2023/09/30

国立劇場

 先日、お誘いを受けて国立劇場に日舞の観劇に行く機会がありました。


国立劇場は1960年代に設計コンペを経て建てられた建築です。

竹中工務店に在籍していた岩本博行のチームが一等案に選定されて、竹中工務店の施工により1966年に竣工しています。

2003年には、「DOCOMOMO JAPAN 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されています。





校倉造をモチーフにした、シンプルながら力強いデザイン。


インテリアは撮影できませんでしたが、劇場内も木を基調にしたシンプルなデザインで、古き良き日本のモダンデザインの見本のようなケンチクでした。



しかし、残念ながら来月末での閉館が決まっており、近いうちに建て替えられるそうです。


見た感じでは、キチンと修繕すればまだまだ使用できる印象でしたが、1950~1980年代の建築は、有名なものですら耐震性や使い勝手の悪さを理由にして、一部の建物を除いて次々と建て替えられています。


中には文化財や世界遺産になりえるような良質な建築もあるので、こうした建築群を再利用し、、何らかの形で再生する方法も検討した方が、人口減が見込まれる社会の中では有効な気もします。



都内では再開発が各所で続いていて、新たな施設がオープンすると興味津々で見学に行ったりしますが、どこの再開発もなんとなく似たようなお店やデザインになっていてガッカリ、、、ということもよくあります。


そういう意味では、そこにあった古いものを再利用するということは、街の記憶という個性を活かした開発になるという意味で有効な気もしますし、ケンチク好きの一人として、良質な建築は生き残っていってほしい、という願望もあります。



ともあれ、国立劇場はこれまで足を運んだことが無かったので、閉館前に見ることが出来、かつ、これまできちんと見る機会がほとんど無かった日舞も見られて、ラッキーな一日でした。









2023/09/11

ガウディ展

 気づけばもう9月ですが、そろそろ夏の展覧会も会期末、、、ということで先日「ガウディ展」に行ってきました。


展覧会は、サグラダ・ファミリア教会を中心にガウディの軌跡をたどる展示でした。






サグラダ・ファミリアは2009年に現地を訪れて見学しているのですが、そこから10数年の月日が経ち、現在はかなり全体像が見えてきています。

個人的に、その時の見学の復習も兼ねての展覧会訪問でした。



ちなみに、2009年の時の写真はこちら。


展覧会の展示写真と比べると塔の本数が全く違う、、、のがわかります。


永遠に未完と言われていたサグラダ・ファミリアですが、2026年にはキリストの塔といわれる一番高い塔が完成する予定だそうです。

テクノロジーや構法の進歩や観光収入による工事資金の充実もあって、飛躍的に工事が進捗しているようです。




こちらは展覧会にあった、身廊部の模型。




こちらは、2009年当時の写真。

よく見るとまだ足場がかかっていますが、現在は内部もだいぶ完成しているようで、ミサが行われている映像も上映されていました。






こちらの彫像は、現地に実際に設置されていた、彫刻主任・外尾悦郎さん制作の彫像。

だいぶ風化していますが、より耐久性のある石材による彫像に交換されたとのことです。


これらの彫像は実際には高所に設置されているので、こうして表情がわかるような至近距離見られるのは展覧会ならでは、と思います。



こちらは2009年の写真。

この部分は「降誕のファサード」といわれ、ガウディが生前手掛けていた部分です。


この「降誕のファサード」は、ガウディが自ら身命を賭して造られただけに、非常に密度の濃い、魂のこもった大変迫力のある造形になっています。






















「降誕のファサード」は建物全体からすると20%程度の部分ですが、この部分で示されたガウディのビジョンや造形的な完成度の高さがあったからこそ、今日も建設が続き、世界中から人々が訪れる、「世界一有名な工事現場」になりえたのかと思います。




展覧会を見学して、また久々に当時の写真を見返したりして、当時のフレッシュな感動がちょっと蘇った次第です。




東京の展覧会は終了しましたが、滋賀と愛知に巡回するそうです。

模型やドローイングだけでなく、映像の展示も充実していてわかりやすく、サグラダ・ファミリアの現状を知るにはオススメの展覧会です。