阿佐ヶ谷の住宅について、また現場のレビューを続けます。
木造の架構がだいたい完了すると、そこから断熱材を貼り込んでゆきます。
今回のような高気密高断熱住宅ではかなり重要な工程のひとつです。
木造住宅の断熱材はいくつか選択肢がありますが、今回はコストパフォーマンスや性能を考慮して、グラスウールを使用しています。グラスウールはその名の通り、ガラス繊維のマットのような製品で、木造住宅の断熱材としてごく一般的なものです。
今回は旭ファイバーグラスの「アクリアネクスト」という製品を採用しています。
最近はどのメーカーさんも高気密高断熱仕様に準じた製品をこぞって出していますが、これもそうした製品のひとつでポピュラーな製品のひとつです。
壁内に隙間のないように貼り込んでゆきます。
この製品の特長のひとつは、ガラス繊維がビニルシートでパッケージされており、廻りにビニルの「耳」が出ている点です。この「耳」部分を重ねて貼ることで、気密性をより高めることを狙っています。またこうすることで、断熱材と気密材を同時に施工できるというメリットもあります。今回は結局この上に更に気密シートを張っているので、壁面の気密性はより高めてある形となっています。
建物の外部側に見える黄色いボードが付加断熱の為の断熱材です。
厚さは25mm程度なので、断熱性が大きく向上する訳ではないのですが、柱や梁といった構造材によって断熱材が途切れる箇所が外気に直接触れるのを防止するのが目的です。この付加断熱を入れることで、熱橋(ヒートブリッジ)といわれる、断熱の弱い部分はだいぶ改善されます。
コンセントについても、気密性を高めるために、スイッチプレートの裏面に気密ボックスを入れています。右の半透明の箱が気密ボックスですが、この中にコンセントボックスの本体を入れて、廻りをテープで留めることで気密性を確保します。
一昔前はこうした製品や工法はマイナーな存在か、一部のメーカーのみが扱う製品でしたが、ここ数年で急速に普及しているようです。
そういう意味では建物で必要とされる断熱性能に応じて、様々な選択が可能になってきているように思いますが、設計者も常に勉強が必要だなあと痛感します。
2018/03/10
2018/02/28
内覧会@阿佐ヶ谷
こちらのブログではまだ工事の中盤段階になっていますが、阿佐ヶ谷の住宅が近々に竣工する予定です。
竣工に際して、お施主様のご厚意により内覧会を開催できる運びとなりました。
日時:2018年3月4日(日) 12時~18時
場所:JR阿佐ヶ谷駅 徒歩5分弱の住宅地
今回の住宅=「阿佐ヶ谷ライト・エコ・ハウス」は高気密高断熱仕様で設計されており、断熱に関する民間規格HEAT20におけるG2グレードに相当する性能を想定しています。一方で、光庭(ライト・コート)と階段吹抜けや窓開口の位置を工夫して、光や風が建物全体に行き渡るように計画しています。
総じて、意匠性と環境性能が両立しバランス良く都市生活になじむ、光(light)あふれて軽め(lightな)のエコハウスを目指しました。
ご興味のある方は、KHアーキテクツのウエブサイトのコンタクト経由でご連絡ください。
ブログ上ではいきなり時系列が飛ぶ形になっていますが、、、今後も工事現場の様子を工程に
合わせてレビューしてゆきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
竣工に際して、お施主様のご厚意により内覧会を開催できる運びとなりました。
日時:2018年3月4日(日) 12時~18時
場所:JR阿佐ヶ谷駅 徒歩5分弱の住宅地
今回の住宅=「阿佐ヶ谷ライト・エコ・ハウス」は高気密高断熱仕様で設計されており、断熱に関する民間規格HEAT20におけるG2グレードに相当する性能を想定しています。一方で、光庭(ライト・コート)と階段吹抜けや窓開口の位置を工夫して、光や風が建物全体に行き渡るように計画しています。
総じて、意匠性と環境性能が両立しバランス良く都市生活になじむ、光(light)あふれて軽め(lightな)のエコハウスを目指しました。
ご興味のある方は、KHアーキテクツのウエブサイトのコンタクト経由でご連絡ください。
