2009/12/30

RX-78

たぶん今年最後のブログです。

今年も公私にわたり、色々なことがありましたが、自分としてデザイン的なトピックで大きいなあ、という点をちょっと書きます。

タイトルにあるコードナンバーでピンとくる方もいると思いますが、Mobile Suits RX-78 Gundam、早い話ガンダムです。。

今年のGood Design 大賞候補にもなりましたが、実物大のガンダムはかなり自分の中でインパクトがありました。

たぶん、団塊Jr.世代のオトコはだいたい影響を受けているであろう、ガンダム。
我々の少年時代というのはガンプラ=ガンダムのプラモデルをつくることに熱中したものでした。
そして、そういうモノづくりに熱中した体験というのがそのまま長じてオトナになった時に各々の職業に傾ける情熱の中に生きている、ような気がします。

大学の同級生と観に行ったのですが、まさか子供の頃に熱中していたものがこういう形で見られるとは当時思いもしなかったよなあ、と感慨深く話し合ったのでした。

デザイン的にはだいたい鎧甲冑をベースにデフォルメしていると思うのですが、配色がトリコロールカラー(=白、赤、青、黄)になっているところがポイントかと思います。
これは、当時のオモチャとしての売れ線カラー、みたいな商業的な必然があったようなのですが、富野監督が語っているように、実物大のガンダムはこの配色のおかげで兵器のようにみえず、むしろ未来を何か表象しているように見える、と。
新幹線や飛行機、あるいはAsimoが白をベースに配色されている近い感覚で、白というのは余計な意味を持ちにくい、清潔感のある色なのかもしれません。
建築でも、特に建築家は白を好んで使う傾向がありますが、どこか未来的な感覚を含んだ色彩といえるかもしれません。

だからといって、建築とガンダムが直接デザイン的につながる訳ではないのですが、何か自分の記憶の底に沈殿していたものを改めて突き付けられた、という意味で実物大ガンダムというのはインパクトがありました。

そういう意味ではもう少し深く考えた方がいいのかもしれませんが、また整理してから書こうと思います。


それでは、本年も色々な方に色々お世話になりました、来年も良いお年を。






2009/12/26

中目黒リノベーション5

中目黒のリノベーションですが、工事は12月の中旬に完了して、先日撮影も終えました。
水廻りの工事で手直しがあったので、すべての撮影が出来なかったのですが、居室部分の撮影だけはやっていただいたので、先にブログにアップします。



収納兼照明ボックスの中の照明は実はろうそくです。
撮影をした時にちょっとノリで入れてみました。。。
設計段階ではこういうディスプレイボックスとしての使い方を想定していなかったのですが、住むヒトによってはこういう演出もアリかもしれません。

柱梁にはちょっとラメの入ったクロスを使っているので、近くに寄って見ると微細な光を反射しています。こういうマンションの一室だと、とにかく白いクロスで全て覆ってしまうことが一般的には多いですが、構造体の要素を強調して空間が本来持っている幾何学性を強調するのと、ラメの入った仕上を施すことで、時間や天候で移り変わる光の状態を空間の中に反映させることを意図しています。

ごくごくシンプルで小さな部屋ですが、ちょっと変えることで雰囲気は大きく変わります。

先日、事務所のウエブをアップデートしたばかりですが、水廻りとか他の部分の撮影を終えてからまたこのプロジェクトもアップデートしたいと思います。

2009/12/23

ウエブのアップデート

久々にランビアーシ&林アーキテクツのウエブサイトをアップデートしました。
こちら

先日、写真家の黒住直臣さんにお願いして、1日で竣工プロジェクトを3件撮影して回る、、、という強行軍をやらさせていただき、公開可能な写真の準備が整ったためです。

黒住さんとは前職からのお付き合いで、その流れで今回お願いしました。
通常は1日1件、じっくり時間をかけて撮影するものですが、天候や光をあまり気にしなくてよいインテリアの案件のみだったので、朝から晩までお付き合いいただき、都内をぐるりと廻って撮影しました。ありがとうございました。

建築の写真は素人が撮ると画面が歪んだり、ごくわずかな範囲しか撮れないので、多少良い機材を持っていてもなかなか難しいところがあります。
プロの方というのは機材もさることながら、撮る対象をいかに写真として切り取るか、という視点が建築家と違うので、そこが大事であったりします。

我々なりに設計している時に空間のイメージを持っているので、その想像していた視点から撮ってもらうことも大事ですが、写真家が現場を観ながら視点を決めて撮っていただいた写真というのも、出来上がったものを見るとなるほどなあ、という感じがすごくします。

あらたにアップした写真はそういう建築家と写真家のコラボレーションの成果、ともいえる訳ですが、撮影の過程とかを想像しながら(まあ我々は現場でチャチャを入れていただけですが・・・)、見ていただけるとまた違った面白さがあるかもしれませんので、ご高覧いただければ幸いです。

2009/12/22

広告 by Google

ブログの紹介欄の下にグーグルの広告を載せるようにしてみました。

広告の掲載によって小遣い稼ぎを主に狙っている訳ではない、ですが、ブログにどのくらいのビューがあるかを確認することが出来なかったので、サイト・ビューの定量的なデータを得られるように申し込んでみました。

