2010/02/21

桜丘3

引き続き桜丘の現場です。

上棟時の構造検査を行いました。
基本的に木造の一般的な規模の住宅だと法律的に義務付けられた検査は無いのですが、我々のような設計事務所だと監理を徹底するため、自主的に検査を行います。

やはり耐震性や安全性の品質というのは昨今の情勢からしても重要な点になっているので、気をつけるポイントのひとつです。


既に構造体はほぼ完了しているので、家の全景が見えています。
まだ窓の開口を開けていないので一面壁に見えますが、これから窓や壁を整えていきます。
今回は特に意匠的にアクロバットなことをやっている訳ではなく、どちらかというとシンプルに居心地の良い家、を目指してます。



内部の様子です。天井の架構が見えています。このままでも結構キレイだったりするのですが、断熱を考慮して、仕上材で隠すことになります。ちょっと残念ですが。
奥には既存部分の壁と窓が見えています。窓は今後撤去する予定ですが、増築部分の内外の区画が完成してからになります。

増築工事というのはこういう既存部分との調整というのが結構手間がかかったりします。


         

同様に増築部分と既存部分の屋根の接合部分です。
右側が増築部分、左側の雨樋がついているところが既存部分です。

既存部分が工事中に雨漏りをすると大変なので、ここも早めに屋根工事を完了させたいところなのですが、ここのところ雨や雪が続いていたので、ちょっと工事のタイミングが遅れているみたいです。

建築の現場は特にこの段階くらいまでは天候に左右されることが多いです。
やっぱり技術が進んだとはいえ、お天道様の影響を受けるというのは昔から変わらないですね。

4月中旬には完成予定ですが、規模が小さいので通常の現場に較べるとかなり早いです。



現場の帰り際に、お施主さんから旅行のお土産をいただきました。



グアムに行かれたらしいのですが、アメリカ圏のお土産の定番、マカダミアチョコ。

「超」定番、もしくはお約束、、、とさえも言えるのですが、結構好きだったりします。
定番モノというのは外れが無いという味の点もさることながら、誰かが旅行に行ったんだなあ、ということを如実に感じさせてくれるアイテム、ともいえます。

同様の定番といえば、京都の生八ツ橋、名古屋・伊勢の赤福とかでしょうか。
味やパッケージと共にご当地の風情を反射的に思いだしてしまいます。もはや記憶に刷り込まれている、といいますか。

まあ、かくして事務所の茶菓子としてテーブルの上に置いているのですが、ついついほおばってしまいます。最近体脂肪が気になるんですけどね・・・。


2010/02/16

桜丘2

先日、桜丘の現場で木軸の建て方が始まっていたので確認しに行ってきました。




今回、増築工事なので後ろに既存の建物が控えています。既に外壁の仕上は撤去されていて、防水シートが露出した状態です。

基本的にこういう柱梁の部材というのは事前に所定の寸法や納まりに加工されていて(プレカットといいます)、現場ではその部材を組み立てていくだけなので、とても早いです。
規模にもよりますが、2,3日あればだいたい上棟します。


          

部材の接合部分のアップです。キレイに加工されています。




          

入口のアプローチ部分です。だいたいどんな空間になるか、枠組みが見えてきています。


こういう建て方の時というのは設計者は黙って作業を見守るくらいしか、なすすべがないのですが、高木親方をはじめとした職人さん達が大変なりに楽しそうに声を掛け合いながら作業をしていたので、安心しました。

建設の仕事に限らず、シゴト場の雰囲気の良し悪しは、シゴトの質や効率に影響します。そういう意味で、こういう雰囲気の良い現場であれば大丈夫かなという感じがします。

慣れ合いすぎてダレた雰囲気にならず適度の緊張感のあるシゴト場、というのが理想だと思うのですが、最近つとにそういう感情面や対人面でのマネジメントというのが重要だと感じているところです。

