2021/05/29

地盤調査

 現在進行中の府中の住宅のプロジェクトでは、既存の家屋が解体完了したので地盤調査を行いました。

今回の地盤調査は表面波検査による方法を選択し、地盤調査会社のビイックさんにお願いしました。




写真は敷地に機材がセッティングされたところ。

ポツンと直立している機械が振動を地盤に与える機械で、異なる周波の振動を地盤に加え、反射の状態を記録することで土中の状態を推定します。


住宅の地盤調査は、地盤に鉄棒を刺してその貫入の度合いを見る、スウェーデン式サウンディングと呼ばれる方法がポピュラーですが、表面波は地盤の硬軟がより高い精度で調査できるのと、機材がコンパクトでより簡単に実施できる点にメリットがあるようです。


今回、立ち会いしたのは初めてでしたが、機械の横に立っていると足裏に微細な振動を感じました。なんとなくマッサージ器の振動に近いかなあ、、、という感じでしたが、それで地面の下の状態がわかるというのもなんとも不思議な感じもします。



調査の結果として地盤の状態が良く地盤改良工事は不要という判定が出たので、ちょっとホッとしました。



地盤調査は見た目が非常に地味な作業ですが、、、着工に向けてのはじめの一歩となる重要なプロセスで、いよいよ実現に向かう、という意味でこちらも毎回気の引き締まる思いがします。



また現場のレビューをこちらのブログに出来ればと思います。




2021/05/26

イタリア視察:ヴェネツィア2

 不定期にアップしているイタリア視察、ヴェネツィアの2回目です。



サンマルコ広場に面していて、ケンチク好きなら誰もが立ち寄りたい場所として「オリベッティ・ショールーム」があります。

イタリアの近代建築の巨匠の一人、カルロ・スカルパの設計によるショールームです。


元々はイタリアの家電メーカーのショールームですが、その後お土産屋さんに改造されたりして往時の面影が無くなっていたところ、近年になって修復されて新たにスカルパの文化遺産を展示するギャラリーとして復活していました。



自分にとっては20年以上前の1998年夏に訪れたことがあったのですが、今回再訪がかないました。




外観はこんな感じで、地味な印象です。

でもよくよく見ると、入口廻りの造作とかが凝っていることに気づきます。





レールで吊られた鉄の格子戸。

木の天井と鉄や真ちゅうの錆びた質感がマッチしています。




大理石と真ちゅうを組み合わせた照明。

50年以上前の作品ですが、古さと新しさが同居したデザインです。





このショールームで最も有名な大理石の階段。

緩やかな勾配と対称形を崩しながらリズムをつくりつつ、端正なたたずまいも感じさせる、近代建築を代表する名作階段のひとつです。





2階も天井の低いギャラリーになっていました。

20年前、お土産屋だった時に訪ねた時は2階に上がることが出来なかったので、ちょっと感激でした。

木と大理石、しっくいの質感、穏やかな光がなんとも良い雰囲気です。




中央の丸い部分は噴水と水盤で、床のタイルはベネチアン・モザイクタイル。

素材の使い方の細やかさとデザインの緻密さやはり工芸品といった方が良いような趣きがあります。




カルロ・スカルパは、一般的なイメージの白いガラスの近代建築というよりは、イタリアの伝統的な素材や技術をモダン・デザインに取り込んだ近代建築を創り出したところに大きな功績があるといえそうですが、年月を経ても輝きを失わずにむしろ風合いを増すようなデザインや素材の使い方は大いに見習うべき点があるように思います。




言葉や数値で表現しにくいものですが、こういうロングライフなデザインこそがサスティナブルだなあと写真を見返しつつ、しみじみ思います。




2021/05/20

芍薬 シャクヤク

 自宅のリビングの一輪挿しに飾ってあった、シャクヤクが満開になりました。




シャクヤクは5月頃に開花する草花だそうですが、室内にちょっとした草花を飾っておくと四季の変化を感じられて、和むものです。




ちなみに手前に立て掛けている飾り皿はミラノで買ったお土産。南イタリア産の陶磁器かと思います。実は贈答用に買い求めたのですが、諸般の事情で手元に残すことになった飾り皿です。あまり自分の好みではないなあ、、、、と思いつつ買ったものですが、鮮やかな色彩と魚のユルい表情がなんとも和む雰囲気をつくりだしています。
海外になかなか行けない今となっては旅行の大切な思い出を秘めた、自宅のインテリアの一部です。



