2011/08/28

南麻布

打合せで南麻布の構造設計の方の事務所にお邪魔してきました。




都心とは思えないレトロな風景。
住宅街の奥まった場所にある古い木造家屋を改造して事務所として使用しているそうです。


こういうトコロで仕事をすると都会の喧騒を忘れて仕事がはかどりそうですが、自分の場合、かえって昼寝の誘惑に負けてしまいそう、、、な気もします。




すぐ近隣には有栖川公園があります。
こちらも都心とは思えない、鬱蒼と茂った木々の中を小道が通っています。
これだけガッツリ緑があるエリアも都心だとなかなか無いかもしれません。





麻布・広尾界隈といえば大使館が多くて外国人の方が多いエリアですが、日本的な風景が残っているのが意外な感じもしました。

色々歩けばどんどん発見できる、、、のが東京の面白いトコロでしょうか。

2011/08/25

ヴィラ・ロトンダ

ちょっと涼しい日もありましたが、まだ暑い日が続いています。

日本の夏も暑いですが、思い起こせばイタリアの夏も暑かった・・・・。




写真はイタリア・ルネサンス期の巨匠、アンドレア・パラディオの代表作、ヴィラ・ロトンダ。
ヴェネツィアからほど近い、ヴィツェンツァという都市郊外の田園地帯に位置する小高い丘の上に建っています。正方形や円等の幾何形体を組み合わせた簡潔な構成によってつくられており、パラディオの代表作であると同時にルネサンス後期のイタリアの代表的な建築でもあります。


写真をご覧の通り、影がくっきり黒々としています。それだけ日差しが強いのです。


ちょうどポーチの回廊部分の写真。
柱から伸びる影がくっきりとそれ自体がデザインされているかのように浮かび上がってきますが、やっぱりデ・キリコの絵画をほうふつとさせます。

というかキリコがこういうイタリア建築や街並みの記憶から独自の絵画世界を発展させたのでしょう。




で、丘の上から見渡す田園風景。

ヴィラ・ロトンダは4面全部がほぼ同じ形状をした対称形になっているのですが、平坦な周囲のランドスケープから自立した建築として構想されている感じがします。

にしても、影が濃くて、日差しがいかに強いか、、、ということを写真から感じることが出来ますが、日本の夏ではもっと湿度が高くて雲が多く発生するので、こういう影は出来ないものです。なので、ロトンダの建築というのはそうした立地や気候風土に合わせて最適化された建築だなあ、というのが現地に行ってはじめて分かった、と思いました。


今回ブログでロトンダを取り上げたのは、猛暑のこの時期になると、この13年前に旅行した時のイタリアの暑さや強烈な光と影の光景がアタマの中でフラッシュバックする時がある、、、からです。

このヴィラ・ロトンダは暑さの中をバックパック背負って1時間くらいかけて歩いて、ようやく辿り着いた、、、という点でその時の貧乏旅行の記憶を代表している、ようなトコロがあります。今なら絶対タクシー使うでしょうが。。。

ただ、肉体の苦役を伴う行為というのはその分記憶も鮮明に残る気はします。
なので、時々この写真のような光景が今もアタマの中をよぎる時があるのでしょう。

まだまだ残暑厳しく、節電で肉体的にも負荷が高く、記憶に残る夏になりそうですが、みなさま御自愛ください。



2011/08/21

昭和86年、大正100年

もう1ヶ月以上前になりますが、健康診断で訪れた病院のカレンダー。






よく見ると、昭和86年、大正100年の文字が・・・・。

・・・・誰がこういう元号を確認するんだろ、、、とか思ってしまいましたが、確かに昭和との距離感、というのは昭和生まれからするとリアリティがあるというか、数字でよくわかりますし、数日間しかなかった昭和64年、から20年以上経っている、と考えると感慨深かったりします。

まあ、平成生まれの方々が社会人として活躍しだしている訳で、トシもとりますわなあ、と。


2011/08/19

フェイスブックには写真を載せましたが、先日プチOB会で行った新橋・魚金の鯛のかぶとの酒蒸し。




大きさにびっくりですが、値段も780円とかなりリーズナブル。


新橋といえばサラリーマンの聖地、ですが、オヤジの集まるところには安くて旨い魚のお店があるものです。
逆にいえば昼時にオヤジの集まる定食屋さんは旨いと思う。

にしても久々に新橋に行きましたが、なんというか人種がここまで住み分けされているかなあ、と思うくらいシブヤ~ナカメエリアとは歩いている人の年齢や服装が違うもんです。

エリアそれぞれに個性があってしかるべきで、その方が楽しいのですが、一方でステレオタイプ化してしまうとそのイメージに対して固定されすぎて硬直化・陳腐化するような気もします。

やっぱりある程度色んなものが混在している方が街として魅力があるなあと最近つとに思います。


とはいえ、新橋、ちょっとディープな感じで開拓の余地アリだなと思いました。

2011/08/14

お盆の満月

今日は満月の日です。


自宅のオンボロマンション、から眺めたナカメの月。






写真はボヤっとしていますが、実物はもっともっとキレイです。




東京でも福岡でも、上海でも、被災地でも、、、等しく満月の光が降り注いでいる、かと思うと不思議な心持ちがするものです。



そしてキレイな自然を普通に愛でる気持ちが持てる余裕があること自体が、ささやかながらシアワセなことに思えます。


今日はお盆の只中ですが、いつも以上に色んな思いの交錯する、満月の夜です。


2011/08/13

サンプラザ

所用で中野に行ったのですが、中野サンプラザをはじめて間近に見ました。







ちょっと70年代のニオイのする豪快なフォルムと構造、他の建築を圧倒するかのようなスケール感と三角形の組み合わせによるミニマムともいえる単純な形態、スキーのジャンプ台を思わせる急勾配かつ滑らかな傾斜屋根、開口部からマジンガーZが飛び出してきそうなレトロフューチャーかつ特撮チックなデザイン、、、にちょっとグッと、萌えます・・・・。



