素材や造形を多用していて、エコデザインの源流ともいえる巨匠ですが、個人的に以前にも増して大変興味深い建築家のひとりです。




オススメの展覧会ですので、ぜひ足を運んでみてください。





2021/03/31

サクラ2021その4

 今年のサクラは散り際も大変早いです。







もう葉桜になりかけていて、川面には花びらがサラサラと流れています。



例年開花から散り際まで3週間くらいのところを2週間くらいで駆け抜けたような感じがしますが、やはり夏日に近い気温で推移したことが影響しているのかもしれません。



先日、テレビのお天気コーナーで春分の日の平均気温が40年前から約4℃上がっている、ということがコメントされていましたが、この数十年でかなりの温暖化・気候変動が起こっているのだな、、、とちょっと驚きでした。


その影響か、サクラの開花も年々早まっている印象が強いですが、今年は例年以上にその傾向が強い年だったと思います。




このままですと日本のメリハリのある四季折々の風情が無くなりそうな可能性も十分にありえますが、そうならないように、建築を通してエコロジカルで持続的な社会を創ってゆくよう、引き続き努力を継続したいと思います。





サクラの写真4連投でしたが、、、そろそろケンチクの投稿に戻りたいと思います。







2021/03/29

サクラ2021その3

 中目黒のサクラは週末が満開でした。



日曜日は雨風の強い、やや荒れた天候だったせいか、既に花びらが散り始めています。



平年はもっと長く楽しめるものですが、今年は例年以上に早く咲いて、早く散りそうな感じです。



写真は、中目黒駅近くの川べりのサクラ。


川べりの片側のみがサクラ並木になっているのですが、川面に枝がせりだし、しだれ桜のようになっていて迫力のある景色をつくっています。




もう今週中には散ってしまいそうな感じですが、通勤の行き帰りの道すがら、多少ともサクラの景色を楽しんでゆきたいなあと思います。





2021/03/24

サクラ2021その2

 東京のサクラは昨日に満開宣言が出されたそうですが、目黒川のサクラも見頃を迎えています。






毎年、同じような写真を撮って、同じような記事を投稿しているのですが(笑、、、見事なサクラ並木を見るにつけ、ついついブログにアップしてしまいます。




また今年も、サクラの写真にしばしお付き合いいただければと思います。





2021/03/18

サクラ2021

今年もサクラの季節がやってきました。


例年よりもかなり早めの開花となっていますが、目黒川のサクラもそろそろ咲きだしています。






まだ1分咲きにも満たない感じですが、1週間もすれば満開になるのではないかと思います。




例年であれば提灯や出店がズラリとならんで賑やかな光景になりますが、今年はそうした準備が行われている気配すらなく、昨年同様に浮わついた雰囲気の無い静かなサクラの季節を迎えています。




まさか今年もサクラの季節に人のいない風景が拡がることになるとは、一年前は考えが及ばなかったですが、、、人の少ない静かなサクラ並木を通勤の行き帰りだけでも多少楽しむことができればと思います。







2021/03/08

麻婆豆腐@原宿

 ここのところ、仕上材の選定で連日ショールーム通いが続いています。

その帰りしなに、ランチで原宿の中華の老舗「龍の子」さんに立ち寄りました。



前職で某スウェーデン系ファッションブランドの入っているテナントビルを担当していた時に現場がすぐ近所にあったので、入ったことがあるのですが、それ以来、10数年ぶりの訪問。


コロナ禍にもかかわらず行列の出来る名店で、原宿の喧騒とは離れた地下にあるお店です。





お店の名物は麻婆豆腐と担々麺とのことで、麻婆豆腐定食を注文しました。



見た目の色は激辛のように見えますが、実際は山椒等の香辛料が効いたちょっとクセになるような上品な辛さでした。

ちょっと独特の風味でしたが、移り変わりの早い原宿界隈で生き残ってきただけに他のお店ではなかなか出せないような、リピートしたくなるような独特の風味だなあと思いました。



