2010/10/04

黒部

いつの間にやら10月です。

ここのところブログのエントリーが減り気味ですが、なんというか小忙しい状況がここのところ続いている感じです。

ヒマよりかはいいのですが。


で、そんな状況の合間をみて行った長野の旅の続編。

実に30年ぶり(!)くらいに黒部ダムに行きました。




だいたいアクセスの方法が昔も今も限られていて、トローリーバス=電動バスでトンネルを15分くらい走って黒部ダムに至ります。





ちょっとレトロなトローリーバス。電車のようなバスのような、不思議な乗り物です。






で、黒部ダムの駅に着いて長い階段を昇っていって地上に出ると、



壮大な黒部ダム。
景気良く放水しています。




ずっと眺めていると千住博の滝の絵のような不思議と引き込まれるような光景が広がります。

30年くらい前の子供の頃に見た時は、ひたすらでかいダムと周辺の山の景色、目もくらむようなダムの落差に圧倒されていた気がするのですが、建築を勉強し、かつスカイスクレーパーが当たり前のように建つ都市の中に住んでいる自分が再びその光景に対峙してみると、なんだか小さく見えました。50年くらい前の大事業で映画になるくらいの難工事だった訳ですが、秘境が開拓されつくしてメガストラクチャーに見慣れた時代にいるとなんとなく感動が薄れてしまう、、、気がします。

逆に自分の感受性が鈍っているのかも、、、とかコドモの頃の自分との距離を感じてしまう、、、という思いもありました。


とはいえ、コドモの頃には無かった発見もありました。







ダムの脇にそびえたつ、擁壁と思われる構造物。それと滑り台のような船舶の停泊所。
ちょっと古代の神殿みたいで思わず萌えました。。。


で、更に何かに似ている、、、と思ったら、イタリア未来派の建築家、アントニオ・サンテリアのドローイングの世界に類似している、、、のではないかと。


そもそも未来派は、有名な未来派宣言の「機銃掃射をも圧倒するかのように咆哮する自動車は、《サモトラケのニケ》よりも美しい。」というマニフェストに象徴されるように、工業化社会の新しいテクノロジーの中に新しい美意識を見出したのが彼らの重要な視点で、当然工場や産業構築物もその称賛の対象であった訳でした。
なので、サンテリアのドローイングの都市は稀有壮大なメガストラクチャーでダム的でもある訳です。
で、更に言ってしまえば「工場萌え」「ダム萌え」「土木萌え」的な萌えの原点は未来派にある、、、ともいえるのでなかろうかと。。。そんな仮説も成り立つ気がします。


まあ、小学生の時分にはそんなトリビア的お楽しみの視点は無い訳で、そういう意味では良くも悪くも月日の経過も感じさせる再訪でした。





で、オマケでバスの駅にあった、レトロな食堂。






ちょっと、昭和の時間で止まっている、、、感じがしちゃいますが、こういう何気ない光景にもある楽しみを発見してしまうトコロにも、コドモ時代との距離を感じます。


でも、こういう楽しみを発見するとしたら、トシをとる、ことも悪いことではないなあ、、、とか思った黒部の再訪でした。。。