このBloggerというブログサイトはグーグル系のサイトで日本ではポピュラーでないですが、Gmailのアカウントを持っていればはじめられて、手軽だったので選んだわけです。

で、その流れでグーグルの広告が掲載できるようにしたのですが、広告内容はグーグルらしく、書かれている文章の内容やキーワードに応じて最適化された広告が掲載されます。

なので掲載されている広告は建築とかリノベーションとかデザイン系のサイトのもの。


・・・・・これって、商売的にはライバル。。。

まあブログそのものが「ランビアーシ&林アーキテクツ」のプロモーションの一環、だったりする訳ですが、広告を載せることで敵に塩を送るようなもの、、、ともいえる。
一方で「敵」のサイトをクリックしてもらうことではじめて自分の収益になるのでちょっとジレンマな訳です。

ブログで収益をあげよう、などというスケベ心を出さなければ全然問題無いのですが、やるからにはほんのちょっと儲けたい、、、という煩悩は世俗に生きる人間としてムクムク湧いてくる。。。

願わくば、読者の方には広告のクリックだけバンバンしていただいて、最終的な設計のオファーはこちらに、、、などと都合のよいことを考えてしまうのですが、まあウチの事務所のオフィシャル・サイトも同じようにグーグルの広告へ掲載できるようにしているので、おあいこかもしれません。

ということで、しばらく広告が載る状態になると思います。

2009/12/20

東京タワー

先日、芝公園近くの赤羽橋で打合せがあって、久々に東京タワーを間近で見ました。



東京タワーはやはり夜景がキレイです。
昔から東京の不動のランドマークですが、このエリアというのは他に行く用事というのが滅多にないので、東京タワーに行く人はだいたい観光客に限られます。
また東京のカオという点では都庁やらお台場やら六本木ヒルズといった「新参者」に一時的にその座を譲る訳ですが、にもかかわらずいつの間にか復権して、今だにカオとしての存在を維持しつづけている。
エッフェル塔と較べると構造的な優美さがないとか、赤白の縞模様がセンスがない、とか色々減点要素がある、ともいえるのですが、それすらも今となってはレトロな風情をかもしだして味がある、ともいえます。


でも街角で急に東京タワーが見えると、思わずハッと見とれてつい感激してしまいます。
たぶん関東圏外から上京したヒトにとっては、東京タワーと富士山というのはどこか東京に対する憧れの原風景になっている気がします。読んでないですがリリー・フランキーの「東京タワー」もそういう構図があったかと。

なので、地方から出てきて上京して暮らす自分にとってはやっぱりどこかココロの琴線に触れる、ちょっとなつかしくもある特別な存在、といえるのでした。

2009/12/15

中目黒リノベーション4

先週に引き続き、中目黒の現場の様子です。

クローゼットの仕切りとして黒のバーティカル・ブラインドがつきました。



クローゼットと間接照明を兼ねています。ブラインド越しに中のモノが透けて見えて、単なる「見せる収納」とは少し違った、シックな雰囲気を出すように意図しています。

実は工事は週末に完了して、ブログの情報はちょっと後出し状態なのですが、まだ部分的に完成していなかったり、プロの写真家にお願いして撮影してもらったりしたので、また整理してアップしようと思います。

2009/12/09

中目黒リノベーション3

中目黒の現場の様子です。

クローゼットの姿が見えてきました。





ちょうど塗装をしているところです。薄塗りをして木目を生かした仕上になる予定です。
この収納は完全にクローズするよりはむしろ中のものが見えても違和感のないよう、半ばモノを見せる収納としてデザインしています。そういう意味でちょっと書院造りの違い棚的な要素もデザインに含んでいる感じです。


今回の改修では水廻りも部分的に手を入れています。




真ん中に見えているのが化粧鏡の収納棚です。
既製品で良いモノがないか、調べたのですが既製品で照明もついていてかつデザイン的に優れた製品というのがなかなか無い、、、感じでした。
なので、今回は現場で大工さんに製作してもらっています。

ほんとに小さな規模の現場なのですが、週末には完成予定なので楽しみです。


2009/12/06

「巣鴨」の次になりますが、本物の「鴨」の話題です。

最近目黒川に鴨がいます。



どうやら上流と下流で移動しているようですが、冬は中目黒界隈がテリトリーみたいです。


頭あげているトコロを撮ろうと狙ったのですが、水草を食べているのか頭入れたり出したりを繰り返しているので、ブレてます。
止まっている建築を撮る技術は多少訓練しているつもりですが、動いているモノを撮るのは難しいもんです。。。



2009/12/03

巣鴨

12月です。師走です。早いものです。。。

先週、某シンポジウムに参加するため、巣鴨に行ってきました。
開場までちょっと時間があったので、会場近くの「おばあちゃんの原宿」こと巣鴨地蔵通り商店街を散歩してきました。



平日の昼前にもかかわらず、人でいっぱいです。そしてそのニックネームにふさわしく、見事にU-60世代がいない。。。
なんか自分浮いてるなあ、、とか思いつつ商店街を歩いていくととげぬき地蔵尊(=高岩寺というらしい)にたどり着きます。