地下にあって一見、ちょっと目立たないお店ですが、原宿のど真ん中にありながら落ち着きのあるオススメのお店です。









2021/03/04

イタリア視察:ヴェネツィア1

不定期ながら時々掲載している、イタリア視察旅行の続きです。


フィレンツェ滞在の後、一路ヴェネツィアへ。




ヴェネツィアは今だに水運が主な交通手段ですが、水上バス・ヴァポレットに乗船して市街地の中心部に向かいます。



大通りに相当する「カナル・グランデ」という旧市街をぐるりと巡る大きな運河を起点として、細かい運河が市街地に張り巡らされていますが、写真はカナル・グランデを通っているヴァポレットから見た街並み。

かつての日本の都市も水運がメインで、往時はヴェネツィアのように船が行き交う街だったらしく、東京にも日本橋界隈やダウンタウンエリアにその名残が若干残っていますが、ヴェネツィアはそうした水運による街のアクティビティがそのまま動態保存されている感じです。




ヴェネツィアのシンボル、サンマルコ広場。

最近の日本のニュースでは、海面上昇による「アクア・アルタ」という洪水で水没したサンマルコ広場の様子がよく出てくるので、その姿ばかりが印象的に報道されますが、行った時にはそうした水害のおもかげは全くありませんでした。
とはいえ、この写真の数週間後には水没のニュースが流れてびっくりしましたが・・・。


「アクア・アルタ」は近年その頻度が多く水位も高くなっており、地球温暖化が原因とも言われています。

そうした意味で、ヴェネツィアは温暖化により被害をこうむる都市文明・文化遺産の象徴のようになっていますが、実際に街を歩いてみると、そうした問題がよりリアリティをもって体感できる気がします。


とはいえ、最近のニュースでは水面の低下で運河が機能していない、、、という報道もあって、気候変動によってどういう影響を受けているのか、単純に判断できないような点もあります。



いずれにしても、我々が日常的に天気予報を気にしているように、海という大自然の変化を気にしながら住んでいる街なのだろうと思います。



そうした気候の変化に対して、建築に何が出来るか、、、建築家としての取り組みを続けてゆきたいと改めて感じる次第です。



2021/02/25

フローリング@ショールーム

 現在設計中の府中の住宅について、お施主様とフローリングを検討しに渋谷にある「無垢フローリングドットコム」さんのショールームにお邪魔してきました。








良さげなフローリングのサンプルを床に並べて、それぞれの風合いの確認。



無垢フローリングはやはり質感の良さや長期的なスパンでのメンテナンスの良さが長所ですが、その分手間がかかったり価格がお高めだったりする点が短所だったりします。


とはいえ、一度手にとってみるとその良さは一目瞭然、、、ということで、いくつかの候補を持ち帰って長短を比較検討することとなりました。



やはり建材は大きなサイズで実物を見ないとわからないもので、その点はオンラインでは再現できない点があります。



ここ最近、各社のショールームは感染対策として完全予約制のところが多く、ショールームによっては日程の空きがなかなか無く、気軽に行きづらくなっているのが悩ましいところです。

とはいえ、実物を色々見ないと良し悪しが判断出来ないので、お施主様とのショールーム巡りは設計のプロセスの中でも重要なイベントのひとつです。




もうすぐ緊急事態宣言も解除されそうですが、また気兼ねなくショールームに行ける世の中に早く戻って欲しいものです。






2021/02/23

シンプル・エコなプロダクト#3 風船クロック

 先日、注文していたプロダクトが事務所に届きました。


倉俣史朗デザインの「風船クロック」。





時計を覆うフードが透明なアクリルでできていて、その見た目から通称「風船クロック」と言われています。



80年代にデザインされたプロダクトですが、今だに販売されていて、ロングセラーになっています。


そんなロングセラー商品でありますが、薄くて微妙な曲面のあるアクリル・フードをつくる技術が大変難しく、制作の手間を鑑みて昨年大幅に値上げされました。


実は値上げ前に駆け込みで発注したのですが、、、数ヶ月待った上で先週ようやく届きました。


実物は直径30cm、厚みが10cmくらいあるので、けっこうボリューム感がありますが、透明なので、繊細ではかない感じもします。

そして、アクリルがつくる微妙な陰影が壁面に投影されて、白い壁面に映えるデザインだなと思います。



倉俣史朗のデザインは極限までシンプルで、大胆でもありながら普遍的なデザインになっており、いくつかのプロダクトは今も生産・販売されていてロングライフ・デザインの代表例になっています。

