2020/01/27

イタリア視察:ローマ6

年末年始の時事ネタ等でだいぶ間が空いていますが、イタリア視察の続きをアップします。


ローマはバロック=17世紀前後の美術のムーブメント、建築様式の遺産も多くあります。

建築や都市の文脈ではルネサンス期の建築と較べてより動的でドラマチックな意匠が好まれ、軸性を強くしたり、楕円で動きをつけたりといった形態的な特徴が出てきます。



今回ご紹介するのはそうしたバロックの時期に計画され実現したデザインになります。



まずは著名なスペイン広場。
「ローマの休日」で有名な階段ですが、うねるような曲線で構成された階段は舞台装置のようでもあります。





階段の上からみるとこんな感じです。
観光客の方々が大勢いますが、階段に座ったりアイスクリームを食べたりするのが禁止になっているので、「ローマの休日」の再現はもはや出来なくなっています・・・。

建築的には階段が通りの軸と合っていて、よりドラマチックな演出となっています。
比較的狭い街路の中にこつ然と現れる階段ですが、急に開けて見えるので、劇的な感じは一層高まります。




お次は、スペイン広場にほど近い2つの教会。


まずはS・カルロ・アッレ・クアトロ・フォンターネ聖堂。
バロックの著名な建築家ボッロミーニによる教会です。
これぞバロック、、、というにふさわしい、うねりのある外観と楕円を使用した意匠が異彩を放っています。
決して大きな建築ではありませんが、建築の教科書では必ず出てくるような教会です。

実は20年前にも立ち寄ったのですが、残念ながら内部には入れませんでした。
そして今回も残念ながら入れなかった、、、のですが、変わらぬ姿の外観を見るだけでも来たかいがありました。



そして、そのボッロミーニの教会から数百メートルの場所にある、サンタンドレア・アル・クイリナーレ聖堂。


こちらもバロック期を代表する建築家ベルニーニの作。
ベルニーニとボッロミーニは良きライバル、的な関係なのかもしれませんが、同じくらいの規模の教会が近所にあるので、何らかの対抗心がクライアンを含めてあったのかもしれません。
こちらは幸い中に入ることが出来ました。





中は楕円の平面形になっています。
ドーム上の天窓から光が降り注ぐ光がよりドラマチックな演出を高めています。
バロックらしい華麗ながら派手すぎないインテリアになっています。


両方の教会ともいわゆる観光地から若干離れた場所に立地しているので、人も少なくゆったり見ることが出来ました。


やはり人が多すぎると宗教空間が本来持つ雰囲気とは離れてしまうことも多々あるので、じっくり見られたのは良い体験でした。






ローマで見たものは他にもまだいっぱいありますが、他の都市のレビューも色々やりたいので、ローマのご報告はいったんここで一区切りにします。