2011/08/25

ヴィラ・ロトンダ

ちょっと涼しい日もありましたが、まだ暑い日が続いています。

日本の夏も暑いですが、思い起こせばイタリアの夏も暑かった・・・・。




写真はイタリア・ルネサンス期の巨匠、アンドレア・パラディオの代表作、ヴィラ・ロトンダ。
ヴェネツィアからほど近い、ヴィツェンツァという都市郊外の田園地帯に位置する小高い丘の上に建っています。正方形や円等の幾何形体を組み合わせた簡潔な構成によってつくられており、パラディオの代表作であると同時にルネサンス後期のイタリアの代表的な建築でもあります。


写真をご覧の通り、影がくっきり黒々としています。それだけ日差しが強いのです。


ちょうどポーチの回廊部分の写真。
柱から伸びる影がくっきりとそれ自体がデザインされているかのように浮かび上がってきますが、やっぱりデ・キリコの絵画をほうふつとさせます。

というかキリコがこういうイタリア建築や街並みの記憶から独自の絵画世界を発展させたのでしょう。




で、丘の上から見渡す田園風景。

ヴィラ・ロトンダは4面全部がほぼ同じ形状をした対称形になっているのですが、平坦な周囲のランドスケープから自立した建築として構想されている感じがします。

にしても、影が濃くて、日差しがいかに強いか、、、ということを写真から感じることが出来ますが、日本の夏ではもっと湿度が高くて雲が多く発生するので、こういう影は出来ないものです。なので、ロトンダの建築というのはそうした立地や気候風土に合わせて最適化された建築だなあ、というのが現地に行ってはじめて分かった、と思いました。


今回ブログでロトンダを取り上げたのは、猛暑のこの時期になると、この13年前に旅行した時のイタリアの暑さや強烈な光と影の光景がアタマの中でフラッシュバックする時がある、、、からです。

このヴィラ・ロトンダは暑さの中をバックパック背負って1時間くらいかけて歩いて、ようやく辿り着いた、、、という点でその時の貧乏旅行の記憶を代表している、ようなトコロがあります。今なら絶対タクシー使うでしょうが。。。

ただ、肉体の苦役を伴う行為というのはその分記憶も鮮明に残る気はします。
なので、時々この写真のような光景が今もアタマの中をよぎる時があるのでしょう。

まだまだ残暑厳しく、節電で肉体的にも負荷が高く、記憶に残る夏になりそうですが、みなさま御自愛ください。