どうもウエブで調べると、とげぬき地蔵というのは秘仏らしく、ご本尊を見ることは基本的にできないらしいです。で、本堂の傍らにあるのが洗い観音、ということで、こちらも有名な観音様です。洗うことで御利益があるとのことで、洗う人の行列用の見事な鉄柵までが準備してある。休日にはもっとすごい列ができるのでしょう。


境内には出店が何軒も出ていて、すごい賑わっています。R60世代がターゲットなのでしょうか、お守りとかせんべいとか品揃えがとにかく渋い。







で、それらの出店の奥から妙なる音楽が流れています。



 のぞいてみると、








 

 
 
フラダンス by 常磐ハワイアンセンター。
 
 
 
とげぬき地蔵+ハワイアン、夢のコラボ、といったところでしょうか。。。
ありえなさそうでありえる、この組み合わせ。
失礼ながら踊り子の方が抜群に若い訳では、ない。
でも、この空間の平均年齢からすると十分に若い。そして皆さん熱心に観ている。
ピースフルでゆったりとした調子のハワイアンは、意外にこういう場所にマッチする、、、という事実を初めて発見しました。
思えば、お寺の境内と参道というのはそもそも娯楽や市場に供した自由な空間、という機能も従来はあった訳で、そういう文脈からすると、とげぬき地蔵界隈は今も十分にその機能を果たしている、といえます。

 
でも、それでも、自分自身はあと30年くらいは自主的に来ないかも、、、とか思いながら商店街を後にしたのでした。
 
ま、「5分後の世界」ならぬ「5分前の世界」とでもいいましょうか、東京は奥が深いものです。

2009/11/30

中目黒リノベーション2

中目黒のリノベーションの現場が進んでいます。



ベースになる壁、床、天井の仕上が完了しています。
これから建具とかアレンジが加わる訳ですが、骨になる空間の雰囲気はだんだん見えてきています。


ジムショから歩いていける、というか駅により近いのですごい便利な現場です。
毎日でも見に行けるという。
まあ要所を締めていれば毎日行く必要はありませんが。。。

2009/11/29

白熱灯

先日、ライティングデザイナーの内原智史さんが主宰するUCLDの展覧会のオープニングに行ってきました。

ろうそくと白熱灯、LED=19、20、21世紀にまたがる光を使ったインスタレーションによる展覧会です。



上部に白熱灯、下部にLED仕込みのろうそくと映像の組み合わせで光の環境をつくってます。
普通ライティングデザインというとビカビカに明るくライトアップしたものを想像しがちですが、ここでは逆に暗めの明かりを使って空間をつくってました。
内原さんによると、昨今のエコ・ブームで普通の白熱灯=反エコみたいな風潮で世の中的に悪者扱いされているのですが、明るさを絞って使うことでLED以上に耐久性が高く、かつ暖かい雰囲気の明かりが得られると。そういう意味では悪者扱いして排除するのではなくて、むしろ明るさを抑えて空間の雰囲気をつくることが大事なのではないか、という話でした。
確かに日本の都市というのは明るすぎる傾向があって、もっと明るさを抑えめにするほうが全体として理にかなっている訳で、CDに対してレコードが今も生き残っているように白熱灯も適材適所で使うことが本当のエコではないか、と。
確かに日本のデザインというのは新しいモノを追求するあまりに昔からある技術を生かす、ということを忘れている、という傾向は他の国に較べて顕著な感じなので、そういうクラシックな技術の良さみたいなものを活かすというのは建築のデザインにとっても示唆に富んでいる気がしました。
やっぱり視点をちょっと変えることで当たり前のモノが新しい役割を負うこともある訳で、我々もそういう視点を大事にしたいなと、思った次第です。

2009/11/23

つくば

先週末になりますが、住宅系の展示会への参加でつくばに行ってきました。

筑波大出身なので、結構長く住んでいたのですが、卒業以来あんまり行くことがなく、2,3年に1回行くかどうかという感じです。でも、行くたびごとに変わっているのでオドロキます。特につくばエクスプレスが出来て以降の発展というのは目覚ましいものがあります。

基本的に都市が車社会を前提に出来ているのですが、学園都市が出来て以来、40年近く経過しているので、緑が育って結構いい感じの街になってきているなあ、と思います。車で日常的に移動するヒトにとってはすごく住みやすい街、ではないでしょうか。


で、研究学園都市というのは国家プロジェクトだったので、有名建築家が手がけた建物というのが点在しています。




建築関係者の中で一番メジャーなのが、磯崎新設計の「つくばセンタービル」。
四角いコンクリートの箱が主流だった近代建築の中に西洋の古典建築をモチーフにしたデザイン要素を随所に取り入れ、近代建築には無かった遊びや記号的な要素を取り入れた点で当時センセーショナルな建物でした。
今見ると、ごく普通にも見えますが。。。古典建築を勉強していると、謎解きみたいで楽しい、といえます。




