2019/11/28

古市徹雄先生

個人的に今年は訃報のお知らせが相次いだ年になっているのですが、つい最近また訃報のお知らせがありました。


私・林謙太郎が師事した建築家、古市徹雄先生が先日逝去されました。
(こちら、建設工業新聞のリンクです。)


数年前に千葉工業大学の教授をご退官後、少し体調を崩されていたようですが、70代はじめというまだまだお若い年齢でいらっしゃったので、大変驚いたと同時に大変残念な心持ちがしました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。



私がスタッフとして在籍したのは1998年から2003年まででしたが、新卒で経験が無く出来の悪いスタッフであったにもかかわらず、色々なプロジェクトに携わる機会をいただきました。

今日、自分が独立してなんとか活動できているのも古市先生に色々と鍛えていただいたお陰かと思います。



古市事務所での日々は思い出せば辛くも楽しい日々であり、、、様々な思い出が尽きないのですが、そうしたエピソードもこちらで別の機会に改めてご紹介できればと思います。


個人的にとても大きなニュースでしたので、ブログにてお知らせさせていただきました。
あらためて、ご冥福をお祈り致します。




2019/11/25

プロジェクトの更新

ここ最近、事務所のウエブサイトを色々と更新しています。


プロジェクトに「RKマンション エントランス リノベーション」を追加しましたのでぜひご高覧ください。

小規模なプロジェクトではありますが、ゴールド系の素材を使って華やかさを演出しているのが特徴です。



個人的にここ最近は真ちゅうや金箔等々のゴールド系の素材が気になっています。
これらの素材は経年変化した後に味わいのある質感になるので、エコやサステナビリティ
の視点からも良いのではないか、、、と思います。
また、アルヴァ・アアルト等の北欧のモダニズム建築家も扉の取手や照明等の金物系部材で真ちゅうとかを好んで使っていて、なかなかいい味を出したりしています。




プロジェクトの詳細はウエブサイトをどうぞご覧ください。








2019/11/22

イタリア視察:ローマ3

引き続きローマのレビューです。




フォロ・ロマーノに隣接する丘の上にある、カンピドリオ広場。
ミケランジェロの設計ということで有名な広場です。
元々あった建物に色々と改修を加えて現在の形になっています。
楕円の床パターン、ハの字型に並列された建物(カピトリーノ美術館)、正面のローマ市庁舎の階段等がミケランジェロの設計とされていますが、リズミカルで動的な床パターンやカピトリーノ美術館のパースを強調した配置と都市的なスケールを意識したファサード・デザイン、正面性を強調した庁舎の階段、といったところにミケランジェロらしさがあるのかなと思います。





ジェズ教会。イエズス会のローマにおける拠点となった教会だそうですが、壮麗なインテリアは往時の勢いを感じさせます。








こちらはパンテオン。古代ローマの遺構で今も生き続けている建築。
キリスト教の聖堂になったことで生き永らえたようですが、創建はAD125年になるそうなので、およそ1900年もの間建物として生き続けていることになります。そう考えるとすごいサステナビリティだなあと思います。

パンテオンは天井が半円状のドームになっているのですが、その単純な象徴性が揺らぎない魅力をつくっているように思いました。






最後にトレビの泉。全体的にクリーニングされているので、ピカピカな感じです。


最近はクリーニングの技術が向上したせいか、どの建築に行ってもかなりキレイになっていて、古い建物の持っていた汚れ等がすっかり取れているものが多く見られました。
往時の姿を蘇らせるという意味では大変良いのですが、経年変化による古風な味わいというのは逆に無くなってしまって、ちょっとテーマパークのアトラクションのような感じはしました。


今回の旅で強く思ったのは、どの観光地に行っても人であふれていて、長い行列が各所で出来ており、オーバーツーリズムが世界中で問題になっているというのを肌で感じられた点です。



各名所に出来た行列を見ているとやはりテーマパークの中にいるような気持ちになりましたが、テーマパークが現実をトレースしているのではなくて、現実がテーマパークをトレースしている気がしました。