ブログ上ではいきなり時系列が飛ぶ形になっていますが、、、今後も工事現場の様子を工程に
合わせてレビューしてゆきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
2018/02/14
木工事2
前回に引き続き、阿佐ヶ谷の住宅の木工事についてです。
この段階は木の架構がむき出しになっていて、完成形とはまた一味違う、素の形が持つ力強さ、美しさを感じさせてくれます。
2階から3階への吹抜けと階段の吹抜け部分をみたところ。
南側の窓からの光が室内に降り注いでいます。
住宅街の一角に立地しているので日当たりが抜群に良い敷地ではないですが、窓の配置を工夫して 室内に日光が入るようにしています。
階段部分の吹抜け。各所の窓から光が入ってきます。
断熱サッシは通常の窓よりも高額なので、窓を多くするとその分コストもかかるのですが、 選択と集中ということで光が効果的に入る位置に窓を設けています。
窓を設けるべきか悩ましい箇所もいくつかあったのですが、結果としてメリハリの効いた窓の配置になったかと思います。
吹抜けの四隅に設けたスチール製の火打ち梁。
風圧等の水平方向にかかる力に対抗するように入っています。
この部材は室内側に現れてくるので、既製品でなくこの現場用に特注されたものです。
吹抜けも位置、大きさ等の条件によっては設けるのが難しいのですが、構造設計のエンジニアと協力して、こうした部材を入れるような工夫を施しながら理想の空間を実現しています。
こういう色々なオプションに駆使しながら、色々な選択から選ぶことができるのが建築家と住宅をつくるひとつの大きな長所と思います。
この段階は木の架構がむき出しになっていて、完成形とはまた一味違う、素の形が持つ力強さ、美しさを感じさせてくれます。
2階から3階への吹抜けと階段の吹抜け部分をみたところ。
南側の窓からの光が室内に降り注いでいます。
住宅街の一角に立地しているので日当たりが抜群に良い敷地ではないですが、窓の配置を工夫して 室内に日光が入るようにしています。
階段部分の吹抜け。各所の窓から光が入ってきます。
断熱サッシは通常の窓よりも高額なので、窓を多くするとその分コストもかかるのですが、 選択と集中ということで光が効果的に入る位置に窓を設けています。
窓を設けるべきか悩ましい箇所もいくつかあったのですが、結果としてメリハリの効いた窓の配置になったかと思います。
吹抜けの四隅に設けたスチール製の火打ち梁。
風圧等の水平方向にかかる力に対抗するように入っています。
この部材は室内側に現れてくるので、既製品でなくこの現場用に特注されたものです。
吹抜けも位置、大きさ等の条件によっては設けるのが難しいのですが、構造設計のエンジニアと協力して、こうした部材を入れるような工夫を施しながら理想の空間を実現しています。
こういう色々なオプションに駆使しながら、色々な選択から選ぶことができるのが建築家と住宅をつくるひとつの大きな長所と思います。
2018/02/01
木工事1
今回も阿佐ヶ谷の現場の様子です。
上棟時には柱梁の骨組みだけでしたが、ここから壁や間柱、窓サッシュといった構造と外壁を形作る要素をつくってゆきます。
2階から3階の吹抜け部分を見上げたところです。
柱、梁の架構が整然と組み上がって、キレイにみえます。
意匠的にはこうした架構を見せる方法もあるのですが、木造3階建て住宅の場合は準耐火建築物という、耐火のグレードを確保しなければならず、また断熱上も弱点となってしまう可能性があるので、今回は全てせっこうボードで覆うようにしています。
ちょっともったいない気もしますが。。。
それぞれ、2階と3階の階段と廊下の部分です。
この部分はライトコート(光庭)に面していて、建物全体を動線的にも視覚的にもつないでいます。写真はちょうどサッシュを取り付けしたところです。
