先日、 緊急事態宣言で休館していた東京国立博物館で再開された「国宝 鳥獣戯画のすべて」展に行ってきました。
鳥獣戯画は甲乙丙丁の4巻があるらしいのですが、その4巻と本来は鳥獣戯画に含まれていた絵の一部である、「断簡」も出展されていて、いわば鳥獣戯画ファミリーが勢ぞろいして見られるという、大変貴重な展覧会です。
会場内は残念ながら撮影禁止でしたが、入場者数の制限をしているので比較的ゆったり見ることが出来ました。
そして、鳥獣戯画として一番有名な「甲」巻については動く歩道(!)に乗って見学するという、新しい試みがなされていました。
鳥獣戯画の甲巻は長さ11メートルくらいの巻物なので、動く歩道でゆっくりと進行していくと映画を見るかのごとくに画面が流れてゆくのでけっこう楽チンで見やすいなあと思いました。加えてじっと立ち止まる人も出ず滞留も起こらないのでスムースに見られました。個人的に、巻物のような横に長い絵画においてはぜひ採用してほしい展示方式と思います。
鳥獣戯画の各巻に共通しているのは、動物や人々がいずれも楽しそうに生き生きとした筆致で描かれている点と思いますが、遊びや楽しさ、笑いにあふれた姿を黒一色の毛筆で一気に描いた画風は現代の漫画の源流の一つとされるのも納得な気がします。
特に今はコロナ禍の最中でもあるので、こうした笑いのある楽しい世界の描写はちょっとココロに沁みいるものがあります。
およそ800年前の絵画ですが、時代を超えた普遍的な魅力のある絵画だなあと、実物を観て改めて実感した次第です。
展覧会は6月20日まで延長されており、なかなか予約もとりづらい展覧会ではありますが、貴重な傑作のそろった大変オススメの展覧会です。