2009/11/30

中目黒リノベーション2

中目黒のリノベーションの現場が進んでいます。



ベースになる壁、床、天井の仕上が完了しています。
これから建具とかアレンジが加わる訳ですが、骨になる空間の雰囲気はだんだん見えてきています。


ジムショから歩いていける、というか駅により近いのですごい便利な現場です。
毎日でも見に行けるという。
まあ要所を締めていれば毎日行く必要はありませんが。。。

2009/11/29

白熱灯

先日、ライティングデザイナーの内原智史さんが主宰するUCLDの展覧会のオープニングに行ってきました。

ろうそくと白熱灯、LED=19、20、21世紀にまたがる光を使ったインスタレーションによる展覧会です。



上部に白熱灯、下部にLED仕込みのろうそくと映像の組み合わせで光の環境をつくってます。
普通ライティングデザインというとビカビカに明るくライトアップしたものを想像しがちですが、ここでは逆に暗めの明かりを使って空間をつくってました。
内原さんによると、昨今のエコ・ブームで普通の白熱灯=反エコみたいな風潮で世の中的に悪者扱いされているのですが、明るさを絞って使うことでLED以上に耐久性が高く、かつ暖かい雰囲気の明かりが得られると。そういう意味では悪者扱いして排除するのではなくて、むしろ明るさを抑えて空間の雰囲気をつくることが大事なのではないか、という話でした。
確かに日本の都市というのは明るすぎる傾向があって、もっと明るさを抑えめにするほうが全体として理にかなっている訳で、CDに対してレコードが今も生き残っているように白熱灯も適材適所で使うことが本当のエコではないか、と。
確かに日本のデザインというのは新しいモノを追求するあまりに昔からある技術を生かす、ということを忘れている、という傾向は他の国に較べて顕著な感じなので、そういうクラシックな技術の良さみたいなものを活かすというのは建築のデザインにとっても示唆に富んでいる気がしました。
やっぱり視点をちょっと変えることで当たり前のモノが新しい役割を負うこともある訳で、我々もそういう視点を大事にしたいなと、思った次第です。

2009/11/23

つくば

先週末になりますが、住宅系の展示会への参加でつくばに行ってきました。

筑波大出身なので、結構長く住んでいたのですが、卒業以来あんまり行くことがなく、2,3年に1回行くかどうかという感じです。でも、行くたびごとに変わっているのでオドロキます。特につくばエクスプレスが出来て以降の発展というのは目覚ましいものがあります。

基本的に都市が車社会を前提に出来ているのですが、学園都市が出来て以来、40年近く経過しているので、緑が育って結構いい感じの街になってきているなあ、と思います。車で日常的に移動するヒトにとってはすごく住みやすい街、ではないでしょうか。


で、研究学園都市というのは国家プロジェクトだったので、有名建築家が手がけた建物というのが点在しています。




建築関係者の中で一番メジャーなのが、磯崎新設計の「つくばセンタービル」。
四角いコンクリートの箱が主流だった近代建築の中に西洋の古典建築をモチーフにしたデザイン要素を随所に取り入れ、近代建築には無かった遊びや記号的な要素を取り入れた点で当時センセーショナルな建物でした。
今見ると、ごく普通にも見えますが。。。古典建築を勉強していると、謎解きみたいで楽しい、といえます。




お次は、伊東豊雄設計のつくば南駐車場。
立体駐車場なのですが、低層部に店舗や事務所が入っています。アルミのルーバーはバーコードにヒントを得たパターンになっています。
実は学生時代に、ここの現場に中にあった伊東さんの監理事務所で模型づくりのバイトをちょっとやらさせていただいてました。初めての模型バイトで、今思うと使えないバイトだっただろうなあ、と思うのですがスタッフの方からは現地の晩飯コーディネーター、、として重宝された、と思います。
その時にお世話になったスタッフの方とはこの現場事務所でお世話になって以来、音信不通、だったのですが、この前偶然にHPを発見してしまい、なんと我々と同じ中目黒で事務所を開いていらっしゃることがわかり、およそ15年ぶり(!)に再会しました。なんか縁がある人というのはいるものです。というか設計業界がそれだけ狭い、のかもしれません。
で、今またナカメでお世話になっています。。。


