2021/12/30

実物大ガンダム

 気づけば2021年も残すところわずかになりましたが、この一年を振り返ると外出が難しい期間が長かったので、ご多分に漏れず、ほぼ家と事務所、スーパーを往復する毎日でした。


そんな中で、自分的に記憶に残った今年のトピックはというと、横浜で公開されている「実物大の動くガンダム」の見学に行ったこと、がその一つとして挙げられます。


この動くガンダムは昨年暮れから公開されていて、来年3月まで期間限定で公開されています。

ちょうどコロナ禍の自粛期間のタイミングにずっと重なっていたので、行くに行けない状況が続いていたのですが、先日ようやく観に行くことが出来ました。




ゆっくりながら動くガンダム。

整備場での可動試験をイメージした設定になっているようです。

ガンダムは約18mなので、建物でいうとだいたい6階建てに相当します。脇のデッキに人影が見えますが、その巨大さがよくわかります。





夜間はこんな感じでライトアップされています。

昼間もいいですが、夜間だと非日常感が強くなって、よりフィクションの世界に浸れる感じです。







脇のデッキから見たところ。ガンダムの腰のところに支持アームがついていて、背後の黒い重機によってコントロールされて移動しています。


出来うるなら完全に自立して歩く姿を見たい、、、ものですが、荷重的に18mを歩かせるのが非常に難しいのと、地震や風圧に対する安全性からこういう形になったようです。確かに、18mの巨人が万一転倒したら、、、それだけで大事故のニュースになりそうです。


技術的には遊園地のアトラクションに近い気がしますが、重機と建築の技術をベースに各種の演出技術を組み合わせてつくられた、という印象です。

プロジェクトを統括しているのは乃村工藝社という、展示施設やイベント、インテリア等の分野で有名な施工会社が担当していますが、ケンチク系の会社が統括しているというのはこの実物大ガンダム、というプロジェクトの技術的な属性を象徴している気がします。


まあ、そういう意味ではケンチク的にも大変興味深い点があったのですが、やはり40年の年月を経てもなお人々を惹きつける魅力がある、というのは、ガンダムというロボットのデザイン自体が古臭さを感じさせない、シンプルなロングライフ・デザインであるから、という点も一因にあるかなと思います。

ガンダムのデザインをしたのは、大河原邦男先生というアニメのメカ・デザインの巨匠の方ですが、美大でデザインを学ばれたキャリアの方です。

大河原さんのデザインはパッと見でキャラの性格が理解できて、機能美を感じるものですが、モダニズムのデザイン的な美学を感じさせるのはデザインに対する基礎的な教養をお持ちなのかと思います。





脇のデッキから、横浜の港の夕景をバックに。
トリコロールカラーの直線的なエッジの効いたデザイン、というのはモダニズム・デザインの王道を行っている気がします。
そして近くで見ると、あたかも本当に動く機体が整備場に収納されているかのようで、テンションがあがります。






そして、ガンダムの脇で、はしゃぐオジサン(笑。






思えば、ガンダムのプラモデルを子供の頃に一生懸命につくったことが、今の職業にも繋がっています。


その当時は、40年後にもこのような形で、実体化したガンダムを楽しめる日が来るとは夢にも思っていませんでしたが、この40年で色々な世代の人に色々な方法で楽しめる、持続的なコンテンツに成長したのだと思います。



そして、自分自身もガンダムにも負けないような、シンプルなロングライフ・デザインで使い手から愛されるようなケンチクづくりをこれからも継続してゆければ、、、と思いを新たにした次第です。




最後に、今年も大変な日々でしたが、皆さまも良いお年を、お過ごしください。



2021/12/25

府中:断熱工事1

工事進行中の府中の二世帯住宅は、高気密・高断熱仕様としていますが、今回はその断熱工事の様子をご紹介。


この住宅は民間規格「HEAT20G2グレード」の断熱仕様としています。

これは、室内がおおむね13℃を下回らない程度の断熱グレードとされていて、現在の省エネ等級の最上級「等級4」で求められている外皮平均熱貫流率UA値0.87に対し、UA値0.46(温暖地域の場合)が求められます。

