ちょっと前になりますが、最近リニューアルされた東京国立博物館の東洋館を見学してきました。
設計はMOMAの設計者でもある谷口吉生の父上である谷口吉郎。
調べると1968年の竣工でした。
外観は新古典主義的なクラシックな趣の漂う建物です。
屋根には切妻型の傾斜屋根がかかっていて、それによってなんとなく和風のテイストを醸しだしています。これは通称(?)「屋形船」と呼ばれる意匠の形式で、近代的な建築に和風の趣きを持たせたい際によく用いられてきました。「屋形船」は、少し古臭い意匠、という意味合いもあります。
そんな建築界一般の評価もあったのと、20数年前、、、に見学した際のどことなく重い館内の雰囲気が馴染まなくて、東博には何度も通いつつも東洋館にはあまり足を運んだことがありませんでした。
でも、昨年館内がリニューアルされたので良い機会と思い久々に見学してきました。
館内に入ると、想像以上に、というか全く想像と違って、良い空間です。
半階づつあがってゆく形式のいわゆるスキップフロアになっていて、コンクリートの柱と梁が力強い空間をつくっています。
この写真だとスキップフロアがよくわかります。
外観の古典的なたたずまいからは想像のつかない、ダイナミックな空間です。
ちょうど照明も良い感じの暗さになっていて重い空間からシックな空間に変わっていました。
ちょっと惜しいのは、この空間はもともと大きな窓があってトップライトもあり外光が降り注ぐ空間として設計されていたのに、それが活かされていない点、でしょうか。
希少な文化財の保護という観点からすると太陽光を取り込むのはありえない訳ですが、自然光がさんさんと降り注ぐ空間も見てみたい気がします。
美術品と光の関係ではもともと置かれていた空間の状態の光がベストな訳で、今後の展示空間の選択として、紫外線等をカットした上で自然光を取り入れる形式があり得るかと思います。
東洋館の展示に目を向けると、館内はアジア地域の文化財を展示しており、国宝クラスの美術品もゴロゴロしているので、なかなか見応えがありました。
全体的に東博の持っているコレクションはさすがに日本を代表するミュージアムとして良いモノがそろっていると思います。
一方で日本を代表するナショナル・ミュージアムであるものの、まだまだ欧米のミュージアムに較べるとミュージアム全体の施設の充実度は一考の余地がある気がします。
自分が初めて東博に足を運んでから20数年経つのですが、その当時から比べると格段に良くなっています。
そしてこれからまだまだ発展していって欲しいと思います。