さらに近くにはN.Y. のMOMAの設計で世界に名を知らしめた、谷口吉生設計の「つくばカピオ」もあります。



竣工後10年以上経過していますが、いまだに竣工当時のようにキレイです。
実はこちらでも谷口さんの現場監理事務所で1年ほど模型づくりのアルバイトをさせていただき、お世話になりました。ちょうど谷口さんがMOMAの仕事を獲る前くらいだったのですが、あちこちに設計した建物が竣工していた時期で、すごく刺激になりました。建築に対して妥協しない姿勢とか、最後まで粘り強く検討する方法とか、結構深い部分で影響を受けている気がします。

当時のつくばは、陸の孤島とかいわれて地理的なアクセスが不便な場所であった上にインターネットも無い時代、だったので、建築を学ぶのは文物を通してしかできませんでした。建築家の先生の事務所でアルバイトができる都内の学生がすごく羨ましかったし、そういう情報に飢えてました。
なので、たまたま偶然ですが、日本を代表するような建築家の事務所の現場にバイトながらもいることが出来たというのは、非常に幸運だったなあと思います。

今振り返れば、そういうバイトの経験や大学での勉強も含めてもっと色んなことが勉強出来たのに、とも思うのですが、当時は当時なりに一所懸命にもがいてジタバタしてた、かなと。。

そういう意味で色んな個人的な思いが詰まっていて、また建築を学んだ原点の街でもあるわけなので、いつかこのエリアでシゴトしたいなあ、、、と思ってます。


2009/11/18

中目黒リノベーション1

我々が事務所を営んでいる中目黒でリノベーションが始まりました。

小さなマンションの一室です。




まだ解体が終わったばかりで何も無い状態なんですが、これから設備、仕上の工事が進みます。
こういうコンクリートの躯体がむきだしの状態もそれなりにカッコ良い、のですが他の部分との取り合いを考えてボードを貼る予定です。

12月中旬には完成予定なので、進捗に合わせてアップしていこうかと思います。

こういう状態から出来るものを想像すると、、やっぱり現場は楽しいもんです。

2009/11/16

ポーランド2

ポーランドのお話しの続きです。

ちょっと興味深かったのは住宅の話。
ポーランドでは伝統的にレンガ造が主流で、木造や鉄骨造は皆無に等しいらしい。
レンガ造ということは当然レンガを一個づつ積んでいく訳で、冬が寒いこともあって壁厚が30cm以上になるのは当たり前だと。だから日本の建築のように軽くて薄いデザインの表現は法規制や技術の普及度からいってほぼ不可能、とのことでした。

日本の住宅だと木造が未だに主流でコストも相対的に安い上に、レンガ造は耐震性やコスト、法規制からもほぼ不可能、なのでポーランドと真逆だなあ、という感じです。

21世紀の現在というのは、ケンチクの技術体系というのは世界的に共有されているハズなのですが、結局どの構法や技術が主流になるかというのは、それぞれのお国の昔からの伝統に相当依存している、ということです。
だから、日本にいる我々からするとヨーロッパのケンチクというのは非常に重厚で、がっちりした石とかレンガを組み合わせてつくってあるのがすごく魅力的に映る訳ですが、ヨーロッパからすると日本の木とか金属板とか軽くて薄い素材を組み合わせてつくったケンチク、というのがすごく新鮮に映るらしい。
一種の無い物ねだり、とか隣の芝は青い、みたいな話しですが、やっぱり千年単位で続けてきた建築の方法は百年単位ではなかなか切り替わらない、というのはあるでしょうし、お国柄というのも個性のひとつなのだろうなあと思います。
でも、ナショナリティーみたいなのを意識しすぎると却って過剰なクサさが出てしまって、ちょっとコテコテになる、ということはある気がします。
ハリウッド映画に出てくる日本、みたいな。

まあ、ポーランドで活動している友人にはハリウッド映画の中の日本人、みたいなスタンスで売ったら?みたいな話しもちょっとしたんですが、やっぱり技術体系の違いや本格的な和風建築を勉強していない点からすると、コテコテの和風・スタイルを東欧でつくるのは無理がある、、、というような結論でした。

結局、お国柄というのは、それぞれの建築家の個性が結果としてその国のテイストを表すものであって、そこを意識しすぎない方が良い、ということはあるかもしれません。

我々もあんまり互いのお国の違いとか気にしないで普段やっている訳ですが、それぞれの出自からくる相乗効果が出ればなあ、といつも思っているトコロです。

2009/11/11

ポーランド

今日は、ポーランドでケンチクをやっている、前職の元同僚の友人が訪ねてきてくれたので色々話しを聞きました。
ちなみに先日はイギリスで、今日はポーランドと国際色豊かですが、前職の事務所の特性上、自ずと国際志向の人材が集まる、という結果ではあります。