ちょっとした草花や置物があると、生活に彩りや余裕が生まれるものですが、大ぶりで華やかなシャクヤクを眺めつつ、改めてその効能を感じた次第です。





2021/05/18

手すり照明

 最近よく見かける照明の仕掛けとして、階段とかの手すりに組み込まれた間接照明があります。



写真はクライン・ダイサム・アーキテクツによる代官山蔦屋書店の中にある階段の手すり照明。

少し大ぶりの木製手すりの裏にLEDテープライトが仕込まれていて、足元廻りをほのかに照らしています。

光源が直接見えないので、柔らかい雰囲気になるのと、足元が明るくなるので安全性も高まってバリアフリー上も有効という、演出性と機能性を兼ね備えた、優れたデザインだなあと思います。


実は、現在設計中の住宅の階段にもこうした手すり照明をスペックインしているのですが、コストとのバランスから実現できるかどうか、、、というところです。


住宅の場合は照明の演出をやりすぎると過剰な感じが出たりする場合もあるのですが、様々なバランスを見つつ、良いディテールを集積させてより良い住空間を実現するよう、試行錯誤を繰り返しているところです。



もし実現できたら、ブログにも詳細の写真を掲載したいと思います。






2021/05/13

スイーツ

 緊急事態宣言もあって家と事務所を往復する日々が続きますが、こういう時には息抜きのスイーツがいつも以上に楽しみになるものです。





写真は恵比寿の路地裏にある「LESS」というケーキ屋さんのケーキです。

ケーキの名前は忘れてしまいましたが、、、チーズ味の繊細な手仕事のケーキでした。

「LESS」さんは開店してまだ2年弱のお店らしいですが、その丁寧で繊細なシゴトで人気が出ているスイーツ屋さんのようです。


中目黒界隈には徒歩圏内に色々と良いスイーツ屋さんがありますが、まだまだ見つけきれていないなあ、と思う次第です。





そして、こちらは妻が名古屋の友人からいただいた、かえる饅頭。

なぜカエルかは不明ですが(笑、、、味は「ひよこ」みたいな感じで美味でした。

こういうスイーツもまた別の意味でほっこりしますね。





まだまだ気軽に外出できない日々が続きますが、こうしたお家スイーツをはじめとしたお持ち帰り出来るお店の味を改めて楽しむ、良い機会かもしれません。








2021/05/05

目黒区庁舎

 気づけば5月に入っていますが、なかなか遠出が出来ない状況が続いています。


いずれにしても、私の方はステイホームならぬステイオフィス、、、という感じでシゴトに勤しむ日々になっているのですが、先日久々に近隣にある目黒区役所に行ってきました。


目黒区役所は旧千代田生命本社ビルをリノベーションした建物で、設計は昭和の巨匠、村野藤吾です。





写真は区役所の中にある、茶室ゾーンの中庭。



イベントや催し用にいくつか和室・お茶室があるのですが、その中にしつらえられた中庭の眺めです。


特にどうということの無い庭ではありますが、このジグザグに組み合わせられた横桟のフェンスのデザインがとても好きで、訪れるたびに見入ってしまいます。

おそらく村野藤吾によるとてもさりげないデザインですが、軽さとリズムがあって、建物の雁行した形状とあいまって中庭にいきいきとした風情を与えている感じです。


決して高い素材で作られた造形物ではないですが、こうしたちょっとした工夫でその場所を活性化させるようなデザインの好例だなと思います。



自分も見習いたいデザインのひとつですが、近隣とはいえたまに外出すると日常にある風景の良さを再発見するものです。




GWも終盤ですが、ゆっくり穏やかにお過ごしください。