2018/03/10

断熱工事

阿佐ヶ谷の住宅について、また現場のレビューを続けます。


木造の架構がだいたい完了すると、そこから断熱材を貼り込んでゆきます。
今回のような高気密高断熱住宅ではかなり重要な工程のひとつです。

木造住宅の断熱材はいくつか選択肢がありますが、今回はコストパフォーマンスや性能を考慮して、グラスウールを使用しています。グラスウールはその名の通り、ガラス繊維のマットのような製品で、木造住宅の断熱材としてごく一般的なものです。

今回は旭ファイバーグラスの「アクリアネクスト」という製品を採用しています。
最近はどのメーカーさんも高気密高断熱仕様に準じた製品をこぞって出していますが、これもそうした製品のひとつでポピュラーな製品のひとつです。



壁内に隙間のないように貼り込んでゆきます。





この製品の特長のひとつは、ガラス繊維がビニルシートでパッケージされており、廻りにビニルの「耳」が出ている点です。この「耳」部分を重ねて貼ることで、気密性をより高めることを狙っています。またこうすることで、断熱材と気密材を同時に施工できるというメリットもあります。今回は結局この上に更に気密シートを張っているので、壁面の気密性はより高めてある形となっています。





建物の外部側に見える黄色いボードが付加断熱の為の断熱材です。
厚さは25mm程度なので、断熱性が大きく向上する訳ではないのですが、柱や梁といった構造材によって断熱材が途切れる箇所が外気に直接触れるのを防止するのが目的です。この付加断熱を入れることで、熱橋(ヒートブリッジ)といわれる、断熱の弱い部分はだいぶ改善されます。





コンセントについても、気密性を高めるために、スイッチプレートの裏面に気密ボックスを入れています。右の半透明の箱が気密ボックスですが、この中にコンセントボックスの本体を入れて、廻りをテープで留めることで気密性を確保します。




一昔前はこうした製品や工法はマイナーな存在か、一部のメーカーのみが扱う製品でしたが、ここ数年で急速に普及しているようです。
そういう意味では建物で必要とされる断熱性能に応じて、様々な選択が可能になってきているように思いますが、設計者も常に勉強が必要だなあと痛感します。