お次は、伊東豊雄設計のつくば南駐車場。
立体駐車場なのですが、低層部に店舗や事務所が入っています。アルミのルーバーはバーコードにヒントを得たパターンになっています。
実は学生時代に、ここの現場に中にあった伊東さんの監理事務所で模型づくりのバイトをちょっとやらさせていただいてました。初めての模型バイトで、今思うと使えないバイトだっただろうなあ、と思うのですがスタッフの方からは現地の晩飯コーディネーター、、として重宝された、と思います。
その時にお世話になったスタッフの方とはこの現場事務所でお世話になって以来、音信不通、だったのですが、この前偶然にHPを発見してしまい、なんと我々と同じ中目黒で事務所を開いていらっしゃることがわかり、およそ15年ぶり(!)に再会しました。なんか縁がある人というのはいるものです。というか設計業界がそれだけ狭い、のかもしれません。
で、今またナカメでお世話になっています。。。


さらに近くにはN.Y. のMOMAの設計で世界に名を知らしめた、谷口吉生設計の「つくばカピオ」もあります。



竣工後10年以上経過していますが、いまだに竣工当時のようにキレイです。
実はこちらでも谷口さんの現場監理事務所で1年ほど模型づくりのアルバイトをさせていただき、お世話になりました。ちょうど谷口さんがMOMAの仕事を獲る前くらいだったのですが、あちこちに設計した建物が竣工していた時期で、すごく刺激になりました。建築に対して妥協しない姿勢とか、最後まで粘り強く検討する方法とか、結構深い部分で影響を受けている気がします。

当時のつくばは、陸の孤島とかいわれて地理的なアクセスが不便な場所であった上にインターネットも無い時代、だったので、建築を学ぶのは文物を通してしかできませんでした。建築家の先生の事務所でアルバイトができる都内の学生がすごく羨ましかったし、そういう情報に飢えてました。
なので、たまたま偶然ですが、日本を代表するような建築家の事務所の現場にバイトながらもいることが出来たというのは、非常に幸運だったなあと思います。

今振り返れば、そういうバイトの経験や大学での勉強も含めてもっと色んなことが勉強出来たのに、とも思うのですが、当時は当時なりに一所懸命にもがいてジタバタしてた、かなと。。

そういう意味で色んな個人的な思いが詰まっていて、また建築を学んだ原点の街でもあるわけなので、いつかこのエリアでシゴトしたいなあ、、、と思ってます。


2009/11/18

中目黒リノベーション1

我々が事務所を営んでいる中目黒でリノベーションが始まりました。

小さなマンションの一室です。




まだ解体が終わったばかりで何も無い状態なんですが、これから設備、仕上の工事が進みます。
こういうコンクリートの躯体がむきだしの状態もそれなりにカッコ良い、のですが他の部分との取り合いを考えてボードを貼る予定です。

12月中旬には完成予定なので、進捗に合わせてアップしていこうかと思います。

こういう状態から出来るものを想像すると、、やっぱり現場は楽しいもんです。

2009/11/16

ポーランド2

ポーランドのお話しの続きです。

ちょっと興味深かったのは住宅の話。
ポーランドでは伝統的にレンガ造が主流で、木造や鉄骨造は皆無に等しいらしい。
レンガ造ということは当然レンガを一個づつ積んでいく訳で、冬が寒いこともあって壁厚が30cm以上になるのは当たり前だと。だから日本の建築のように軽くて薄いデザインの表現は法規制や技術の普及度からいってほぼ不可能、とのことでした。

日本の住宅だと木造が未だに主流でコストも相対的に安い上に、レンガ造は耐震性やコスト、法規制からもほぼ不可能、なのでポーランドと真逆だなあ、という感じです。

21世紀の現在というのは、ケンチクの技術体系というのは世界的に共有されているハズなのですが、結局どの構法や技術が主流になるかというのは、それぞれのお国の昔からの伝統に相当依存している、ということです。
だから、日本にいる我々からするとヨーロッパのケンチクというのは非常に重厚で、がっちりした石とかレンガを組み合わせてつくってあるのがすごく魅力的に映る訳ですが、ヨーロッパからすると日本の木とか金属板とか軽くて薄い素材を組み合わせてつくったケンチク、というのがすごく新鮮に映るらしい。
一種の無い物ねだり、とか隣の芝は青い、みたいな話しですが、やっぱり千年単位で続けてきた建築の方法は百年単位ではなかなか切り替わらない、というのはあるでしょうし、お国柄というのも個性のひとつなのだろうなあと思います。
でも、ナショナリティーみたいなのを意識しすぎると却って過剰なクサさが出てしまって、ちょっとコテコテになる、ということはある気がします。
ハリウッド映画に出てくる日本、みたいな。

まあ、ポーランドで活動している友人にはハリウッド映画の中の日本人、みたいなスタンスで売ったら?みたいな話しもちょっとしたんですが、やっぱり技術体系の違いや本格的な和風建築を勉強していない点からすると、コテコテの和風・スタイルを東欧でつくるのは無理がある、、、というような結論でした。

結局、お国柄というのは、それぞれの建築家の個性が結果としてその国のテイストを表すものであって、そこを意識しすぎない方が良い、ということはあるかもしれません。

我々もあんまり互いのお国の違いとか気にしないで普段やっている訳ですが、それぞれの出自からくる相乗効果が出ればなあ、といつも思っているトコロです。

2009/11/11

ポーランド

今日は、ポーランドでケンチクをやっている、前職の元同僚の友人が訪ねてきてくれたので色々話しを聞きました。
ちなみに先日はイギリスで、今日はポーランドと国際色豊かですが、前職の事務所の特性上、自ずと国際志向の人材が集まる、という結果ではあります。