UA値はその数値が小さいほど性能が良いので、いわば「等級4」の倍の性能を持つのが「HEAT20G2グレード」になります。

とはいえ、そもそも日本の断熱基準は低く設定されていると言われており、「HEAT20G2グレード」でも高気密・高断熱仕様としてはミドルクラスの性能といえます。

個人的には東京のような温暖地域では費用対効果を考慮するとG2グレードくらいがバランスが良いのではないかと考えていますが、この府中の住宅もそうした考えのもとに断熱仕様が設定されています。




断熱材施工中の外壁側の様子。窓枠部分に木枠がついていて、その外側の外壁全般に張られているのが25ミリの断熱ボード。これは一般的に「付加断熱」といって、柱や梁といった構造部分から熱が伝わるのを防ぐために外壁側にまんべんなく張り巡らします。




外壁面をもう少し拡大してみた写真。外壁一面に張られているのが断熱ボードで、製品としては「フェノバボード」を使用しています。ざっくり言うと、密度の高い発泡スチロールを壁一面に張っているような感じです。このような処置をすることで外気の冷気・暖気が室内側に侵入するのを防ぎます。





一方、室内側はグラスウールを入れています。グラスウールはガラス繊維の断熱材で、木造ではよく使われています。

今回使用した製品は木造の規格に合わせて使いやすいように袋入りにされた製品「アクリネクスト」を使用しています。

隙間が出来ないようにまんべんなくグラスウールを充填することが施工上大事なポイントになります。




断熱工事は高気密・高断熱仕様のキモなので、また別の記事で改めてレビューしたいと思います。






2021/12/18

白井晟一展

 先日、渋谷の松濤美術館に「白井晟一展」を見に行きました。


白井晟一は戦後から80年代初期にかけて活躍した建築家で、寡作でありながら密度の濃い建築作品を創った建築家です。

白井は京都で生まれ育ち、戦前にドイツ留学して哲学を学んでおり、西欧建築に対する深い理解と教養を身に着けた一方で、伝統的な日本建築にも造詣の深いという、ちょっと異色の建築家です。


松濤美術館は白井の晩年の代表作で、松濤美術館の創立40周年を記念した回顧展として白井展が開催されました。




松濤美術館は外観からして要塞のようで明らかに普通でない(笑、、、ですが、ちょっと中を覗いてみたいなるようなデザインです。




中に入ると楕円形の吹抜けがあります。

地下2階から2階まで、4層の吹抜けになっていて、地下には噴水。

少しバブルな香りもしますが、、、最近の公共建築には見られない、大胆な構成になっています。





階段室も有機的な曲線と暗めの照明が洞窟の中に居るような感じで、心地よい空間になっています。





こちらの模型は六本木に近い、飯倉交差点に建っているノアビル。

六本木のランドマークのひとつとして認知されている、有名な建物ですが、こちらも楕円の黒い墓標のようで、異彩を放っています。




白井の建築は、大きな建築はほとんど無いものの、それぞれの建築が密度が濃くて圧倒される気持ちになります。


松濤美術館も建築としてのインパクトは大きいですが、美術の展示空間としては使いにくいだろう、、、という気がします。


とはいえ、元々はサロンの用途になっていたところを展示スペースにしたりしているので、当初の使い方の想定と現在の使われ方にギャップがあるようです。


今回の展示は2部構成になっていて、先日までの第一部は図面や模型を中心に白井の業績を回顧するものでしたが、第2部は建築そのものを竣工当時の状態に出来るだけ戻して、白井が意図した建築空間そのものを展示する、という試みがなされるようです。


建築が時代と共に使われ方が変化してゆくのは必然といえますが、40年の歳月を経て当時の状態への復元が試みられるというのは、建築に根源的、本質的な魅力が備わっているからなのだろうと思います。


決して使いやすくもなく、大きくもない建築ですが、デザインもサステナビリティ=持続可能性の重要な要素のひとつであることを教えてくれる、チャーミングな建築だなと思います。



