2021/07/28

地鎮祭@府中

 先日、府中の住宅プロジェクトの地鎮祭がありました。





地鎮祭は、設計の段階から工事の段階に切り替わる節目のタイミングでの儀式になるので、設計者にとっても色々と感慨深いものがあります。



特に今回はウッドショックといわれる最中での工事見積になり、大幅な価格オーバーが懸念されちょっとハラハラしたのですが、、、予算とデザイン・仕様のバランスが取れ、きちんと予算内に納まりました。そうした通常にはないような逆境を乗り越えた上での工事スタートなので、余計に感慨深いところがありました。





府中の住宅は中庭のある二世帯住宅で、HEAR20G2グレードの高気密高断熱住宅として設計しています。プラン、デザインはなるだけシンプルなものにしており、「シンプル+エコ」なエコハウスになっています。


具体的な計画はまたご紹介できればと思いますが、現場のレビューもブログにアップしてゆきたいと思います。





そして最後に、お施主さま、設計・工事関係の皆さまのこれまでのご理解ご協力に感謝し、これからの工事においても共に良き住宅を造ってゆければと思います。引き続きよろしくお願いいたします。






2021/07/22

飛行機雲

 昨日、たまたま空からの音を聞きつけて撮れた、個人的な「奇跡の一枚」。






代官山、渋谷越しに見た原宿方面の空に浮かび上がった、円弧を描く飛行機雲。

ブルーインパルス、初めて実際に見たのですが、大都会の空を整然と隊列を組んで優雅に飛ぶ姿は、飛行機という乗り物が持っている空を飛ぶ、というロマンを体現しているように思えました。

言い換えれば、シンプルにかっこいい。。。



今年は、これまで以上に様々な思いの交錯する夏の日々になっていますが、それぞれの人にとって良き思い出が出来る夏の日々になれば、、、とささやかながら願ってます。




2021/07/20

公衆トイレ

 中目黒在住ですと日比谷線はよく使うので、必然的に恵比寿駅も頻繁に訪れることになるのですが、コロナ禍で外出の頻度が減る中、ふと気づいたらいつも傍らを通っていた公衆トイレが建て替えされていて、真っ白な箱になっていました。




先日まで新国立美術館で個展も開催されていた、アートディレクター佐藤可士和さんによるデザインの公衆トイレだそうです。


これは日本財団が主催しているプロジェクトで、渋谷区内の公衆トイレを著名なデザイナー、建築家にデザインを依頼して刷新するという「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環でつくられたもののようです。

現在までに10あまりの公衆トイレが竣工しているようで、ウエブ媒体やSNS上でも斬新なアイデアのトイレがいくつか紹介されています。


中には斬新すぎて実際の使用はどうなのか、、、と思わせるものもある気がしますが、汚れていて使いづらそうなイメージのある公衆トイレのあり方に一石を投じるという意味では非常に意義があるプロジェクトではないかと思います。


ちなみに、写真の佐藤可士和さんのトイレは後ろ側に入り口があってそこから各個室に入る設計になっていますが、駅前にあって利用頻度が高そうな場所にある公衆トイレなので、白くて存在感のあるこのトイレがどのように使われていくのか、興味深いところです。


また、このプロジェクトのトイレはすべて渋谷区にあるので、トイレ巡礼(笑、、、、をしても面白いかもしれません。

いずれにしてもトイレの設計というのは人間の根本的な生理現象に関わる部分のデザインになるので、建築家・デザイナーの基本的な力量が問われるものと思いますが、アイデアもさることながらそういうセンシティブな面の配慮が上手くなされているか、という視点からも各トイレを比較してみるとより面白いのではないかという気がします。

個人的には同じ恵比寿の通称「タコ公園」にある、槇文彦さん設計の通称「イカトイレ」、はなかなか使いやすそうな感じでしたが、まだ2トイレしか実物を見ていない、、、ので、トイレ巡礼、してみたいと思います。






2021/07/15

建設コストとウッドショック

ここ最近、一般メディアにも取り上げられる住宅関連のトピックとして「ウッドショック」があります。

今回は、実際のプロジェクトでの知見をもとに、ウッドショックに関する最近の動向について少しご説明したいと思います。


まず、「ウッドショック」と言われる言葉は、3月末くらいから建設業界で使われだした用語で、輸入木材を中心とした価格の高騰と納期の停滞・混乱を指します。

この原因はコロナ禍により北米を中心に郊外住宅の需要が急速に高まり木材が世界全体で資材不足に陥った点、コロナ禍やスエズ運河の事故でコンテナ物流が世界的に混乱した点、中国での旺盛な建設需要が継続していて、中国へ資材が優先的に供給されている点、等々が重なったためと言われています。


ウッドショックは、2021年初めからジワジワと影響が拡がり、3月末くらいに木材加工会社各社から受注制限や納期未定となるお知らせが一斉に出されて一気に顕在化してきました。


そんな中、ウチの事務所でもいくつかのプロジェクトで工事見積をお願いしたり、工務店から直接ヒアリングをしたりしていますが、実際に現場で起こっていることとしては下記のようなものがありました。


・施工会社により影響の度合いが異なる

資材不足・価格高騰の影響を直接的に受けるのはプレカット屋さんと呼ばれる木材加工メーカーなのですが、各施工会社がどの木材加工メーカーと取引しているかにより、価格の上げ幅や納期の制約が異なっています。例えばA社は資材コストが20%アップで見積するが、B社は具体的に契約して発注しないと増加幅や納期の影響がわからない、といった対応差がありました。また、大量に木材をストックしている大手のハウスメーカーやビルダーによっては価格や納期に影響無し、としているところもあり、影響の度合いは直接確認してみるべきと思いました。


