先日、お誘いを受けて国立劇場に日舞の観劇に行く機会がありました。
国立劇場は1960年代に設計コンペを経て建てられた建築です。
竹中工務店に在籍していた岩本博行のチームが一等案に選定されて、竹中工務店の施工により1966年に竣工しています。
2003年には、「DOCOMOMO JAPAN 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されています。
校倉造をモチーフにした、シンプルながら力強いデザイン。
インテリアは撮影できませんでしたが、劇場内も木を基調にしたシンプルなデザインで、古き良き日本のモダンデザインの見本のようなケンチクでした。
しかし、残念ながら来月末での閉館が決まっており、近いうちに建て替えられるそうです。
見た感じでは、キチンと修繕すればまだまだ使用できる印象でしたが、1950~1980年代の建築は、有名なものですら耐震性や使い勝手の悪さを理由にして、一部の建物を除いて次々と建て替えられています。
中には文化財や世界遺産になりえるような良質な建築もあるので、こうした建築群を再利用し、、何らかの形で再生する方法も検討した方が、人口減が見込まれる社会の中では有効な気もします。
都内では再開発が各所で続いていて、新たな施設がオープンすると興味津々で見学に行ったりしますが、どこの再開発もなんとなく似たようなお店やデザインになっていてガッカリ、、、ということもよくあります。
そういう意味では、そこにあった古いものを再利用するということは、街の記憶という個性を活かした開発になるという意味で有効な気もしますし、ケンチク好きの一人として、良質な建築は生き残っていってほしい、という願望もあります。
ともあれ、国立劇場はこれまで足を運んだことが無かったので、閉館前に見ることが出来、かつ、これまできちんと見る機会がほとんど無かった日舞も見られて、ラッキーな一日でした。