ポーランドもご多分に漏れずかなり厳しい状況らしく、西欧方面の国々で働いていた方々が戻ってきてたりとか、シゴトの数自体がかなり減っているようです。
で、日本に戻る予定で帰国したのかなあ、と思っていたらしばらくあちらでがんばる、らしい。

聞くと、公開コンペとかそれなりに数はあるらしく、仕事を獲るチャンス自体は少しはある、と。
彼は数年前にそういう公開コンペで一等を獲って、現地で独立、という方向で動いていたみたいなのですが、リーマン・ショック以降どうも動かないとのこと。
でも参加できるコンペがまだ色々あって、多少なりとも希望は持てる状況であるのでポーランドでやってみる、ということでした。

やっぱりそういう将来の希望が持てる、というのは大事な気がします。

日本ではここ10年来、公共コンペは実績と会社規模重視になって若手が排除される傾向が顕著です。
なので皆、住宅にこぞってシフトしていて、近年活況を帯びている建築家住宅、というのも若手が仕事を得るチャンスが少なくなっている、という状況の裏返しでもあります。
最近の日本のケンチクをめぐる状況というのは、そういう点からもかなりお寒い訳ですが、そこに建築家の供給過剰な状態も加味して、なんだか共喰い的な状況になっているなあ、というのが実感としてあります。

東京の街角で石を投げると建築家か写真家に当たる、、、という話しも昔からありますが、我々が事務所を構えているナカメでも1街区1建築家はいるんじゃないか、、、という気もします。
さらに目黒川沿いに限れば1建物1建築家もまんざらありえなくはない、、、という感じはします。
石投げたらホントに当たるような。

とはいえ、皆それなりにやっているので、まだ日本でも希望はあるかなあ、と。

それと、話しながら改めて感じたのは、人間メシ食いながら生きているのと同時に、日々希望とか夢を食いながら生きている動物だなあ、ということです。
「明日がある」という歌もありましたが、やっぱり明るい未来が待っている、と思えることは生きていく上での活力になっていることは間違いないです。
建築家というのは、まだ見ぬ建物に思いを馳せてシゴトをする訳で、そういう傾向は特に強い人種かもしれないです。職業的に定着している長時間労働に耐えうる、というのはそこが大きいかと思います。

ちょっとお題からそれた話になりましたが、その他のポーランド情報はまた今度書こうかと思います。

2009/11/08

撮影現場

今日はナカメの話題です。

中目黒に、牛の人形のある古い民家をリノベしたカフェがあったのですが、1年くらい前に閉店しました。
それ以来、何度か別のお店が入る話があったのですが、防火とか耐震の問題があったりして、立ち消えになってました。
それが最近工事を始めたなあ、と思っていたら、どうやら映画の撮影をするらしく、そのセットに改造していたんだとか。



先週くらいから撮影が始まったらしく、スタッフやら機材やらがお店の前の駐車場にあふれていて、炊き出しも出てるみたいなのでなんか賑わってます。

あたかも実在するお店のようにリフォームしてエイジング(建物の経年変化を擬装する技術)かけているので、何年も前から営業していたかのようなたたずまいになってます。

ご丁寧に看板まであるんですが、どうもスイーツ系のお店、という設定みたいです。

2週間くらいで撮影は終わるらしいですが、現場の周辺が妙に活気づいてます。
ナカメの川沿いのお店もリーマン・ショック以降かなり空いたところが多いのですが、久々に明るい話題、といった感じです。

そもそもナカメは芸能人の誰それのお店だとか、芸能プロがあるとか、誰それが住んでいるとか、芸能ネタに事欠かない街な訳です。でも何故か、個人的にそういう芸能関係者に遭遇した、とかそういう経験はまだ無いです。というか自分は、どちらかというと芸能人とすれ違っても気づかない鈍感タイプらしい。。。

ということで撮影現場の前を通り過ぎるたびに芸能人誰かいないかなあ、と好奇心丸出し、、、でジロジロ見てしまう訳ですが、まだそれらしき方は見かけない。。。

まあ月並みなミーハーネタ、なんですが、撮影現場というのは建築現場のようなモノつくってる、という臨場感が漂っていて、場の雰囲気として魅力的な感じがすごくします。



2009/11/05

スペイン-セビーリャ

本日はHPに掲載していたスペイン旅行、セビーリャ編の再掲です。
さして書くネタが無い時に便利です、こういう企画モノは(笑。

思えば今年の1月に行ったのですが、すごい昔のことに思えます。。。

--------------------------------------------------------------

スペイン北部、バスク地方にのビルバオから、飛行機でアンダルシア地方のセビーリャへ。


ビルバオ空港はスペインの著名建築家の一人である、サンチャゴ・カラトラヴァの設計。折しもヨーロッパは大寒波の襲来でマドリッド空港が大雪で閉鎖。おかげでマドリッド経由便で行くはずが、直行便でセビーリャへ。