1月からの第2部の展示を楽しみにしたいと思います。




2021/12/11

府中:構造検査

 少し前になりますが、府中の住宅の現場では金物検査を実施しました。


2階建ての木造住宅の場合、構造検査は法規上実施の義務はありませんが、安心・安全を確認するために、木の構造体が完了した時点で設計者が自主的に行う検査として実施しています。(地方自治体によっては義務化している地域もあります。)



今回、構造設計のエンジニアと協働しているので、エンジニアと一緒に検査を行いました。




屋根、壁の構造体があらわしになった2階のリビング。窓の開口も開いているので、だいぶ完成時の感じがわかります。




同じく2階のリビングの南側の窓を見たところ。

2階リビングは大きな窓を取ったので、かなり日当たりの良い空間になりそう。

中庭に面した窓なので、プライバシーも気にならないかと思います。




寝室、廊下側の眺め。

まだ間仕切りが入っていないのでヌケ感のある、広々とした空間になっています。

画面左側が寝室になりますが、中庭からの光が入る、穏やかな寝室になりそうです。




1階もほぼ完了しています。写真の左側は中庭に面した大きな窓の開口。



肝心の検査の様子を撮り忘れた、、、のですが、全体的に整然と出来ていて指摘事項の無い良好な結果でした。


構造体がそのまま見えているのをスケルトンといいますが、非常にワイルドでカッコ良いのですが、断熱性や耐火性に問題があるので都市部で実現するには難しい面もあります。



とはいえ、こうした構造体を部分的に見せることで空間に力強さや木の素朴な質感を演出することが出来るので、色々工夫しながら梁や柱を見せることはよくやっています。




構造は安心・安全のみならず、デザインの要にもあるので、細心の注意を払って常に設計していますが、その結果をこうしてエンジニアリング、デザインの面から確認するのが構造検査の主旨になるのかと思います。



そしてここから、工事は断熱工事へと入ってゆき、どんどんと進んでゆきます。








2021/12/05

ご当地ビール

 緊急事態宣言の解除もあって徐々にコロナ前の平常に戻りつつある感じですが、先日、久々に友人と事務所飲みをしました。


事務所飲みといっても、スーパーで買ってきたお惣菜とお酒を飲む、ごくごくシンプルなものでしたが、周りの人達や時間を気にすることなくゆったり飲食できるのが事務所飲みの良いトコロです。









写真は友人が持ってきてくれた、UK製の「ロンドン・プライド」とイタリア製のご当地ビール。


いずれもご当地で味わったビールを日本のお店で見つけて買ってきてくれたそうです。


最近は、海外の食品も探せば日本で手に入るようになりましたが、ご当地で堪能した「あの味」が気軽に楽しめるというのは、海外渡航が未だに難しい昨今ではより有り難いものです。



とはいえ、同じ食品でも何故か現地で食した味が日本では再現できない、、、気がするのは不思議なものです。




まだまだ、大人数で会食したり旅行がしにくい世の中ですが、良い加減に元に戻ってほしい、、、とご当地ビールを飲みながら切に願った次第です。









2021/11/29

鎮守の森

 都内で色々な場所に打合せ等で出かけることがありますが、都市化した風景が延々と続く中にひっそりと社寺仏閣とその敷地がエアポケットのように残されていることがあります。




写真は、都立大学にある氷川神社の参道。



住宅街の中に、100m以上はあろうかという細長い参道がひっそりと佇んでいます。

「氷川神社」は都内のあちこちに点在していますが、この神社も末社のひとつなのかと思います。

この参道の先にお社があるのですが、長い参道が残っているのは珍しく、歩いていて気持ちの良い空間でした。



シゴトの合間の散歩だったのであまりゆっくりは出来ませんでしたが、こうした鎮守の森は歩くだけでも良い気分転換になり、なんだかご利益があるような気になるものです。







2021/11/19

デンマーク大使館

 先日、代官山界隈で「猿楽祭り」というイベントがあり、その催しの一環として代官山にあるデンマーク大使館が開放されていました。


デンマーク大使館は建築家・槇文彦さんが設計された傑作、「代官山ヒルサイドテラス」の建築群と同じ通りにありますが、このデンマーク大使館も槇文彦さんが設計されています。


