都内のマンションリノベはお引渡しも終わって、諸々の調整も完了し、お施主さんの方で徐々にインテリアを整えてられています。
お施主さんからお送りいただいた、アートをディスプレイした部屋の写真。
今回はアートを壁面に飾ることを前提として設計を進めたので、やはりアートが入ると表情がだいぶ締まって見えます。
アジア系の現代美術の作家さんのコレクションを中心とされていると伺っていますが、2枚目の写真の版画は篠田桃紅さんの作品。
書を抽象化した絵画をずっと製作されている方で建築業界では知る人ぞ知る、伝説の作家です。
現在、御年100歳(!)らしいですが、先日発売された芸術新潮の丹下健三さんの特集記事でインタビューが載っていました。丹下さんの実質的なデビュー作である成城の自邸を中心とした当時の状況を語られているのですが、まだまだ記憶が薄れておらず、その記述の正確さにビックリ、、、という感じです。
丹下さんの成城の自邸は1950年代に建てられた木造の住宅ですが、モダニズムと日本の伝統家屋のスタイルが良い塩梅で混ざり合って独特のシャープであたたかみのある空間をつくっています。篠田さんはその住宅のフスマに書画を書かれているのですが、イサム・ノグチの照明とかとも相まって、空間に生き生きとしたアクセントをつくっています。
それから半世紀以上を経た現代でもその作品は彩り豊かに住空間に息づいている、、、と考えると感慨深いものがありますが、こちらのアートは我々が推奨したものでなく、お施主さんの元々のコレクションにあったもので、飾られた場所もお施主さんで決められたものです。
そこを決めたお施主さんのセンスの良さは流石だな、、、と思いますが、篠田さんの作品は建築空間に入った時に引き立つように考えられて額装も含めてデザインされている感じがします。
余白の美学、とでもいいますか、図と地のバランスが大事なのかもしれません。
ちょっとウンチクっぽい話になりましたが、実はかくいう自分も版画を随分前に購入して自宅に飾っていたりします。。。ちょっと自慢です・・・。
アートと建築というのはバランスが大事といつも思いますが、そのとても良い実例をいただいた感じがしましたのでこちらに掲載してみました。