ポーランドもご多分に漏れずかなり厳しい状況らしく、西欧方面の国々で働いていた方々が戻ってきてたりとか、シゴトの数自体がかなり減っているようです。
で、日本に戻る予定で帰国したのかなあ、と思っていたらしばらくあちらでがんばる、らしい。

聞くと、公開コンペとかそれなりに数はあるらしく、仕事を獲るチャンス自体は少しはある、と。
彼は数年前にそういう公開コンペで一等を獲って、現地で独立、という方向で動いていたみたいなのですが、リーマン・ショック以降どうも動かないとのこと。
でも参加できるコンペがまだ色々あって、多少なりとも希望は持てる状況であるのでポーランドでやってみる、ということでした。

やっぱりそういう将来の希望が持てる、というのは大事な気がします。

日本ではここ10年来、公共コンペは実績と会社規模重視になって若手が排除される傾向が顕著です。
なので皆、住宅にこぞってシフトしていて、近年活況を帯びている建築家住宅、というのも若手が仕事を得るチャンスが少なくなっている、という状況の裏返しでもあります。
最近の日本のケンチクをめぐる状況というのは、そういう点からもかなりお寒い訳ですが、そこに建築家の供給過剰な状態も加味して、なんだか共喰い的な状況になっているなあ、というのが実感としてあります。

東京の街角で石を投げると建築家か写真家に当たる、、、という話しも昔からありますが、我々が事務所を構えているナカメでも1街区1建築家はいるんじゃないか、、、という気もします。
さらに目黒川沿いに限れば1建物1建築家もまんざらありえなくはない、、、という感じはします。
石投げたらホントに当たるような。

とはいえ、皆それなりにやっているので、まだ日本でも希望はあるかなあ、と。

それと、話しながら改めて感じたのは、人間メシ食いながら生きているのと同時に、日々希望とか夢を食いながら生きている動物だなあ、ということです。
「明日がある」という歌もありましたが、やっぱり明るい未来が待っている、と思えることは生きていく上での活力になっていることは間違いないです。
建築家というのは、まだ見ぬ建物に思いを馳せてシゴトをする訳で、そういう傾向は特に強い人種かもしれないです。職業的に定着している長時間労働に耐えうる、というのはそこが大きいかと思います。

ちょっとお題からそれた話になりましたが、その他のポーランド情報はまた今度書こうかと思います。

2009/11/08

撮影現場

今日はナカメの話題です。

中目黒に、牛の人形のある古い民家をリノベしたカフェがあったのですが、1年くらい前に閉店しました。
それ以来、何度か別のお店が入る話があったのですが、防火とか耐震の問題があったりして、立ち消えになってました。
それが最近工事を始めたなあ、と思っていたら、どうやら映画の撮影をするらしく、そのセットに改造していたんだとか。



先週くらいから撮影が始まったらしく、スタッフやら機材やらがお店の前の駐車場にあふれていて、炊き出しも出てるみたいなのでなんか賑わってます。

あたかも実在するお店のようにリフォームしてエイジング(建物の経年変化を擬装する技術)かけているので、何年も前から営業していたかのようなたたずまいになってます。

ご丁寧に看板まであるんですが、どうもスイーツ系のお店、という設定みたいです。

2週間くらいで撮影は終わるらしいですが、現場の周辺が妙に活気づいてます。
ナカメの川沿いのお店もリーマン・ショック以降かなり空いたところが多いのですが、久々に明るい話題、といった感じです。

そもそもナカメは芸能人の誰それのお店だとか、芸能プロがあるとか、誰それが住んでいるとか、芸能ネタに事欠かない街な訳です。でも何故か、個人的にそういう芸能関係者に遭遇した、とかそういう経験はまだ無いです。というか自分は、どちらかというと芸能人とすれ違っても気づかない鈍感タイプらしい。。。

ということで撮影現場の前を通り過ぎるたびに芸能人誰かいないかなあ、と好奇心丸出し、、、でジロジロ見てしまう訳ですが、まだそれらしき方は見かけない。。。

まあ月並みなミーハーネタ、なんですが、撮影現場というのは建築現場のようなモノつくってる、という臨場感が漂っていて、場の雰囲気として魅力的な感じがすごくします。



2009/11/05

スペイン-セビーリャ

本日はHPに掲載していたスペイン旅行、セビーリャ編の再掲です。
さして書くネタが無い時に便利です、こういう企画モノは(笑。

思えば今年の1月に行ったのですが、すごい昔のことに思えます。。。

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スペイン北部、バスク地方にのビルバオから、飛行機でアンダルシア地方のセビーリャへ。