大使館の中は滅多に公開されないのですが、幸運にも見学することができました。



旧山手通りから見た外観。

落ち着いたベージュ系のタイルが北欧っぽいというか、オトナの建築、という感じです。

でもよくよく見てみると、デンマークの国旗=偏心した十字形に似ているような。

改めて写真を撮ってみて気づきましたが、ちょっと意識しているのかもしれません。




中庭にはテントが張られており、環境大国らしくSDGs関連の展示や食べ物の販売、LEGOブロックのイベント等で賑わっていました。


テントを張って、大胆に半外部の空間にする方法がオシャレかつエコな感じがします。




内部の階段。

槇さんらしい、エレガントで昇りたくなるような階段です。木で仕上げてあるのが北欧らしく、上の障子のような高窓もあいまって柔らかさを感じます。




内部の家具、調度品はほぼ全てデンマーク製品でそろえられています。

手前の籐製の座面の椅子はポール・ケアホルムの名作、PK22ではないかと思います。

デザイナーなら誰でも知っているようなプロダクトがさりげなく置かれていて、そういうところも見どころのひとつでした。




きれいにテーブルコーディネートされたダイニング。

シンプルですが、エレガントさを感じるところが北欧的だし、さすが大使館だなあと思います。




敷地の奥には中庭があり、緑豊かな風情のある風景が拡がっていました。

東京とは思えないような、静かで余裕のある空間の使い方ですが、こういうところで働いてみたいものです。



総じて、控えめな意匠と北欧らしい細やかなインテリアや調度品のアレンジで、デンマーク気分を味わうことが出来ました。


時々、大使館関連のイベントや何らかの用事があって、各国大使館の中に入る機会があったりするものですが、やはり一歩入るとそこは外国、、、という感じで、それぞれにある個性は興味深いものがあります。


その中でもデンマーク大使館は建築的にも中のコンテンツもとても良質なものになっていて、色々と堪能しながら見学することが出来ました。



今回は残念ながら昼食直後に行ったので飲食を断念したのですが、また機会があれば中に入ってカールスバーグやデンマーク風ホットドッグを堪能したい、、、ものです。






2021/11/15

府中:上棟

 府中の二世帯住宅は先日無事に上棟しました。



道路から見たところ。
少し小ぶりに見えますが、実際には奥行きがかなりある敷地なので、道路からの見た目以上に大きな住宅です。






2階世帯のリビング。上部に小屋裏収納スペースがありその分天井が高くなっています。
天井が高いと開放感があって面積以上に広く感じられます。





屋根面を撮ったところ。
高所恐怖症気味なので(笑、、、近くの足場にしっかりつかまって、やっとの思いで撮りました。




中庭部分を見たところ。

4m角くらいの広さがあり、都市住宅としては広めの中庭です。


奥行きの長い敷地でも中庭があると日当たりや居住性がかなり改善されます。


京都の町家をはじめ、昔から使われている手法ですが、現代においても有効な手法だと思います。




上棟は通常1日くらいで建込みを完了しますが、基礎の段階までは平面的だったのがいきなり立体として立ち上がってくるので、工事においても最も劇的な工程だなあといつも思います。



