既に終了していますが、先日、湯島の建築資料館に「丹下健三展」を見学しに行きました。
主にオリンピックくらいまでの活動を回顧する展覧会で、模型や手書き図面を中心とした当時の資料をふんだんに使った展示がなされていました。
入り口の写真。
代々木体育館の夕景です。
すぐにそれと分かる、特徴的なフォルムをしています。
代表作のひとつ、香川県庁舎。
近年、免震工事と高層棟の増築があって、今も現役で活躍している丹下建築のひとつです。
1950年代に建てられた、成城の自邸。
木造の高床式で、神社のような古典的な雰囲気と開放的なモダニズムが融合した名住宅と知られています。
昔、ウチの大学の先生が訪問したことがあった話しを聞いたことがありますが、開放的なつくりの住宅であったが一室だけ「開かずの間」があったそうです。
おそらくそこに家財・生活用品等を置いていたのでは、、、とおっしゃってました。
この住宅は現存していませんが、ちょっと見てみたかった気もします。
こちらは卒業設計の展示。
初めて見たのですが、日比谷公園の中にある「芸術の館」だそうです。
ル・コルビュジエの影響を色濃く感じる計画案ですが、卒業設計のオリジナルの図面がそのまま残っている点はすごいものです。
こちらは、代々木体育館と周辺エリアの現況を再現した模型。
渋谷の高層建築群を背景としつつ、明治神宮のお社と軸性をつくりながら配置されているのがよくわかります。
これは偶然なのかもしれませんが、都市的な視点で建築を捉える丹下さんのことなので、明治神宮との位置関係を何かしら意識して配置していたのかもしれません。
丹下健三の建築というのはそのエリアのランドマークとなっている建築も多く、50年くらい建った現在でも現役で使われているものが多くあります。
一方で、耐震性や使い勝手を理由として人知れず壊される、残念なケースもあります。
代々木体育館は重要文化財に指定されるようですが、その他の丹下建築のいくつかはいずれ文化財、世界遺産に認定されるのではないかと思います。
保存と使用の両立はいつも難しいものですが、文化財としての価値を維持しつつ、改変を加えながらもオリジナルの良さを残しながら使われ続けるのが、建物としては理想形だなと常々思います。
都内ですと代々木体育館のほかに目白の東京カテドラルも傑作のひとつになりますが、時々足を運んでその空間を味わいたくなる建築のひとつです。
時々、訪れたくような建築はそれほど多くは無いものですが、丹下建築のいくつかはそうした普遍的な魅力を持っていると、改めて感じることの出来た展覧会でした。