ウチの事務所でもそういう雰囲気づくりは大事だなあ、と思って自分なりに試行錯誤しているところです。まあ、ごく少人数なのでマネジメントという大袈裟なものではないですが。。。

2010/02/11

パエーリャ

一般的に、ブログというのはよくその日食べたおいしかったものとかがよくアップされています。食というのは万人にとって共通の関心事な訳で、ブログに食べ物ネタが多いのもさも有りなん、という感じですが、このブログでの食い物ネタは今回初めてです。

食べ物に関心が無い訳でなく、味覚は鈍感な気がすれども、、、人並みに関心はあるかな、と思っています。
ただ人様に披瀝するほどに日常的にウマいものを食べているかというとそうでもない、のと、建築家のブログ、なので当然ながら建築ネタがメインになるというのがあります。
あと、お店に行ってウマそうな食べ物が出てきた時、ブロガー的にはそこで写真を一枚、となるのでしょうが、その場の雰囲気というか流れをちょっと切ってしまうのがやや気になるタチ、というところがあります。

それでなんとなく食べ物ネタが無かったのですが、たまには良いかなあ、ということでちょっと書いています。
前フリが長くなりましたが、初登場はパエーリャ弁当です。






毎週水曜に中目黒にワゴンでやってくるお弁当屋さんのひとつでパエーリャ専門のお弁当屋さんのものです。
毎回、イカスミとか魚介とか鶏とマメとか違う種類のパエーリャ+タパスorスープ、というセットになってます。なんでもスペインとイギリスで修業された、ということで味もボリュームもなかなかです。

写真のパエーリャは漁師風=魚介系で、タパスに肉団子+サラダという組み合わせです。
ガーリックマヨとレモンをかけて食べるのがバレンシアの本場の食べ方、らしくガーリックマヨがたっぷりです。

美味しいので、毎週楽しみにしているんですが、最近は結構行列が出来ていて待ち時間が長くなっているのがたまにキズ、かもしれません。

こういうちょっと変わったネタのお弁当屋さんが来るのが中目黒という場所の魅力のひとつ、でもあったりします。

2010/02/07

AIR MAIL

先日、事務所に宛先不明の年賀ハガキが戻ってきました。









ジムさんがアメリカの友人宛てに出したハガキですが、宛先不明で約一ヶ月の長旅をして手元に戻ってきたという・・・・。


たかだか70円のハガキですが、海を越えてちゃんと律儀に戻ってくるというのがオドロキといいますか、一体何マイルの距離を飛んで帰ってきたんだろう、とか考えるとちょっとロマンを感じます。


人間も100円足らずで往復出来ればいいんですけどね・・・。
ちょっとハガキがうらやましいなあ、とか思ってしまいました。

2010/02/04

桜丘

年明けから世田谷で住宅の増築工事の現場が始まっています。

先日、基礎の配筋検査に行ってきました。



左側の青い建物が2005年に竣工した住宅の既存部分です。
床部分にきれいに格子状に並べられたのが基礎の鉄筋です。

前職で担当していたのですが、増築にあたってボスの監修のもと、ウチの事務所で引き続き担当させていただくことになりました。担当者冥利といいますか、事務所を辞めても指名していただけるのは大変有り難いことです。





鉄筋のアップです。こうして見ると格子が整然とならんでいて結構美的にグー、だったりもします。

通常の住宅の基礎の配筋よりだいぶ多いです、、、と施工を担当してくれている工務店の方が言っていましたが、コンクリート構造を見慣れた我々からすると妥当なトコロかなあ、と思います。

むしろ昨今の構造にからむ事件や震災とかを考えると安全率が高い設計の方が当然ながら安心度は高まります。
今回は前職からお願いしている構造設計の方に再びお願いしたのですが、信頼できるヒトとのコラボレーションは大事だなあ、と思います。