一般的な意味での「エコ」ではないかもしれないですが、40年近くずっと形を変えずに生産されていることを考えると、「シンプルでエコロジカル」なデザインだなあと思います。




これから、事務所のインテリアの一部として一緒に時を刻んでいってほしいなと思います。





2021/02/20

法隆寺宝物館

 ちょっと東博ネタが続きますが、東博の名建築のひとつが谷口吉生設計による「法隆寺宝物館」です。先日の「日本のたてもの展」の帰りに立ち寄りました。




写真は入口へと向かう、水盤のあるアプローチから見た宝物館の眺め。

入口へ向かって軸線がスッとまっすぐ伸びていて、キレイに対称形をつくっています。

ものすごくシンプルで余計なものが無く、それでいて緻密なデザインに背筋が伸びる思いがします。


内部は今回時間が無くて見学しなかったのですが、法隆寺伝来の1000年以上の風雪に耐えた様々な宝物が展示してあり、建築デザインの質の高さもあいまって凄みのある空間が展開されています。




自分にとって、時々訪れて体感したくなる名建築のひとつですが、皆さまもぜひ訪れて気持ちの良い静かな空間を体験していただければと思います。






2021/02/17

東博の大階段

 「日本のたてもの」展を観た後は常設展示の東博の本館をぶらりと。



本館は渡辺仁による帝冠様式(=東洋風の屋根と古典様式による近代建築)の重厚な建築です。

個人的にはこうした重厚感があってなんとなく圧のある空間の雰囲気が少し過剰な気がしてあまり好きではない、、、のですが、ここ最近は館内の大階段が巷で有名になっています。




ご存知、ドラマ「半沢直樹」の東京中央銀行本店のホール、、、ですね。

やはり、この重厚感が銀行の本店にふさわしい、ということかもしれませんが、逆に言うとこうした劇的な階段のあるホールの空間は日本には非常に稀有な存在なのかもしれません。



東博の本館は常設展示がメインですが、国宝、重文クラスの美術品がゴロゴロあって、本気で見ようとすると1日かかっても見きれないくらいの質と量があります。



いつも駆け足で廻ってしまうのでもったないような気もしますが、東博は建築も見応えがあるので、機会があればじっくり一日かけて観覧されることをオススメします。





2021/02/15

日本のたてもの展

 東京国立博物館で開催中の「日本のたてもの」展に行ってきました。


この展覧会は日本の「伝統建築工匠の技」がユネスコ無形文化遺産登録が決定したことを受けて開催されている展覧会です。


東博での展示テーマは「古代から近世、日本建築の成り立ち」というものでした。


テーマだけを見ると何やら難解な感じもしますが、展示物は保存修理時に制作された1/10模型を中心に構成されており、非常に明快でわかりやすい展覧会でした。




会場は東博の中にある表慶館。

入るとすぐのホールに法隆寺五重塔の模型。

西洋古典建築の空間とのコントラストが良い感じです。





唐招提寺金堂の断面模型。

実物では断面を見ることは出来ないので、構造的な成り立ちがよくわかります。






こちらは松本城の断面模型。

やはり、現実にこういう姿を見ることは出来ないので、興味深いものです。







こちらは一昨年に焼失してしまった、首里城正殿の模型。

昭和28年に制作されたそうですが、この模型がひとつの原型となって、正殿の復元が出来たようです。

一昨年の火事による焼失は非常にショッキングな出来事でしたが、こうした模型もひとつの参照にしてこれから再建されていくのかなと思います。




ご紹介したのは一部の模型に過ぎませんが、多くの模型が1/10というスケールなので各建築の大きさが体感的に理解できるのと、普段見られない部位やアングルから建築を概観出来るという点で非常にわかりやすく、楽しい展覧会でした。



それにしても、こうした模型がつくられているのは保存修復のたゆまぬ努力の成果な訳ですが、工匠の技術を含めてきちんと伝承していって欲しいなと思います。



展覧会は2月21日までらしいので、ケンチク好きの人は是非、足を運んでみてください。