スペインは常夏のイメージがあったのですが、この寒波の影響で日本より寒い印象でした、というか、明らかに寒かったです。。上空から見ると一面の雪景色でした。

とはいえ、南北で気候はだいぶ違いました。ビルバオはどんよりした天気が続いていましたが、セビーリャは快晴。そして街路樹はオレンジで、実がたわわになっていました。



旅行の楽しみは建築を見ることもさることながら、やはり食は欠かせない楽しみです。。。

写真はバル、メゾン・セラニートの名物、セラニート。ハムと豚肉を挟んだサンドイッチです。これ一品でおなかいっぱいになります。

セビーリャは旧市街を中心に廻ったのですが、アンダルシアの抜けるような青空の下、世界遺産であるカテドラルとアルカサルを見学。



    


特に印象的だったのはアルカサル。もともとはイスラム時代の城だったのですが、レコンキスタでキリスト教徒が奪還して後は増築を重ねて、イスラムからキリスト教の各様式が混在して有機的につながる空間が形成されています。



良質なイスラム建築は、実はスペインに残されている、という説があるようですが、中庭や水をつかった空間は暑さに対する先人の知恵を感じさせます。あと、イスラム建築にはパターンタイルが多用されていますが、深みのある青いタイルにはやはり独特のものがあります。





最後に宿泊したホテルの写真を。





旧市街の小さなホテルだったのですが、中庭が抜けていて壁面いっぱいに植栽がかけてあって、典型的なアンダルシア地方の住まいのつくりでした。日本には、住まいは夏を旨とすべし、という格言がありますが、かの地においても同様です=冬は寒いという。。
夏にまた行ってみたいところです。

2009/11/01

江東区リノベーション3

10月から現場がはじまっていた江東区のリノベーションが完成しました。
70㎡程度のインテリアだったので、やっぱりあっという間です。



今回はカウンター廻りを特にポイントを絞ってデザインしています。
ちょっと幾何学的な線と面でリズミカルな構成になるようにしています。

照明は写真だと浮いているかのようですが、深澤直人さんデザインの照明。
すごくシンプルなので存在感が過剰でないところが良いです。


壁は珪藻土を使いました。写真だとわかりにくいですが。
湿気や臭気を吸収したり、冬の乾燥時には壁に霧吹きとかで水を吸わせることで保湿効果が得られます。まさに呼吸する壁、といったところでしょうか。


微妙な質感がアジなところです。





あと赤い部分は和紙クロスをつかったのですが、これも微妙な玉虫色で実際に見るともっと複雑で有機的な表情をしています。

ものすごく予算があった訳でない、、のですが、効果的にリノベーションできたかなあと思ってます。

お施主さんも喜んでくれたみたいで、ほっとしました。


建築というのは完成品を売るわけでないので、パースや模型や材料サンプルで仕上がりを決めていくのですが、結局完成は想像するしかないところがなかなか難しいところです。
出来たら想像以上に良かった、ということもある一方で逆のケースもあり得るので、ギャップが出ないようにイメージのプレゼンテーションは結構力入れてます。


ちなみに、我々の事務所のHPは前職の巨大プロジェクトも実績として掲載してたり、中国とかの巨大プロジェクトをやっていたりするので、こういう小さなプロジェクトをやらないように思われがちなのですが、規模の大小は関係なくやっています。
糸井重里とか、「ほぼ日」の中で「来た球は打ち返す。」みたいなことを書いてたりしますが、まあ投げられた球というのは打てるだろう、という想定のもとに投げられているハズなので、それは可能な限り打ち返したいなと思ってます。
イチローみたいに難しい球でも打てる、というのは建築家として理想的かもしれません。

建築家で、なんでも打ち返すタイプといえば安藤忠雄さんなんかはそういう感じがします。
超ローコストハウスから世界中の美術館まで、ストライクゾーンの広さは他の追随を許さない気がする。

我々もかくありたい、と思う訳ですが、松坂クラスのすごい球投げてくれる方来ないかなあ、、とか思いつつ、まずは目の前の球を打ち返す!、日々を送っているのでした。

2009/10/30

London

今日は、前職の同僚でロンドンの事務所で働いていた友人夫妻が帰国したとのことでジムショに遊びに来てくれました。

で、色々と現地の建築事務所事情を聞いたのですが、まあ彼の地においてもリーマンショック以降、プロジェクトの中止、延期が多いらしい。そうすると次に始まるのがリストラ。。。

聞いた話ですと、とあるビッグファームは一気に300人斬った、とか、EU圏内にあるブランチオフィスに勤めていた人がそのオフィスが閉鎖されたのを新聞のニュースで初めて知った、とか、ある建築家は自分の知らないヒトが事務所の打ち合せにいるのを見かけると「あんたクビ。」とすぐ宣告する、とか、、、結構恐ろしい話(というより笑い話・・・)を色々と聞きました。

日本の建築業界もかなりお寒い状況ですが、こういうドライなリストラというのはなかなか無い、というか法制度上できないのかもしれないです。逆に徐々に辞めさせるように仕向ける、という陰湿な話は十分ありうる訳ですが。