ビルバオ空港はスペインの著名建築家の一人である、サンチャゴ・カラトラヴァの設計。折しもヨーロッパは大寒波の襲来でマドリッド空港が大雪で閉鎖。おかげでマドリッド経由便で行くはずが、直行便でセビーリャへ。




スペインは常夏のイメージがあったのですが、この寒波の影響で日本より寒い印象でした、というか、明らかに寒かったです。。上空から見ると一面の雪景色でした。

とはいえ、南北で気候はだいぶ違いました。ビルバオはどんよりした天気が続いていましたが、セビーリャは快晴。そして街路樹はオレンジで、実がたわわになっていました。



旅行の楽しみは建築を見ることもさることながら、やはり食は欠かせない楽しみです。。。

写真はバル、メゾン・セラニートの名物、セラニート。ハムと豚肉を挟んだサンドイッチです。これ一品でおなかいっぱいになります。

セビーリャは旧市街を中心に廻ったのですが、アンダルシアの抜けるような青空の下、世界遺産であるカテドラルとアルカサルを見学。



    


特に印象的だったのはアルカサル。もともとはイスラム時代の城だったのですが、レコンキスタでキリスト教徒が奪還して後は増築を重ねて、イスラムからキリスト教の各様式が混在して有機的につながる空間が形成されています。



良質なイスラム建築は、実はスペインに残されている、という説があるようですが、中庭や水をつかった空間は暑さに対する先人の知恵を感じさせます。あと、イスラム建築にはパターンタイルが多用されていますが、深みのある青いタイルにはやはり独特のものがあります。





最後に宿泊したホテルの写真を。





旧市街の小さなホテルだったのですが、中庭が抜けていて壁面いっぱいに植栽がかけてあって、典型的なアンダルシア地方の住まいのつくりでした。日本には、住まいは夏を旨とすべし、という格言がありますが、かの地においても同様です=冬は寒いという。。
夏にまた行ってみたいところです。

2009/11/01

江東区リノベーション3

10月から現場がはじまっていた江東区のリノベーションが完成しました。
70㎡程度のインテリアだったので、やっぱりあっという間です。



今回はカウンター廻りを特にポイントを絞ってデザインしています。
ちょっと幾何学的な線と面でリズミカルな構成になるようにしています。

照明は写真だと浮いているかのようですが、深澤直人さんデザインの照明。
すごくシンプルなので存在感が過剰でないところが良いです。


壁は珪藻土を使いました。写真だとわかりにくいですが。
湿気や臭気を吸収したり、冬の乾燥時には壁に霧吹きとかで水を吸わせることで保湿効果が得られます。まさに呼吸する壁、といったところでしょうか。


微妙な質感がアジなところです。





あと赤い部分は和紙クロスをつかったのですが、これも微妙な玉虫色で実際に見るともっと複雑で有機的な表情をしています。

ものすごく予算があった訳でない、、のですが、効果的にリノベーションできたかなあと思ってます。

お施主さんも喜んでくれたみたいで、ほっとしました。


建築というのは完成品を売るわけでないので、パースや模型や材料サンプルで仕上がりを決めていくのですが、結局完成は想像するしかないところがなかなか難しいところです。
出来たら想像以上に良かった、ということもある一方で逆のケースもあり得るので、ギャップが出ないようにイメージのプレゼンテーションは結構力入れてます。


ちなみに、我々の事務所のHPは前職の巨大プロジェクトも実績として掲載してたり、中国とかの巨大プロジェクトをやっていたりするので、こういう小さなプロジェクトをやらないように思われがちなのですが、規模の大小は関係なくやっています。
糸井重里とか、「ほぼ日」の中で「来た球は打ち返す。」みたいなことを書いてたりしますが、まあ投げられた球というのは打てるだろう、という想定のもとに投げられているハズなので、それは可能な限り打ち返したいなと思ってます。
イチローみたいに難しい球でも打てる、というのは建築家として理想的かもしれません。

建築家で、なんでも打ち返すタイプといえば安藤忠雄さんなんかはそういう感じがします。
超ローコストハウスから世界中の美術館まで、ストライクゾーンの広さは他の追随を許さない気がする。

我々もかくありたい、と思う訳ですが、松坂クラスのすごい球投げてくれる方来ないかなあ、、とか思いつつ、まずは目の前の球を打ち返す!、日々を送っているのでした。