・コストへの影響は多少あるが、甚大なものではない

実際に工事見積を取った某住宅プロジェクトでは、木材の見積価格は通常よりも40%程度高くなっていましたが、その他の建材・人件費はほぼ従前の価格でした。また、木材のコストが全体のコストに占める割合は10%前後となるので、全体コストへの影響は出るものの、建設コスト全体が3-4割もアップするような、甚大な影響は出ていないと思われます。実際のところ、工事見積を数社に依頼したプロジェクトでは幸い予算内に工事費が納まりました。予算設定と設計仕様のバランスが取れていれば予算の範囲に納まる、というのは従前と変わらないと思います。


・工期への影響は、遅延しても1-2ヶ月程度の想定が多い

プレカット屋さんに入ってくる資材が限られている為、注文待ちになったり新規受付を取りやめているプレカット屋さんもあります。そして、各プレカット屋さんとも早く発注された案件から注文に応じているのですが、それでも納期の遅れが続いている状態になっています。ただし、早く発注すれば納期も早くなるので、これから始まるプロジェクトでは早めにプレカット屋さんに正式発注すれば工期の遅延が解消される可能性も十分あります。平均的には注文待ちが1-2ヶ月程度のようですが、この傾向はしばらく続きそうです。一方で北米での需要も一巡して落ち着きつつあるので、納期遅れはだんだんと解消される方向かなと思います。


・契約上の特記によりトラブルを避ける

現在工事中の案件の中には、高騰した資材代を工事費の中で調整できずに施工会社が赤字を被る、というケースも出ているようです。そのため、契約時に木材価格に関する特記や合意書等を作成して、工事中に資材価格が高騰した場合は注文主と協議して調整する、という特約を設けるパターンも出ています。現在のところ、今後見込まれる資材の価格差は坪1-3万円程度とされています。例えば30坪の木造住宅だと30万から100万円程度のコストアップが生じる可能性があるということになります。これは工事費予算を3000万円とした場合には1-3%程度のコストアップになる、ということになりますが、一般的には予備費として予算の一割程度は準備しておくことが多いので、その範囲の余裕を見込んでおけば対応できるものと思われます。いずれにしても工務店とどういったケースの場合に調整するのかを事前に確認し、設計事務所を含めて相互に信頼関係を持ってプロジェクトを進めることが大事と思います。



以上、ここ数ヶ月に経験した、ウッドショックに関連するトピックをまとめてみました。

ごく最近のニュースによると、北米市場での木材価格は年初の価格に戻ったらしいので、日本での混乱もしばらく持続するものの、この先数ヶ月で収束するのではないかと思います。ただ、一度高騰した価格はなかなかすぐには下落しないので、コスト高な状況はしばらく続くものと思われます。またこれまでは主に構造用の資材が影響を受けていましたが、これからは合板や木材を加工した製品等の価格も上昇する可能性があります。輸入材から国産材への移行も提唱されていますが、コストの点からなかなか厳しいのと、供給量が急に増えることは無いと言われており、今後10年単位でゆっくりと国産材が再普及してゆく可能性はあります。地産地消やエコ消費の観点からもその方が望ましいのですが、今後取り組んでゆくべき課題のひとつと感じています。


当初、コロナ禍による景気の落ち込みにより建設コストも下落するとの観測もありましたが、現実には「ウッドショック」という事態になりました。

やはり、世界経済全体の動きと不可分に世の中が動いていることを改めて認識させられる印象ですが、コロナ禍を気にライフスタイルを一新する動きは世界の各地で起こっていることを認識させられる出来事でした。


騒動も落ち着きつつあるところで、こうしたライフスタイルを一新する=住み替えやリノベをスタートするには今がいいタイミングかもしれません。




長文になってしまいましたが、、、ご一読いただきありがとうございました。







2021/07/10

シンプル+エコなプロダクト#4 機械式スウォッチ

個人的に時計というプロダクトが好きで、その中でもデザインが面白い製品を買い集めている時期がありました。


ただ、色々とあったものを整理したり、収納の奥にしまったりしてデッドストック状態になっていたものもあったりします。



今回ご紹介する機械式スウォッチもそんな雑貨のひとつ。




スケルトンの本体に、傷んでいたバンドを新たに交換して、久々に使用してみました。

機械式時計なので、電池不要です。


おそらく20年以上経つプロダクトで、久々に動かしてみたら最初は時刻がズレまくっていましたが、、、現在はなんとか使用に耐えうる精度で稼働しています。


最近はスマート・ウォッチを身に着けている方も多く見受けられますが、15年くらい前までは多彩な機能を有する機器が腕時計並にの大きさに凝縮されるとは予想だにしませんでした。


一方でこの機械式スウォッチは時刻表示という単一機能のみ、そして電気不要、という点で、現在のスマート・ウォッチとは対極の存在、、、ともいえるのですが、シンプルであるがゆえに壊れにくく、ベーシックなデザインで時代を選ばないプロダクトともいえます。さらに、電池も全く消費しないという点でエコロジカルともいえるかと思います。


そういう意味でシンプル+エコ、かつロングライフな製品だなあと思った次第です。



しばらく棚の奥に眠っていたのですが、使用していないモノをリユース、リサイクルするのも大事だなと改めて思いました。