2018/02/14

木工事2

前回に引き続き、阿佐ヶ谷の住宅の木工事についてです。



この段階は木の架構がむき出しになっていて、完成形とはまた一味違う、素の形が持つ力強さ、美しさを感じさせてくれます。



2階から3階への吹抜けと階段の吹抜け部分をみたところ。
南側の窓からの光が室内に降り注いでいます。
住宅街の一角に立地しているので日当たりが抜群に良い敷地ではないですが、窓の配置を工夫して 室内に日光が入るようにしています。




階段部分の吹抜け。各所の窓から光が入ってきます。
断熱サッシは通常の窓よりも高額なので、窓を多くするとその分コストもかかるのですが、 選択と集中ということで光が効果的に入る位置に窓を設けています。
窓を設けるべきか悩ましい箇所もいくつかあったのですが、結果としてメリハリの効いた窓の配置になったかと思います。




吹抜けの四隅に設けたスチール製の火打ち梁。
風圧等の水平方向にかかる力に対抗するように入っています。
この部材は室内側に現れてくるので、既製品でなくこの現場用に特注されたものです。
吹抜けも位置、大きさ等の条件によっては設けるのが難しいのですが、構造設計のエンジニアと協力して、こうした部材を入れるような工夫を施しながら理想の空間を実現しています。



こういう色々なオプションに駆使しながら、色々な選択から選ぶことができるのが建築家と住宅をつくるひとつの大きな長所と思います。




2018/02/01

木工事1

今回も阿佐ヶ谷の現場の様子です。

上棟時には柱梁の骨組みだけでしたが、ここから壁や間柱、窓サッシュといった構造と外壁を形作る要素をつくってゆきます。


2階から3階の吹抜け部分を見上げたところです。
柱、梁の架構が整然と組み上がって、キレイにみえます。

意匠的にはこうした架構を見せる方法もあるのですが、木造3階建て住宅の場合は準耐火建築物という、耐火のグレードを確保しなければならず、また断熱上も弱点となってしまう可能性があるので、今回は全てせっこうボードで覆うようにしています。
ちょっともったいない気もしますが。。。


それぞれ、2階と3階の階段と廊下の部分です。
この部分はライトコート(光庭)に面していて、建物全体を動線的にも視覚的にもつないでいます。写真はちょうどサッシュを取り付けしたところです。

今回使用しているサッシュは断熱サッシュといって、外気をできるだけ遮断する素材と機構でつくられたサッシュです。フレームは樹脂製なのですが、断熱性能が高い上に耐火性能も確保しています。またガラスは法規的に義務付けられている網入りガラスを使用せずに、代わり耐火ガラスという網なしで透明なガラスを使用しています。網入りガラスは心理的・視覚的にすっきりしないという弱点がありますが、今回使用しているYKK APさんのAPW330と防火窓Gシリーズという製品サッシュは、断熱性と透明性を確保している、優れた製品です。

ちなみに結露した窓の光景というのは皆さんおなじみかと思いますが、やはり断熱性能に劣るので高気密・高断熱とする場合に窓は大きな弱点になります。ただ、今回のような断熱サッシュはどのメーカーさんもここ最近競って開発していて、かなりの勢いで普及しつつあるように見受けられます。おそらく数年後にはこうしたサッシュが標準的な仕様になる気がしますが、現時点ではお値段もそれなり、、、で、普通の住宅用サッシュの2、3倍くらいの価格になります。総工費の中の割合で考えると数%のコストアップですが、それでもなかなかコストインパクトはあります。




話しがそれましたが、この段階の工事では木の構造をしっかりつくることがメインで、柱・梁を金物でしっかりと固定して、部分的には写真のように鉄骨部材を添えて補強したりもします。

3階建ての木造になると構造計算が義務付けられるのですが、こうした構造計算を通して過不足の無い、安全な構造体をつくりあげてゆきます。


構造設計を含めた設計の構想と、それを実現する工務店や大工さんの協業ではじめて良い建物が生まれるのだと思います。




2018/01/22

江之浦測候所

最近は現場のレビューを続けていますが、2018年に初更新ということで、昨年末に訪れた現代美術家の杉本博司さんによる江之浦測候所の写真を掲載します。


江之浦測候所は杉本さんによる現代美術と建築のミュージアムです。
縄文時代から現代まで、時空を超えて異なるスタイルの建物が共存する、建築とランドスケープとインスタレーションのはざまにあるような不思議な施設です。