ここから竣工まで、まだまだ先は長い、、、のですが、引き続き丁寧なものづくりを

すべく、現場の皆さんと共に尽力しているところです。




2021/11/07

ピェンロー鍋

 気づけば鍋の美味しい季節になりました。


定番のお鍋もいいものですが、ここ最近はネットで簡単に色々な種類のお鍋のレシピを参照できるので、新なレシピにチャレンジしてみました。


先日つくったのは「ピェンロー鍋」。






しいたけと昆布でだしを取って、白菜、豚バラ肉、鶏肉、春雨を入れてじっくり煮込み、最後にゴマ油をかけていただくお鍋です。


もとは中国由来のお鍋らしいですが、舞台美術家の妹尾河童さんが著書の中で紹介してだんだんと広まったらしいです。


ゴマ油と椎茸のだしが滋味深い味で、また野菜が多いのでヘルシーに食べられます。




実は随分昔、旧職のアトリエ事務所では夕食をスタッフ全員で食べる習慣があり、一度だけこの鍋とおぼしきゴマ油と春雨の入った鍋を皆で食べたことがありました。


その時の鍋がピェンロー鍋であったか定かではありませんが、、、ゴマ油をかけたお鍋というのはそれまで食べたことが無く、ちょっと記憶に残っていました。そして、ネットで見つけたゴマ油と春雨の鍋の写真を見つけて妙になつかしく感じ、ちょっと挑戦してみた次第です。



ふだんの料理というのはどうしてもパターン化してしまうものですが、たまに定番を外すと新しい味やなつかしい味があるものだなあとつくづく思います。




そしてこれはジャンルを問わず言えることかもしれませんが、定番から新しい世界にちょっとチャレンジして知見を広げるのは、人生を豊かにする上でも大事だなあ、、、とも思います。





そんなことをちょっぴり考えつつ、、、ピェンロー鍋に舌鼓を打った味覚の秋の夜でした。




2021/10/31

丹下健三展

 既に終了していますが、先日、湯島の建築資料館に「丹下健三展」を見学しに行きました。


主にオリンピックくらいまでの活動を回顧する展覧会で、模型や手書き図面を中心とした当時の資料をふんだんに使った展示がなされていました。




入り口の写真。

代々木体育館の夕景です。

すぐにそれと分かる、特徴的なフォルムをしています。




代表作のひとつ、香川県庁舎。

近年、免震工事と高層棟の増築があって、今も現役で活躍している丹下建築のひとつです。





1950年代に建てられた、成城の自邸。

木造の高床式で、神社のような古典的な雰囲気と開放的なモダニズムが融合した名住宅と知られています。


昔、ウチの大学の先生が訪問したことがあった話しを聞いたことがありますが、開放的なつくりの住宅であったが一室だけ「開かずの間」があったそうです。

おそらくそこに家財・生活用品等を置いていたのでは、、、とおっしゃってました。

この住宅は現存していませんが、ちょっと見てみたかった気もします。





こちらは卒業設計の展示。

初めて見たのですが、日比谷公園の中にある「芸術の館」だそうです。

ル・コルビュジエの影響を色濃く感じる計画案ですが、卒業設計のオリジナルの図面がそのまま残っている点はすごいものです。






こちらは、代々木体育館と周辺エリアの現況を再現した模型。


渋谷の高層建築群を背景としつつ、明治神宮のお社と軸性をつくりながら配置されているのがよくわかります。


これは偶然なのかもしれませんが、都市的な視点で建築を捉える丹下さんのことなので、明治神宮との位置関係を何かしら意識して配置していたのかもしれません。




丹下健三の建築というのはそのエリアのランドマークとなっている建築も多く、50年くらい建った現在でも現役で使われているものが多くあります。


一方で、耐震性や使い勝手を理由として人知れず壊される、残念なケースもあります。


代々木体育館は重要文化財に指定されるようですが、その他の丹下建築のいくつかはいずれ文化財、世界遺産に認定されるのではないかと思います。


保存と使用の両立はいつも難しいものですが、文化財としての価値を維持しつつ、改変を加えながらもオリジナルの良さを残しながら使われ続けるのが、建物としては理想形だなと常々思います。


都内ですと代々木体育館のほかに目白の東京カテドラルも傑作のひとつになりますが、時々足を運んでその空間を味わいたくなる建築のひとつです。


時々、訪れたくような建築はそれほど多くは無いものですが、丹下建築のいくつかはそうした普遍的な魅力を持っていると、改めて感じることの出来た展覧会でした。









2021/10/21

府中:基礎工事

 府中の現場ではコンクリートの基礎工事が完了しました。




基礎の立ち上がりはだいたい部屋割りと合っているので、なんとなく空間の感じが見えてきます。

ちょっと立体的なアミダくじみたいな感じですが(笑、土が見えている部分は中庭部分になります。


最近の基礎はベタ基礎といって全面的にコンクリートを打つケースがほとんどですが、一昔前の建物は床下も土壌のまま、というケースが多くあります。30年くらい前から徐々にベタ基礎が標準化されてきたようですが、耐震性や湿気、断熱等を考慮するとベタ基礎以外はもはや考えられない、、、という感じです。