この点については、もう少し考えてみたいなと思っています。



2019/11/13

イタリア視察:ローマその2

ローマのレビューの2回目です。


コロッセオに隣接している古代ローマの中心市街の遺構「フォロ・ロマーノ」も訪れました。

こちらも大変に有名な遺構ですが、街区が丸ごと残されていて往時を偲ぶことができます。


丘の上から眺めた全景。
東西約300m、南北約100mの範囲に渡って遺構が残されています。
普通のヨーロッパの街並みの中に忽然と遺跡があるので、ちょっと不思議な感じもしますが、ローマが2000年以上前から都市としてずっと持続していることには驚かされます。
同時に古いものを大切にするヨーロッパの文化には我々も見習うべきものがあるといつも思います。



ティトゥス帝の凱旋門。
遺構の中でも保存の状態が良いです。





マクセンティウスのバジリカ。
この遺跡もキレイに残っていて十分な迫力がありますが、現存部分は神殿の側廊なので、実際にあった建物はもっと大きなものだったようです。
フォロ・ロマーノの遺跡の中でもひときわボリュームが大きく建物らしさを残した、重厚で幾何学的な空間を持った遺跡なので、後世のルネサンス時代の建築家に影響を与えたというのも納得です。






その他、街区の様子ですが、最近はCGで街区が復元されているので、そうしたイメージと対比させて見学するとより楽しいかと思います。
http://www.italyrome.info/




個人的には訪問する前にヤマザキマリさんの漫画「テルマエ・ロマエ」を読んでいたので、遺跡の中を散策するのはテルマエの世界をより身近に感じられて興味深いものがありました。


歴史遺構を見学する際にはその場で感じた直感的な感想も大事と思いますが、その歴史やエピソードを事前に知っていると俄然興味が湧いてくるものです。






実際には事前になかなか予習の時間は無かったので、買ってきた書籍やウエブサイトを
見て復習しながらもっと予習して見学すればよかったと後悔しつつ、、、ブログを書いている次第です。







2019/11/06

イタリア視察:ローマその1

先日、久々の視察旅行ということでイタリアに行ってきました。
古典建築を中心とした建築物の視察と、実益を兼ねてホテルとレストランのインテリアの見学が主な目的でしたが、ここしばらくはその様子をユルユルとレビューしたいと思います。


では、まずはローマから。


イタリアには1998年の夏に行ったことがあるのですが、それから早や20年以上経過しており、今回は久々の2度目の探訪でした。


まず、ローマの古典建築といえばコロッセオ。




前回の訪問時には時間切れで中に入れなかったのですが、今回ようやく見学することが出来ました。

コロッセオは竣工したのがAD80年でほぼ2000年前の建築物ですが、相応に荒廃しているものの往時の姿をしのぶには十分な遺構です。


上の写真は、フォロ・ロマーノというローマの街並みの遺構がある丘の上から眺めたコロッセオの全景。




 スタジアムの全景。当時は木の床が張られていたそうです。
収容人数は52000人と推定されていますが、現代のドームクラスの会場と較べてもひけを取らない人数です。日本だとまだ神話の時代ですので、その当時のローマの技術力の高さと実現させる為の政治力・経済力の高さには本当に驚かされます。





建物は石、レンガ、コンクリートといった素材を組み合わせながらアーチを多用した重厚な架構により成り立っています。5世紀頃にあった地震で大きなダメージを受けながらも使われていたそうですが、その後徐々に放棄されるようになり、完全に放棄された後は建材の採石所になって荒廃していったらしいです。
ちょっと残念なことですが、近世以降にその価値の見直しがなされてローマの栄光を今に伝える遺構として現代では大切に保存されている、という経過を辿っています。

近年はコンサート等のイベントにも使われているそうですが、発掘と修復は持続的に行われているように見受けられましたので、保存と観光を上手く両立させてほしいと思いました。








そして、ちょっと唐突な感じもしますが、復元されていたローマの古代神の像です。よく見ると顔が漫画チックで面白い・・・。
というかどこかのテーマパークにありそうで、ちょっと安っぽい感じもしますが、、、これも往時を偲ぶという意味では部分的にこういうのがあるのもアリかもしれません。





ともあれ、2000年前の人々の建築技術の高さやそこにかけられた情熱を十分に垣間見ることのできる、素晴らしい遺構でした。