100mギャラリー。大谷石の壁と柱の無いガラス面が対照的です。

ギャラリーを外から見るとこんな感じです。
海に向かってせり出していて、小田原の海景を一望できる場所になっています。



光学ガラスによる能舞台。円形劇場のようになっています。

近づいてみるとガラス板のきらめきや懸造の架構がよくわかります。



能舞台の脇にある鋼製の隧道。冬至の日の出方向に軸線が通っています。


中の様子。軸線の先には海が広がっています。






千利休による茶室「待庵」の写しである茶室「雨聴天(うちょうてん)」。
残念ながら中には入れないのですが、利休の趣きは感じられます。



もとは根津美術館にあった門。
杉本さんが買い取って移築したそうです。


ざっとダイジェストに写真を羅列しただけですが、なかなか見応えのある施設でした。
それぞれの施設にロジカルな関連性がある訳ではなく、数寄者の普請道楽を体現しているような感じです。昔からある、戦前の富豪が設立した私設の美術館=根津美術館、五島美術館、静嘉堂美術館等々は、それぞれ出色のコレクションと緑豊かな庭園を有していますが、それらの現代版、に近いかもしれません。作家兼オーナーである杉本博司ワールドの具現化、といった感じでしょうか。
ただ、テーマとしてはアートや人間の意識の起源の深層に迫りたい、という杉本さんの
作家としての思索があり、時代性や様式はバラバラでありながらもそのテーマ性を意識しながらつくられた施設なのかなあと思いました。そういう意味ではやはり施設全体がひとつの作品であって、ひとりの作家によって細やかにつくられた稀有な施設であると思いました。


ここしばらく、投稿回数も少なく簡素な記事が多かったのですが、今年はブログも充実させてゆきたいと思います。


よろしくお願いいたします。

2017/12/23

上棟

気づけば年末に差し掛かっていますが、阿佐ヶ谷の現場は粛々と進んでいます。
10月には無事に上棟しました。




3階レベルから屋根の架構をみたところ。屋根のフレームがリズミカルに連なっています。





 
2階リビングの吹抜けから3階を見上げたところ。今回は天空率を適用しているのですが、北側斜線等もあり、屋根形状は色々と複雑になります。そうした特殊形状を空間デザインに上手く活かすことを心がけながら計画しています。
 
 
 
 
 
 


階段の吹抜け部分。ひとり佇んでいる後ろ姿の男性はお施主様ですが、上棟で立ち上がった空間をみて一人感慨にふける、、、といった風情でしょうか。
上棟するといきなり立体的に空間が現れてくるので、建設のプロセスの中でも劇的な工程です。
ここからまた色々と手間ひまかかりますが、節目節目のプロセスをお施主様と共有しつつ、建物はつくられてゆきます。これが一品生産である注文住宅の醍醐味のひとつかもしれません。






こちらへのアップが遅れ気味ですが、、、また現場のレビューを掲載したいと思います。

2017/10/19

基礎コンクリート

阿佐ヶ谷の住宅の工事の様子です。


配筋検査につづいて基礎コンクリートを立上りまで打設しています。





建物の平面形状はコの字型なのですが、そのカタチがはっきりわかります。
基礎の立上りから突出しているのはアンカーボルトという、基礎コンクリートと木の土台を緊結する金物です。この部材で基礎と土台がしっかり固定されていないと、耐震性が劣ることになってしまいます。今回はかなり太めのアンカーボルトも部分的に使っていて、かなり丈夫な設計になっています。

また、今回の住宅は、高気密・高断熱住宅として設計しています。
基礎部分の断熱の方法では、基礎の下や外周に断熱材を施す基礎断熱という工法があるのですが、コストやグレードを考慮して今回は採用していません。
そのため、基礎の見た目としては通常の在来木造住宅と変わらない状態です。



今後、現場の進捗に伴って、高気密・高断熱住宅のエコハウス仕様についてもこちらでレビューしたいと思います。