で、そういう昨今の状況を反映してか、ウチの事務所には1、2ヶ月に1通くらい履歴書+ポートフォリオのメールが世界各国から届きます。日本在住の外国のヒトが多いですが、スペインとかアルゼンチンとかアラブとか、何故我々の事務所へ??という理由がよくわからない国の方から届いたりします。まあ、お断りの返信を出す訳ですが、送ってくる人というのは同じようなメールを世界各国に一杯出しているんだろうなあ、とか思います。
まだ日本の事務所は多国籍になっていないですが、だんだんそうなるかなあ、という兆しはそういうところでちょっと感じます。

で、友人のいた事務所というのもイギリス人はほとんどいない多国籍チームだったそうなのですが、逆にいえばそれだけ労働環境が厳しかった、らしいです。

ま、建築家のシゴトがいろいろ厳しいのも万国共通、みたいです。。。

2009/10/27

1周年

本日、10月27日は事務所を立ち上げて丸1年となる日です。めでたい。

振り返れば1年はあっという間でしたが、まあリーマンショックで大騒ぎしている最中からはじまって、なんとか1年もって、赤字にならなかったのは幸いかもしれません。

これもひとえにクライアントの皆さんのおかげと思います。ありがとうございます。

2年目は更なる飛躍をしたいところです。

思えば、2006年の春に前職で同じプロジェクトをやっていたジムさんと将来の独立話をしたのが発端でした。それから既に3年以上経ち、紆余曲折あって今に至る訳ですが、まあ赤の他人と事業を起こすというのはほとんど結婚する、ようなものです。。。シゴト場で働いている時間とか経済的な損得をシェアすることになるので、苦楽を共にする、という表現がホントによくあてはまります。
実際に結婚している訳ではないですが。(ここは強調しておきます。。。)

まあ、ジムさんのような外国人とシゴトをする場合、日本人同士のような以心伝心、という訳にはいかないのでなるべく論理的に対話をするようにしています。これは内部的な話に限らず、デザインという定義しにくいものを言葉に置き換えて話す、というのは設計において非常に重要なことであると思ってます。
これからも色々試行錯誤を繰り返しながら、時に議論し、モノをつくる楽しさをクライアントや施工関係者も含めて共有しながらやっていければなあ、と考えています。

と、以上のような話をジムさんとして、1周年のお祝いでもしようかなと思っていたのですが、相方は中国出張中、、、だったりするので備忘録的にブログに書いています。

まあ、行ったついでに中国のビッグプロジェクトを取って来い、、、と心の中で念じつつ留守を預かっているのでした。

2009/10/24

江東区リノベーション2

今日は現場立会いの日でした。
仕上げが少しづつ入ってきているのですが、和紙クロスと集成材と照明のコンポジション。

写真ではわかりにくいですが、玉虫色のラメのあるクロスで、和とも洋ともアジアともいえる、なかなかいい感じの素材です。
来週末にはもう竣工するので、楽しみです。

   

   

   

   
そして、現場への通り道で以前から気になっていたガソリンスタンドのノボリ。

   

   

   

   

よく見ると、

キターッ。     by 織田裕二。

   

   

かなりあくどい落書きですが、店員も何故かずっと撤去していません、お店公認なのでしょうか。。。

でも、これを見て、「あー、そうそう!」と違和感の無さに納得してしまう自分がいるのも事実な訳で。

芸能人というのは世の中にカオがさらされ、時につるしあげられるツライ職業なのかもしれません。

そう思うと建築をやっている方がまだマシかも、と思いつつ事務所へ帰ってシゴトをしたのでした。。。

2009/10/20

ライトアップ

最近、中目黒の目黒川沿いのサクラ並木をライトアップしてます。


サクラが散って、緑もひとしきり落ちた後の目黒川というのは、華のある春に較べると断然さみしい、、、ものですが、ライトアップでちょっとムーディな感じが漂ってます。

このムーディ・ライトのおかげで、これからクリスマスにかけて「月9なカップル出現率」、が平年より高くなるかもしれません。。。

まあ、そういうシーズンが近づいてきました。

早いものです。

2009/10/18

江東区リノベーション

江東区のマンションのインテリア改修の現場に行ってきました。
だいぶ形が見えてきてます。

現場は6-7割の完成度くらいに見るのが一番楽しいです。

形が見えてきて全体の構成が把握できて、かつこれからどんどん出来上がってく様が想像できる、のが面白いという感じでしょうか。

10月末には完成なのであっという間です。

2009/10/17

壁掛CDプレーヤー

姉夫婦から事務所の開設1周年のお祝いということで、無印良品の壁掛CDプレーヤーを贈ってもらいました。

無印良品は基本「無印」なのでデザイナーは原則非公開ですが、かなりデザイン的に優れたプロダクトを連発しており、このプレーヤーも深澤直人さんのデザインとして有名なものです。

MOMAのコレクションにもなっていたような。

ちょうど換気扇をそのままCDプレーヤーに置き換えたような形になっている訳で、誰でも知っている形と機能をそのまま別の器具に置き換えた、という発想がミソです。「使いやすい」デザインというより、「使いたくなる」デザインで、CDがくるくる回る動作は見ていて楽しくなります。