今回使用しているサッシュは断熱サッシュといって、外気をできるだけ遮断する素材と機構でつくられたサッシュです。フレームは樹脂製なのですが、断熱性能が高い上に耐火性能も確保しています。またガラスは法規的に義務付けられている網入りガラスを使用せずに、代わり耐火ガラスという網なしで透明なガラスを使用しています。網入りガラスは心理的・視覚的にすっきりしないという弱点がありますが、今回使用しているYKK APさんのAPW330と防火窓Gシリーズという製品サッシュは、断熱性と透明性を確保している、優れた製品です。
ちなみに結露した窓の光景というのは皆さんおなじみかと思いますが、やはり断熱性能に劣るので高気密・高断熱とする場合に窓は大きな弱点になります。ただ、今回のような断熱サッシュはどのメーカーさんもここ最近競って開発していて、かなりの勢いで普及しつつあるように見受けられます。おそらく数年後にはこうしたサッシュが標準的な仕様になる気がしますが、現時点ではお値段もそれなり、、、で、普通の住宅用サッシュの2、3倍くらいの価格になります。総工費の中の割合で考えると数%のコストアップですが、それでもなかなかコストインパクトはあります。
話しがそれましたが、この段階の工事では木の構造をしっかりつくることがメインで、柱・梁を金物でしっかりと固定して、部分的には写真のように鉄骨部材を添えて補強したりもします。
3階建ての木造になると構造計算が義務付けられるのですが、こうした構造計算を通して過不足の無い、安全な構造体をつくりあげてゆきます。
構造設計を含めた設計の構想と、それを実現する工務店や大工さんの協業ではじめて良い建物が生まれるのだと思います。
上棟時には柱梁の骨組みだけでしたが、ここから壁や間柱、窓サッシュといった構造と外壁を形作る要素をつくってゆきます。
2階から3階の吹抜け部分を見上げたところです。
柱、梁の架構が整然と組み上がって、キレイにみえます。
意匠的にはこうした架構を見せる方法もあるのですが、木造3階建て住宅の場合は準耐火建築物という、耐火のグレードを確保しなければならず、また断熱上も弱点となってしまう可能性があるので、今回は全てせっこうボードで覆うようにしています。
ちょっともったいない気もしますが。。。
それぞれ、2階と3階の階段と廊下の部分です。
この部分はライトコート(光庭)に面していて、建物全体を動線的にも視覚的にもつないでいます。写真はちょうどサッシュを取り付けしたところです。
今回使用しているサッシュは断熱サッシュといって、外気をできるだけ遮断する素材と機構でつくられたサッシュです。フレームは樹脂製なのですが、断熱性能が高い上に耐火性能も確保しています。またガラスは法規的に義務付けられている網入りガラスを使用せずに、代わり耐火ガラスという網なしで透明なガラスを使用しています。網入りガラスは心理的・視覚的にすっきりしないという弱点がありますが、今回使用しているYKK APさんのAPW330と防火窓Gシリーズという製品サッシュは、断熱性と透明性を確保している、優れた製品です。
ちなみに結露した窓の光景というのは皆さんおなじみかと思いますが、やはり断熱性能に劣るので高気密・高断熱とする場合に窓は大きな弱点になります。ただ、今回のような断熱サッシュはどのメーカーさんもここ最近競って開発していて、かなりの勢いで普及しつつあるように見受けられます。おそらく数年後にはこうしたサッシュが標準的な仕様になる気がしますが、現時点ではお値段もそれなり、、、で、普通の住宅用サッシュの2、3倍くらいの価格になります。総工費の中の割合で考えると数%のコストアップですが、それでもなかなかコストインパクトはあります。
話しがそれましたが、この段階の工事では木の構造をしっかりつくることがメインで、柱・梁を金物でしっかりと固定して、部分的には写真のように鉄骨部材を添えて補強したりもします。
3階建ての木造になると構造計算が義務付けられるのですが、こうした構造計算を通して過不足の無い、安全な構造体をつくりあげてゆきます。
構造設計を含めた設計の構想と、それを実現する工務店や大工さんの協業ではじめて良い建物が生まれるのだと思います。
2018/01/22
江之浦測候所
最近は現場のレビューを続けていますが、2018年に初更新ということで、昨年末に訪れた現代美術家の杉本博司さんによる江之浦測候所の写真を掲載します。
江之浦測候所は杉本さんによる現代美術と建築のミュージアムです。