同じ住宅でも昔と今で徐々に常識が変わってゆくことを、身を持って痛感していますが、数十年先でも十分に通用するスペックで住宅をつくりたいと常々思っています。


そしてここから、土台といわれる基礎の上の木材を設置してからプレカットの木材を建て込んでゆく建て方の工程に入りますが、建て方に入ると一気に立体的な姿が見えてきます。



いわば前半のクライマックスとも言える工程になるのですが、まずは建物を支える基礎がしっかり出来て、一安心といったところです。






2021/10/14

りんご

 先日、親戚からリンゴの箱詰めセットをいただきました。


青森県産のリンゴが色々入ったセットです。



ひとつづつ、名前が入っているので、どんな種類のりんごかがひと目でわかるようになっています。


夕食後のデザートに、日替わりで異なる種類のりんごを楽しんでいます。ありがたや。





気づけば10月も中旬になり、都内もようやく秋らしい空気になってきましたが、食の秋、でもありますので、例年以上に食を楽しめられれば、、、と思います。








2021/10/09

湯島天神

 先日、近代建築資料館という湯島にある施設に行った帰り際に、湯島天神さんにお参りしてきました。




都心では珍しい、木造の拝殿と本殿。

90年代に再建されたものだそうです。


境内は湯島の台地の突端にあり、周囲の建物より高い地盤にあるので、空に抜け感があります。やはり、神社仏閣はその土地界隈で一番良い感じの場所にあるものですが、湯島天神もそうした例にもれず良い立地にあるなあと思いました。




神社があるような場所に行くとそれだけで良い気分転換になる、、、なと、改めて実感した次第です。





2021/09/29

タムラサトル展

 先日、筑波大芸術専門学群の同級生、タムラサトルの個展@銀座蔦屋に行ってきました。


タムラくんは大学一年生の時からの友人ですが、現代美術の分野で活躍していて、海外での展覧会等も含めて意欲的に活動されています。

今回はGINZA SIXの中にある、銀座蔦屋のギャラリーでの展示。

銀座のメジャーな商業施設での個展というのはスゴイことです。



展覧会のタイトルはTOKYOマシーン。




TOKYOマシーン、これです。

文字はチェーンで出来ていて、モーターでずっとチェーンが廻っています。

意味があるような、無いような、、、なんだかユーモアもありつつハードな質感の作品です。




こちらは「ピース」。




こちらも「ピース」。

って、オヤジギャグですが・・・・。




一瞬、マスクを外して。

左がタムラくん、右がワタクシめ。

それぞれ見た目は変化したものの、、、キャラは学生時代と変わらない、気がします。



タムラくん、見た目も作品もパワフルな感じですが、こちらもパワーをもらいました。


友人知人に会う機会もなかなか持てない昨今ですが、こうしたパブリックなイベントがあると良いきっかけになります。



そして、久々に旧友に会うと、パワーももらえてポジティブな気も増すものです。



コロナ禍の緊急事態宣言もようやく明けるところですが、引き続き慎重に行動しつつも気兼ねなく人に会える日々が戻ればなあと思います。





2021/09/25

府中:配筋検査

 府中の二世帯住宅の現場は土工事から基礎工事に入っています。


先日、鉄筋の配筋検査を行いました。




建物の外形がなんとなくわかる感じになっています。約20cmのピッチで鉄筋が並べられています。

ブルーシートがかかっているところが中庭になる予定。




グリッド状に整然とならぶ鉄筋はキレイなものです。


検査は、構造設計者も立ち会っての自主的な検査でしたが、大きな指摘事項もなく完了しました。


工事の人からすると、設計事務所が手掛ける住宅の基礎は鉄筋の量がかなり多くて大変、、、らしいですが、我々からするとこれが普通で、安心安全の為には最も大事な箇所と考えています。



