久々に葛西臨海水族園に行ってきました。
葛西臨海水族園の建物は改築の話が進んでおり、谷口吉生さん設計の建築が存亡の危機にさらされています。
今回は谷口研究所でこの建物を担当されていた矢板久明さん、村松基安さんという実力派のベテラン建築家お二人に直々に案内していただけるという貴重なツアーにたまたま参加することが出来、内部を見学してきました。
このガラスのドームは鉄骨とガラスの組み合わせがとてもシンプルかつ繊細で、30年経った今も色褪せない魅力があります。
こちらも定番のマグロの回遊水槽。
目の前で泳ぎ回る大きなマグロはいつ見ても迫力があります。
こちらはメンテナンス用のキャットウォークからの眺め。水槽の上からのぞくことも出来、水族館の裏側の設備が垣間見えます。
ちょっと劣化している部分はあるものの、展示施設としてはまだまだ十分に魅力的なケンチクだと改めて思いました。
しかし、東京都は設備の劣化やバリアフリーの不備を理由に改築や建物そのものを取り壊すか、水族館でない用途への改築を検討しているそうです。
現役で十分通用する上に、将来的には他の谷口建築と合わせて世界遺産にもなりえるほどのクオリティのある建築であると思っていますが、経済的・商業的な論理が優先される状況が解体が取りざたされる背景にあるようです。
とはいえ、こうした建築の価値を正確に評価して、その価値を発信してゆくことが文化・
観光資源としてもより有効ですし、持続的な社会の実現、という観点からも効果的ではないかと思います。
現況では取り壊しという最悪のケースは避けられそう、、、というニュースもありますが、まだまだ現役の名建築を活用し、維持してゆくことの重要性をキチンと伝えることがより必要なのではないかと、強く考えさせられた機会でした。
今後、事の行く末を見守る状況が続きそうですが、微力ながら何か貢献できればなあと思った次第です。