縄文時代から現代まで、時空を超えて異なるスタイルの建物が共存する、建築とランドスケープとインスタレーションのはざまにあるような不思議な施設です。
100mギャラリー。大谷石の壁と柱の無いガラス面が対照的です。
ギャラリーを外から見るとこんな感じです。
海に向かってせり出していて、小田原の海景を一望できる場所になっています。
光学ガラスによる能舞台。円形劇場のようになっています。
近づいてみるとガラス板のきらめきや懸造の架構がよくわかります。
能舞台の脇にある鋼製の隧道。冬至の日の出方向に軸線が通っています。
中の様子。軸線の先には海が広がっています。
千利休による茶室「待庵」の写しである茶室「雨聴天(うちょうてん)」。
残念ながら中には入れないのですが、利休の趣きは感じられます。
もとは根津美術館にあった門。
杉本さんが買い取って移築したそうです。
ざっとダイジェストに写真を羅列しただけですが、なかなか見応えのある施設でした。
それぞれの施設にロジカルな関連性がある訳ではなく、数寄者の普請道楽を体現しているような感じです。昔からある、戦前の富豪が設立した私設の美術館=根津美術館、五島美術館、静嘉堂美術館等々は、それぞれ出色のコレクションと緑豊かな庭園を有していますが、それらの現代版、に近いかもしれません。作家兼オーナーである杉本博司ワールドの具現化、といった感じでしょうか。
ただ、テーマとしてはアートや人間の意識の起源の深層に迫りたい、という杉本さんの
作家としての思索があり、時代性や様式はバラバラでありながらもそのテーマ性を意識しながらつくられた施設なのかなあと思いました。そういう意味ではやはり施設全体がひとつの作品であって、ひとりの作家によって細やかにつくられた稀有な施設であると思いました。
ここしばらく、投稿回数も少なく簡素な記事が多かったのですが、今年はブログも充実させてゆきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
江之浦測候所は杉本さんによる現代美術と建築のミュージアムです。
縄文時代から現代まで、時空を超えて異なるスタイルの建物が共存する、建築とランドスケープとインスタレーションのはざまにあるような不思議な施設です。
100mギャラリー。大谷石の壁と柱の無いガラス面が対照的です。
ギャラリーを外から見るとこんな感じです。
海に向かってせり出していて、小田原の海景を一望できる場所になっています。
光学ガラスによる能舞台。円形劇場のようになっています。
近づいてみるとガラス板のきらめきや懸造の架構がよくわかります。
能舞台の脇にある鋼製の隧道。冬至の日の出方向に軸線が通っています。
中の様子。軸線の先には海が広がっています。
残念ながら中には入れないのですが、利休の趣きは感じられます。
もとは根津美術館にあった門。
杉本さんが買い取って移築したそうです。
ざっとダイジェストに写真を羅列しただけですが、なかなか見応えのある施設でした。
それぞれの施設にロジカルな関連性がある訳ではなく、数寄者の普請道楽を体現しているような感じです。昔からある、戦前の富豪が設立した私設の美術館=根津美術館、五島美術館、静嘉堂美術館等々は、それぞれ出色のコレクションと緑豊かな庭園を有していますが、それらの現代版、に近いかもしれません。作家兼オーナーである杉本博司ワールドの具現化、といった感じでしょうか。
ただ、テーマとしてはアートや人間の意識の起源の深層に迫りたい、という杉本さんの
作家としての思索があり、時代性や様式はバラバラでありながらもそのテーマ性を意識しながらつくられた施設なのかなあと思いました。そういう意味ではやはり施設全体がひとつの作品であって、ひとりの作家によって細やかにつくられた稀有な施設であると思いました。
ここしばらく、投稿回数も少なく簡素な記事が多かったのですが、今年はブログも充実させてゆきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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