一時期、建築好きの間で「大建築」ブーム(というほどではないですが・・・)がありましたが、まあこの建物もその範ちゅうに入るのでしょう。

未だに中に入ったことは無い、のですが、一度は入ってみたいと思います。
こういう建築ですら10年後取り壊されずに無事に建っているかどうかは微妙、、、だったりしますし。

日本では名建築といわれるものでも、人知れず取り壊されてしまうケースは多々ありますが、老朽化した建築でもある時期を超えるとその魅力が輝きだす、こともあります。

まあ、こういう「建築萌え」、、、の魅力を伝えることも建築家の役割ではないかと最近つとに思ったりします。

2011/08/10

工房見学

スカイツリーネタの本題になるのですが、押上に行った目的はKamismさんの工房見学でした。

Kamismさんは和紙系壁紙を取り扱っていらっしゃるのですが、風合いが独特で和風になりすぎず、かつどこか無国籍でありながら手仕事のアジがある、、、ので、ウチのプロジェクトでも何度か使わさせていただいています。

工房では主に和紙に彩色や模様付けをする過程をやられていて、工房でちょっと体験制作をさせてもらいました。



まずは金箔の波型紋様。右端に映っているくし状のヘラで波型をつくります。




さらに紋様をつけます。コンパスのように手を動かすのがポイント。




完成。操作は割と単純ですが、複雑な紋様になります。



次にマーブリング。
マーブリングという技法は西洋から伝来したものと思っていたんですが、もとは江戸時代から和紙の紋様付けの技法が伝播したものだそうです。



水を張ったトレーに墨汁と少量の油を垂らします。



それを微妙な加減で吹いて、かき混ぜて紋様をつくります。




ころ合いを見て和紙を水面に手早く落として、紙に紋様を転写させて完成。






こうして見ると、手作業そのもので、逆に規格品を量産することの方が大変だとわかります。
逆にいうと、特殊な一品生産のオーダーを出しても柔軟に対応できるのがメリットで、今の日本では希少なプロダクトといえます。

自分もお試し制作したのですが、かなりおっかなビックリの手の動きでなんかぎこちない、、、感じのサンプルになったような、気がします。
なので掲載の写真は工房の方の手本です。


工房にはショップも併設されているので、外国のヒトとかを案内すると面白がるかなと。
東京イーストエリアでも押上はスカイツリー効果で注目度高いので、そこにショップ兼工房を構える、というのはいい着目点だなあ、とか思います。

立地のイメージというのは大事なものですが、ウチの事務所は一般的なイメージとしてサクラのきれな閑静な住宅街の中の立地、になります。ですが、最近は位置を説明するときに「ええ、ドンキ本店の真裏ですっっ!」ということが多いです。。。
・・・激安そのものはとても良いことなのですが、設計事務所のイメージとして激安&価格破壊、というのも誤解を招きかねないので、どう説明すべきか、悩ましいトコロです。。。



それはともかく、Kamismのみなさま、どうもありがとうございました。

2011/08/02

Skytree

先日、和紙メーカーのKamismさんの押上にあるショールーム兼工房に見学にお邪魔してきたのですが、スカイツリーが近くにあったので、帰り際にちょっとのぞいてみました。





634m。
333mの東京タワーのほぼ倍近い高さです。

ただ、近くで見上げても600mの高さをあんまり実感しない感じです。
たぶん廻りに比較の対象になる高層建築物があまり無いこととか関係しているかもしれません。

むしろ遠景から見た方が異様に目立つので高さを実感できる感じはします。
六本木ヒルズもそうですが、意外なところからはっきり見えたりするので、そういう時に、あーやっぱり高いんだなコレ、とか思います。

ちなみに先日NHKでスカイツリーの工事現場のドキュメントをやっていましたが、アンテナ部分にあたる頂部の「ゲイン塔」といわれる長さ165mの部分は、軸のブレが2cm以内に納まっているそうです。これは普通の2階建ての建物でいえばブレが0.3mmしかない、、、ということで普通の建築の精度をはるかに超えています。

普通の建築はだいたい10-20mmくらいの水平垂直の施工誤差は見越してつくられているので、スカイツリーというのは建築というより精密機械並みの精度かと。


NHKの番組では最終的な軸のブレの許容範囲について協議している設計者の日建設計と大林組の施工部隊の担当の方との打合せの様子も放映していました。

設計:「軸のブレ6cm以内が許容範囲です」
施工:「・・・・最終的に6cmの誤差を超えたらどうなりますかね?」
設計:「つくりなおしでしょ。」
施工「・・・わはは(苦笑。」

まあ、設計者にとっては妙にリアリティがあるというか、身につまされる、ようなやりとりでした。。。
設計監理者というのは工事が適正に行われていて、設計の想定通りに出来ているかをチェックする役割になる訳ですが、「つくりなおし」というのは究極のダメ出しで、なかなかサラッと言えるものでもありません。。。

自分達と相手の実力を見越した上での駆け引き、ともいえるのですが、最終的に2cm以内のブレに納めた大林組の施工能力というのも大したもんだなあ、とか思ってしまいます。
その分の労力とコストを惜しまなくてよい条件が整っているからこそ出来るのでしょうが、やっぱり尋常でない努力の結晶でつくられている、というのはよくわかります。

もし自分が現場で「大工さん、ここの精度は0.3mm以内ねっ!。」と言うたら、次の瞬間パンチを食らっているでしょう・・・。



まあ、たまにはみんながワクワクする建築というのもいいものです。