姿形が控えめな感じで、ロックをがんがん鳴らすよりもむしろ静かな音楽をBGMとして流すのにちょうどいい感じです。ちなみにロックは嫌いでなくてむしろハードロックとか結構好きだったりする訳ですが。

でも、事務所で流すときっとお客さんはドン引きでしょう。。。

電話越しにヘヴィメタルのシャウトが聴こえる事務所、というのも信用上いかがなものか、という気もします。。。

ということで一緒に無印のCD集=世界のハートフルな民族音楽集、というのをいただいたのですが、そっちを聴きながらリラックスして仕事している状況です。

まあ、個人的にかなり「ムジラー=無印フリーク」かなあと思いますが、無印良品の中でも代表的なプロダクトだなあ、と使ってみて改めて思う次第です。


2009/10/14

南青山

先週になりますが、南青山の某オフィスインテリア計画の建築本体の現場を見に行きました。
大手不動産+大手ゼネコンの手になるからか、現場は整理整頓がきちんとできています。








で、現場の作業員詰所で見かけた演歌ポスター。

「いのち惚れ」。「神戸でもう一度」。

現場に慰労兼営業に来たのでしょうか、サインも入ってました。

確かに、現場と演歌は相性がいいです。

が、青山らしからぬそのヴィジュアルに思わずグッと、惹きつけられてしまったのでした。。。



2009/10/13

スペイン-ビルバオ

以下、HPに掲載していたスペイン旅行シリーズの再掲です。
個人的なアーカイブの意味もあってこっちに随時アップします。

年明けにスペインの視察旅行に行きました。10日間で5都市を巡る強行軍だったのですが、今回はビルバオについて記したいと思います。ビルバオはバスク地方にある工業都市で、観光上はマイナーな都市、といえるのですがアメリカの建築家フランク・ゲーリーによるビルバオ・グッゲンハイム美術館により、特に建築家の間では知られる都市となりました。シーザー・ペリもビルバオの都市計画マスタープランを手がけているのですが、今回の目的はこのグッゲンハイムを訪れること。グッゲンハイム美術館は空港から市街地への幹線道路にあたる橋梁の脇に立地しています。深夜に到着したのですが、闇夜にライトアップされた美術館は彫刻とも建築ともつかぬ姿で目の前に忽然と現れてきてなかなか圧巻。建設プロセスを追った書籍を見ると、すでに完成していた橋梁といかに対比させて建物を見せるか、という点をかなりスタディしていたようです。つまりは都市的、土木的スケールで街のランドマークになることを意識しており、徹底して彫刻的な形態とすることで高層ビルとはまた違う次元でのシンボル性をつくりだしているといえます。



一方で内部は、複雑な形態がからみあってさながら迷宮のような空間が拡がっているのですが、吹き抜けのアトリウムを中心に八方に大きさの異なる展示室が連結されている割と平面のため、迷うことなく見て回れます。また、形の異なる展示室にはそれぞれの異なるアートが展示されていて、建築とアートが意外になじんでいました。 以前、ゲーリーの仕事ぶりを追った映画を観たのですが、ハサミでバリバリ材料を切りながら模型をつくってました。 結構荒っぽいのですが、すごく恣意的に見えながら実は相当なスタディを重ねた末に形を決定しているようです。実際行ってみると、形やスケールに違和感がなく、注意深くできているというのがよく理解できました。
 


強いて言えば、建物のディテールも荒っぽいというか割り切ってつくっているので、日本のように精度や安全性を重視する建設方法だと成立しにくい建築とはいえます。神戸にフィッシュ・ダンスという日本で唯一の実作がありますが。 ただ、日本の場合は標準化・工業化が過度に進みすぎている感もあるので、実はこういう特殊解に対応する能力が乏しくなっている気がします。いずれにしてもゲーリーの評価を決定づけた建築、といえるのですが、その評判に違わない秀作、という印象でした。
最後に、トイレの写真を。 個人的に建築を見に行った時にはトイレは結構チェックしてます。トイレの良し悪しで設計者の技量が判断できるという点もあるからですが、グッゲンハイムのトイレはポップで、かわいい系、でした。合格かなと。。。

2009/10/12

砂町銀座

現場に行った帰りに、近くの「砂町銀座」という商店街にお施主さんと散歩に行きました。
道幅の狭い路地に商店がすずなりに連なっています。
どの駅からも遠い場所にあって、時代から取り残されたような、でも賑わいがあって、ちょっと懐かしい光景が拡がっています。今時の東京にこんな場所があった、というのがオドロキです。


2009/10/11

はじめに

以前から自分のHPにコラム欄ということでブログ的に書き綴っていたのですが、アップロードが意外に面倒くさい、、、ということもあり更新が滞っていました。そのため、より簡単に書き綴れるようにブログサイトに書くことにしました。ブログというと頻繁に日常のトピックを公開する、という一般的な前提があって個人的に抵抗があったのですが、まあ、ゆるやかに日々考えたこと感じたことを更新したいと思っています。そのため事務所のオフィシャルサイトとは一味違ってリラックスできる話題を中心に取り上げてゆきたいと考えていますが、そういう点からタイトルを「Cafe LHA」としました。ユルくやってゆきます、よろしくどうぞ。