最近シゴト以外のネタが多かったのですが、LHAのシゴトも色々進んでます。。。

2010/02/01

沼津&御殿場

先日、日帰りで伊豆方面にミニ建築ツアーに行ってきました。

まずは沼津にある杉本博司設計の美術館


小さい美術館が集合したエリアの一角にあるのですが、もともと別の美術館だったのを最近リノベーションしてつくったらしいです。


エントランス廻りの眺めです。奥に中庭が見えてます。



傍らには大きな石組がつくられています。



館内にある別の中庭にはこれまた古墳に似た石組が。

インテリアは至ってミニマムな表現のホワイトキューブでしたが、やはり元の建物自体が必ずしも良い建築ではない感じだったので、その建物の枠組みを劇的に変化させるには至っていない感じでした。
なので、杉本博司の手の痕跡を多く感じられるのは庭や石組だったのですが、ガラス窓を通してしか見ることが出来ない空間になってしまっているので、やや消化不良の感じは否めませんでした。

とはいえ、杉本ファンにとっては一見の価値アリ、かと思います。
かくいう自分も90年代からの杉本ファンなので、見れて非常によかった訳ですが。


で、お次に御殿場にある、建築界の重鎮、故吉田五十八の設計した旧岸信介邸と隣接した敷地にある、内藤廣設計のとらや工房に行ってきました。



道路側の入口です。この門の奥に旧岸邸ととらや工房があります。
駐車場の看板が無かったら見過ごしてしまうような、さり気ない佇まいなのですが、あえてこういうひっそり感を演出しているみたいです。


旧岸邸の全景です。大政治家の邸宅らしく、敷地がとにかく広い。
同時に豪勢に見せるというよりかは、渋い色の勾配屋根にして周辺環境になじむように配慮していることがうかがえます。


中は基本的にモダンリビングといいますか、純和風というより近代建築を和風に仕立てたという趣きが強い感じです。床の間に見立ててあるアルコーブとかがちょっといい感じです。

規模は違うにせよ、昔の祖母の家に近いような、なんだか懐かしい雰囲気というのがあります。

             

書斎です。岸元首相の写真が飾ってあります。こういう木と障子のインテリアというのも懐かしい感じがします。


数寄屋和風の名手だった吉田五十八らしく、ディテールもちょっと凝ってます。
左は引戸の取手ですが、扉に貼られた和紙と一体になって、存在感をなくすようにしてます。
右は窓の枠ですが、斜めに面取りされていて細く繊細に見えるように工夫されています。

建築家というのはこういう細部に至るまで気を使って設計している訳ですが、建物を見に行くと設計者は、こういう詳細を見つけては「萌え」ている、、、といえます。。。



で、最後に同じ敷地のとらや工房でお茶をしました。


              

内藤さんらしい、ごくシンプルでてらいの無い建築です。


              

とらやの工場と休憩スペースが隣接しているのですが、休憩スペースは半屋外になっていて木をふんだんに使った、心地良いスペースです。外にはお庭と池があるのですが、林の中に囲まれていて池の小滝の音だけがチョロチョロと聞こえてきます。たぶん、庭の風景や音も含めて一体的に空間をつくっているのでしょうが、建物だけでなく廻りの環境も含めた全体として建築を考えるというのは大事だなあ、と思います。

旧岸邸は、基本的にコンクリートの建物に和風の意匠を徹底的に施した形式になっているので、どことなく構造と意匠のギャップがどうしても感じられて実はあんまり好みでは無かったのですが、吉田五十八の木造をむしろ見たいなあ、と思いました。
今回見た中では内藤さんの建物が個人的に一番良かったのですが、あまり気負いすぎず、凝りすぎずにデザインしている、その抜け感がいいのかもしれません。良く見るとすごく凝っているのですが、傍目にはそう気づかないような、建築を主役としていない造り方は学ぶべきものがあるなあ、と思いました。

ちなみに今回は「所長特権」で平日に休んで行ったのですが、建築をじっくり観ようという時は結構いいかもしれません。人がいなくて寂しい感もありますが、その分落ち着けるというのは確かです。
まあ、平日に休むというのはなかなか難しいのですが。。。