今のところ、工事は順調に進んでいるので、大過なくこのペースで進んでほしいなと思います。






2021/09/22

中秋の名月

 昨日は中秋の名月ということで、色々な方がSNSにお月さまの写真をアップしていました。


そんなちょっとした流行りごとに乗っかって(笑、中目黒の事務所界隈のお月さまの写真をアップ。




目黒川上空の月。

昨日はひときわ明るいお月さまでした。





タワマンの頂部にかかる月。

まるで後光が差しているかのようなタイミングで撮れていますが、実際にはもっとお月さまがはっきり見えていて、月の美しさが際立っていました。




写真はいずれもiphoneで撮っていますが、特に夜景はまだまだ肉眼で感じる美しさにかなわないなあと思います。(撮り方が下手というのもありますが・・・)




ともあれ、お彼岸も控えて気候的にも過ごしやすい日々になりつつありますが、たまにはお月さまを愛でる、心の余裕を持ちつつ日々過ごしたいものです。





2021/09/16

秋の和菓子

 早いもので9月も中旬になっていますが、暑さが一段落するこの時期は食の秋、に向かってにわかに食欲がわいてくる時期でもあります。





こちらの饅頭は、福岡県太宰府にある老舗和菓子屋さん、「梅園」さんのお饅頭。

秋に合わせた月見柄がちょっとカワイイ感じの、栗餡のお饅頭です。



梅園さんはここ数年、東京のデパートで1年に2回程度の頻度で出張販売していて、そのたびに買い出しに行っています。



実は昔、祖母の家が太宰府にあったのですが、祖母が時々送ってくれた和菓子が梅園さんのものでした。そのご縁で個人的にすごく懐かしい味のお菓子もあったりするのですが、特筆すべきは全てのお菓子が手作りで、昔ながらの変わらぬ味を守られている点です。


そして、いずれのお菓子も自然由来の原材料でつくられており、昔ながらのシンプルで素朴な味わいながら、ナチュラル志向の今の時代にあったお菓子づくりをされているなあと思います。毎年、有名デパートで出張販売できているのもそうした味や姿勢が評価されているからかもしれません。



そんなこんなでお饅頭を味わいながらじっくり食したわけですが、お饅頭の絵柄にある、今年の中秋の名月は9月21日だそうです。




当日が晴れるかどうかわかりませんが、満月を愛でながらお菓子を食べる、そんな緩いおウチ時間が持てればいいなと思います。









2021/09/11

イタリア視察:ヴェネツィア3

 不定期でレビューしている、イタリア視察のベネツィア編の3回目です。


ベネツィアの中心といえばサンマルコ広場ですが、広場に面して多くのカフェがあります。

その中でも最古といわれる「カフェ・フローリアン」を訪ねました。

調べると1720年創業(!)だそうで、カフェ・ラテ発祥のお店とのことです。




クラシックな雰囲気のあふれる、お店の外装。





店内もクラシックな感じ。古さを感じますが、よくメンテナンスされているので上質な感じがします。





店内の床のモザイクタイルも可愛い、です。床は消耗しやすい部位ですが、やはりメンテナンスがしっかりされているのだと思います。




ちなみに、こちらが当日頼んだティーセット。
何を頼んだのかは忘れてしまったのですが、、、カフェというのは雰囲気を含めて味わうものかなと思います。




外にはテラス席。楽団の生演奏付きなのですが、その分お値段もお高く、、、設定されていました。


こうして大勢のお客さんが集まって会食を楽しんでいる風景は今や隔世の感がありますが、また自由に往来して気楽にカフェに行ける日々が早く戻ってほしい、、、と思います。



そして、日本では100年以上前から同じ立ち姿で持続しているお店はなかなかお目にかかれないものですが、さりげなく日常に溶け込んで使われ続けているこのカフェのように、持続的に愛されるような空間づくりを心がけたいなあ、と気持ちを新たにした次第です。